廻り遭い
- 2016/05/21
- 22:46
30年以上前から25年間私の仕事を手伝ってくださった小林竹鳳さんが尺八を始めるきっかけになったのは、昭和17年のある人物との出会いでした。小林少年は夏の朝、東京行きの始発の汽車を長岡駅で待っていました。その駅の待合室では、反対方向の新潟方面の始発を待つ白い髭を生やした老人と二人きりでした。小林少年は14歳で東京も初めて、一人旅も初めてで、いつしか老人と話込んでいましたが、そのうち老人は「初めての旅...
肩書
- 2016/05/20
- 22:20
定年退職をむかえた大学時代の後輩から電話が有りました。「大橋さん、Yです」。 大橋さんだと、なぜ大橋先生と呼ばない。俺たち法政より大学のランクではダイブ落ちるし頭も顔もテメエなみに悪い中央大の者だってだ、プロの先輩に対しては敬意を持って先生と呼んでるぞ。まったく、いるんだよなあ、昔後輩だったからってナレナレしくサンずけで呼ぶ奴が・・・。「私も定年退職しました」。 60で退職して、もう働かないとの由...
跡を継ぐという事
- 2016/05/19
- 22:09
台湾展示会が予想通り大盛況で終わりましたので、帰る前日に古屋輝夫さんの希望で台北の故宮博物院に行きました。私はもう何度も来ていますが、収蔵されている70万点近い宝物を3ヶ月毎に入れ替えて展示しているので、全部見るのは17年かかると前に聞きました。ですから私にも初めて見る物がほとんどです。今回の特別展示は各時代の「清明上河図」と王羲之の「十七帖」の写しです。書道をやる人で王羲之の名を知らない人はいな...
台湾展示会 2016
- 2016/05/18
- 21:31

5月14日台北です。左から今回の通訳東さん、大橋亮太、林嵐山、場所を提供してくださった李錫奇さん。古屋輝夫さんの講習風景。今回は全員が個人レッスン希望のため、2日間で10コマしか受けられませんでした。展示会風景。始めから終わりまでこの状態。大盛況。打ち上げのしゃぶしゃぶ屋。李さんの招待。5月15日台北駅。これから高雄に向かう。高雄での講習会風景。左から大橋鯛山、高雄での通訳を務めてくれた周さん、彼女は英語...
台湾尺八界の近況
- 2016/05/18
- 12:09
昨日の深夜、台湾の展示会から戻りました。台湾も尺八情勢は混沌としてきました。当たり前ですね、いろいろな事が分かってくるにつれ考え方や志向する音楽とか違ってきますから。もうすでに人口が確定出来ません。相当の事情通の台湾人に聞いても、漠然と二百から三百の間と言うばかりです。一時は百人いた台湾尺八協会員も、神崎憲さんが亡くなって、50人にまで低下しましたが現在では80人に回復しています。台湾各地に組織に...
占い
- 2016/05/11
- 23:11
世の中にはたくさんの占いが有りますな。何百ではなく何千でしょう。あらかじめ言っておくと、私は一切信じていません。と言うより若い時からの習慣で、占いでどういう卦が出ても全く気にならないのです。この邦楽の世界にもいますな、占いに凝っている人が。そのあげく会社を潰した琴屋さんもいましたよ。方位に惑わされて引っ越しばかりやっていましたが、マジで占いを信じている人もいたんだと驚き呆れました。私も占いがたまた...
邦楽って、どうして人気が無いのだろう
- 2016/05/10
- 23:05
「キマッテらあ、聞いて詰まんねえからだよ」。私の邦楽外の友人達は事もなげに切り捨てます。ゴモットモ・・・。だがよう俺はおもしろいんだがな。「そりゃオメエは尺八のプロだからよ」、だって。プロだから面白いんではなくて、面白いからこそ気がついたらプロになっていたんだわ。「良いナア・・・」。という事はオメエ達は仕事が面白くねえのか?「詰まんないというよりは、ストレスがね・・・。オマエはストレスって有るか?...
尺八ゴロ
- 2016/05/09
- 21:25
青木鈴慕先生は、かねがね私等弟子に「尺八ゴロにはなるな」と言っていました。尺八ゴロとは?「尺八1本を持って、ヒョコタンヒョコタンあちこちの箏の師匠の所に出入りして合奏してもらうゴロツキに似た連中」。これが青木先生の定義です。そして、「合奏してもらうのならキチンと謝礼を払え」と続きます。「所定の合奏時間が終って挨拶したら一刻も早く退散しなさい。尺八をしまってから席を立つまでの時間は速ければ速いほど良...
ワビ、サビ
- 2016/05/08
- 09:38
1972年、大學4年の時です。作曲家の安達元彦先生を当時お住まいになっていた鷺宮のご自宅にお訪ねしました。電話でアポイントをとると、西武新宿線の鷺宮駅からの道順を教えてくださいましたが、その説明が精密かつ分かり易く、バツグンの頭のキレが分かりました。その様な人をもう一人知っています。青木鈴慕先生です。初めて高田馬場の尺八研究所をお訪ねした時もやはり同様の印象を持ちました。安達先生は当時32歳で「新...
立位置を見る
- 2016/05/07
- 22:21
子供達が小さかった時に、見ていたテレビで首をかしげるシーンが有りました。配下に大勢の怪獣や妖怪を抱えている親玉が子分に銀行強盗を命じていたんです。何のために? 国法も社会秩序も関係無い怪物集団が何故に金が必要なのか、愚鈍な私にはわかりませんでした。愚考するに、この怪獣にも「物を入手する為には貨幣を支払う」という一抹の良識が有ったのでしょう。様々な破壊活動や殺人は犯していますが、幸い人間ではないので...