邦星堂和楽器店ブログ

今年初の海外展示会は、まずは中国、北京です。まずは、ではないですね。先の事はともかく、今年は、もう中国に集中しようと思います。尺八界最大にしてトヨタとは比べられない零細企業ですもの、アッチコッチ手を拡げられませんや。
3月19日から24日までで、帰国は25日です。本当は北京と雲南の昆明の2か所でやるはずだったんです。でも時間的にチョット厳しいですよね。やはり昆明なら重慶か広州とかと組み合わせるのがベストでしょうよ。
今回の尺八は岩田卓也さんが参加してくれます。彼は中国では「尺八世界チャンピオン」として有名です。第1回の「世界一決定戦」の優勝者ですもんね・・・。

私は、考えてみたら北京は40数年ぶりなのです。前に行ったときは自動車があまり無く、洪水の様に自転車が走っていました。人は全員が人民服か軍服。北京や上海の中心部でも5階建て以上の建物はほとんど無かったと思います。
その頃の中国は、まだ一般観光客には門戸を閉じていましたので、私達の泊まった、にわか仕立てのホテルらしきものは、どう見ても病院でした。日本から私をはじめとする「友好訪問団」が来る、それが生憎、政府の会議が急に決まってしまって、予定のホテルが使えず、それで病院を急遽ホテルの代わりにしたのだと推測します。それにしても入院していた人達はどうしたんだろうか？
中国では、それこそ下にも置かぬモテナシを受けましたが、夜に、こっそり町に出ようと宿泊所を抜け出ると、真っ暗な闇（当時の中国の街は夜は真っ暗でした）の中から、押し殺したような威嚇する声。ちゃんと見張られていたんですね。今は北朝鮮に行くと、同じ思いが出来るそうです。

今の中国の発展ぶりは、昔を知ってる者には夢の様です。もっとも、それを言ったら終戦直後を知ってる人達から見たら、30年経った昭和50年頃の日本も同じ感じでしょうよ。韓国だって、私が初めて行った1972年と、20年後では別世界です。
韓国人は私が初めて行った時から一貫して日本が好きでした。でも当時からアンケートでは、ソ連、北朝鮮と並んで日本が大嫌いな国のトップ３でしたね。この辺の複雑な心理はインドにおけるイギリス、ベトナムでのフランスと似ていると思います。何ですと、「日本は他国の植民地になった事が無いから、良く分からない」ですと。どういたしまして、私の若いころのアメリカに対する日本男児がそうでしたよ。女性となると、「対抗心」にあたる部分が無く、もう憧れだけだったと思います。違ってる？・・・

中国に年に何回も行く目的。
第一が「売れるから」。展示会経費にしたって、今回みたいに超売れっ子の岩田卓也を1週間拘束してさえ、経費の総額では関西や九州で展示会をやるより安いんですよ。
第二が「尺八を普及したい」。尺八って、これまで本来の楽器能力に対して不当なまでに評価が低かった。
民謡に用いられるケースでは、本曲に対して機能の何分の一しか使われない事は、古典系尺八吹きなら先刻承知の事です。念のために言いますよ、それと民謡と古典曲の優劣なんかとは何の関係もありませんからね。
私は尺八を作る立場の者ですから、古典本曲、海童道曲の上を行く機能を求めらるれソフトを待望します。それには外国人を含めて、もっと圧倒的な数の人が参加しないと駄目だと思うんです。だから中国。そう思わない人は、自分の判断で動けば良い。

そして、その後ですが、やはり日中友好です。だって韓国や中国は、日本が引っ越せない以上は「永遠の隣人」ですよ。しかも、その相互理解はミギの連中がどう言おうと、市民レベルではますます進んでいます。連年、それぞれ７百万人を越す韓国人、中国人が日本に来て、また韓国にも中国にも2百数十万人ずつの日本人が行っています。
私の若い頃って、日本人は中国人に対しては、ある程度「一目置く」ところが有りました。でもコリアンははっきり「下」に見ていました。でも、私が高校の頃になると、朝鮮焼肉の美味さが一般にも知られてきて、街にチラホラ、朝鮮料理店が現れ始めました。その後で韓流ドラマやKポップスが人気になり、前はまず見なかったのに、韓国に多数の日本女性が観光に行くようになりました。文化の力って捨てた物でもないでしょう。
だから尺八屋だって、いささかの友好の役に立ちたいじゃないですか。