ウナギ
- 2019/07/21
- 14:49
夏になるとウナギの宣伝が多くなりますな。万葉の昔から「夏バテにはウナギが良い」と言われていました。これは「平賀源内が云々」なんかと違って、ちゃんと根拠の有る事ですぜ。
私は「夏バテには」という理由ではウナギを食べません。夏は、私の頭で思いつくかぎりでは、世の中で最もイヤな物です。それを数値で言えば、そう、蛇の2.38倍、「昭和枯れすすき」の1・65倍くらい嫌いです。でも、私は、肉とかホルモン、ニンニクとかの体に優しい食品を日頃から大量摂取しているおかげで、夏バテって経験した事がないんですわ。だからウナギは季節と関係無く好きで食べます。
私の子供時代、家に同居していた祖父の姉、通称バアバアに「ウナギは山の芋で、成長すると川に逃げてウナギになる」と教えられました。その後の人生で、まだ一度も山芋がウナギに変身する瞬間を見ていないですが、なあにまだ人生は長い、これから見られないとは限りますめえ・・・。
ウナギは、「このところ高くなった。ウナギ専門店で食べると3、4千円もする」とは言いますが、江戸時代の文章に「蒲焼は南鐐(5百文)が煙になる」と有りますから、当時の大工の日当と同じだったんですね。今だったら一人前で1万円以上という感覚でしょう。だったら高くない。寿司とかステーキだってウナギと同じくらいはしまっせ。
私は昔ですが、邦楽の大家と会食するのにウナギ屋をよく使いました。青木鈴慕先生の好物筆頭がウナギであることは「知る人ぞ知る」ですが、横山勝也先生、中井猛先生も大好物で、この先生達からは逆に奢ってもらった事も有ります。この先生方は大家で稼ぎも良いのでしょう、味音痴ぞろいの戦中世代のくせに舌が肥えていて、連れて行っていただいた店は、どこも一寸唸る様な良い店でしたわ。味だけでなく雰囲気とか気使いとかね。
この前の台湾旅行で、夜遅く開いていた店が日本料理屋しか無かったので、仕方なく鰻重を食べました。350元ですから1300円くらいです。安いと言えば安いですが、日本の吉野家、すき家とかの鰻重と質、量、値段も同レベルでしたから、「日本と同じ」とも言えますし、「店を構えている事からすれば安い」とも言えますかね。
台湾からウナギのシラスが初めて入ってきたのは、私の高校・大学の頃、だから昭和40年代の前半でしょう。それまで誰も気が着かなかったのは不思議ですね。だって、その前に50年支配していて、「南海の未開地」を一躍、当時のアジアで最も近代化された地域にしたのは、ほかならぬ日本ですぜ。それでウナギのシラスが目に入らなかったんですかね?
ウナギの養殖自体は戦前から有りましたが、まだ一般化していなかったのでしょう。オハナシでは、「ある日本人養鰻業者が多量のウナギのシラスが台湾の農家でアヒルの餌になっているにを見て仰天したのが始まり」とかになっていますが、ともかく昭和40年代半ばには、台湾から羽田までウナギのシラスを運ぶと、「トランク一つで百万円になった」と言われるまでになりました。当時は格安航空券なんて無い時代で、飛行機代は台北までの往復で7万円もしました。仕入れ値だって急騰していましたが、それでも半分は利益でしょう。大学出の初任給が月手取り3万円の時代ですから、「話半分」としたってボロイ話です。
その頃には、台湾南部でも養殖池が至る所に出来て、「ウナギ成金」が沢山生まれていました。その頃からですよ、一般庶民でも気安くウナギが食べられるようになったのは。「天然ウナギ」なんてバカみたいに有難がる向きもいますが、相手は天然、トータルの平均値を採ったら養殖ウナギの方がズッと美味しいですよ。なんせ子供の頃は玉川に住んでいて、「天然ウナギ」ばかり食べていた私が言うんです、沼に住んでいてウナギと胡瓜が主食だった高橋照誠河童山の言う事の次に信憑性が有りまっせ。
今のウナギはほとんどが養殖です。その為、後5年もすればウナギ屋で箸の代わりにナイフとフォークが供される事でしょう。そのヨーショクに必要なウナギのシラスってやつ、存外と金に成るもんですな。私の尺八の御客にも、その元締めみたいな人がいました。鎌倉の片瀬海岸が縄張りで、若い時はサックスのプロでした。尺八はそんなに上手くなかったけど、高級車リンカーンで何度も尺八を買いに来ました。まだそんな年でもないのに亡くなってしまいましたが、その人の言うには、アルバイトでもカンテラと網を持って海に入り、運が良い時だと「一晩に50万かせげる」そうですから、私が若かったら絶対やっていましたよ。
ウナギを食べるのは日本だけではなく、他のアジア地域でもヨーロッパでも食べます。でも、ウナギが高騰したのは、多くは蒲焼のせいです。他の食べ方より格段に美味しいからで、世界中の人が、その美味しさに気がついてしまった事が原因の重いものとして挙げられます。その為に乱獲で絶滅すら危惧されるまでに減ってしまったと言われます。
尺八も、その楽器としての魅力に世界中の人が気がつきはじめました。でも、この場合は値段の高騰には向かいません。市場原理に基ずいた調整機能が正常に働き、需要と供給が価格に反映される様になると思います。その為に必要な自由競争、情報公開、機会均等などの要件も今の所着々として進んでいます。何より新規参入の多さが決め手となると思います。私は、これまで中国で通算50人以上の人を対象に製管講座をおこなってきました。9月からは台湾でも製管講座がスタートします。これでなお価格高騰が起きたら、「尺八の爆発的ブーム」の到来ですから、それはそれで嬉しい事ですわな。
私は「夏バテには」という理由ではウナギを食べません。夏は、私の頭で思いつくかぎりでは、世の中で最もイヤな物です。それを数値で言えば、そう、蛇の2.38倍、「昭和枯れすすき」の1・65倍くらい嫌いです。でも、私は、肉とかホルモン、ニンニクとかの体に優しい食品を日頃から大量摂取しているおかげで、夏バテって経験した事がないんですわ。だからウナギは季節と関係無く好きで食べます。
私の子供時代、家に同居していた祖父の姉、通称バアバアに「ウナギは山の芋で、成長すると川に逃げてウナギになる」と教えられました。その後の人生で、まだ一度も山芋がウナギに変身する瞬間を見ていないですが、なあにまだ人生は長い、これから見られないとは限りますめえ・・・。
ウナギは、「このところ高くなった。ウナギ専門店で食べると3、4千円もする」とは言いますが、江戸時代の文章に「蒲焼は南鐐(5百文)が煙になる」と有りますから、当時の大工の日当と同じだったんですね。今だったら一人前で1万円以上という感覚でしょう。だったら高くない。寿司とかステーキだってウナギと同じくらいはしまっせ。
私は昔ですが、邦楽の大家と会食するのにウナギ屋をよく使いました。青木鈴慕先生の好物筆頭がウナギであることは「知る人ぞ知る」ですが、横山勝也先生、中井猛先生も大好物で、この先生達からは逆に奢ってもらった事も有ります。この先生方は大家で稼ぎも良いのでしょう、味音痴ぞろいの戦中世代のくせに舌が肥えていて、連れて行っていただいた店は、どこも一寸唸る様な良い店でしたわ。味だけでなく雰囲気とか気使いとかね。
この前の台湾旅行で、夜遅く開いていた店が日本料理屋しか無かったので、仕方なく鰻重を食べました。350元ですから1300円くらいです。安いと言えば安いですが、日本の吉野家、すき家とかの鰻重と質、量、値段も同レベルでしたから、「日本と同じ」とも言えますし、「店を構えている事からすれば安い」とも言えますかね。
台湾からウナギのシラスが初めて入ってきたのは、私の高校・大学の頃、だから昭和40年代の前半でしょう。それまで誰も気が着かなかったのは不思議ですね。だって、その前に50年支配していて、「南海の未開地」を一躍、当時のアジアで最も近代化された地域にしたのは、ほかならぬ日本ですぜ。それでウナギのシラスが目に入らなかったんですかね?
ウナギの養殖自体は戦前から有りましたが、まだ一般化していなかったのでしょう。オハナシでは、「ある日本人養鰻業者が多量のウナギのシラスが台湾の農家でアヒルの餌になっているにを見て仰天したのが始まり」とかになっていますが、ともかく昭和40年代半ばには、台湾から羽田までウナギのシラスを運ぶと、「トランク一つで百万円になった」と言われるまでになりました。当時は格安航空券なんて無い時代で、飛行機代は台北までの往復で7万円もしました。仕入れ値だって急騰していましたが、それでも半分は利益でしょう。大学出の初任給が月手取り3万円の時代ですから、「話半分」としたってボロイ話です。
その頃には、台湾南部でも養殖池が至る所に出来て、「ウナギ成金」が沢山生まれていました。その頃からですよ、一般庶民でも気安くウナギが食べられるようになったのは。「天然ウナギ」なんてバカみたいに有難がる向きもいますが、相手は天然、トータルの平均値を採ったら養殖ウナギの方がズッと美味しいですよ。なんせ子供の頃は玉川に住んでいて、「天然ウナギ」ばかり食べていた私が言うんです、沼に住んでいてウナギと胡瓜が主食だった高橋照誠河童山の言う事の次に信憑性が有りまっせ。
今のウナギはほとんどが養殖です。その為、後5年もすればウナギ屋で箸の代わりにナイフとフォークが供される事でしょう。そのヨーショクに必要なウナギのシラスってやつ、存外と金に成るもんですな。私の尺八の御客にも、その元締めみたいな人がいました。鎌倉の片瀬海岸が縄張りで、若い時はサックスのプロでした。尺八はそんなに上手くなかったけど、高級車リンカーンで何度も尺八を買いに来ました。まだそんな年でもないのに亡くなってしまいましたが、その人の言うには、アルバイトでもカンテラと網を持って海に入り、運が良い時だと「一晩に50万かせげる」そうですから、私が若かったら絶対やっていましたよ。
ウナギを食べるのは日本だけではなく、他のアジア地域でもヨーロッパでも食べます。でも、ウナギが高騰したのは、多くは蒲焼のせいです。他の食べ方より格段に美味しいからで、世界中の人が、その美味しさに気がついてしまった事が原因の重いものとして挙げられます。その為に乱獲で絶滅すら危惧されるまでに減ってしまったと言われます。
尺八も、その楽器としての魅力に世界中の人が気がつきはじめました。でも、この場合は値段の高騰には向かいません。市場原理に基ずいた調整機能が正常に働き、需要と供給が価格に反映される様になると思います。その為に必要な自由競争、情報公開、機会均等などの要件も今の所着々として進んでいます。何より新規参入の多さが決め手となると思います。私は、これまで中国で通算50人以上の人を対象に製管講座をおこなってきました。9月からは台湾でも製管講座がスタートします。これでなお価格高騰が起きたら、「尺八の爆発的ブーム」の到来ですから、それはそれで嬉しい事ですわな。
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