尺八中古事情
- 2019/08/05
- 12:47
私は去年から本腰をいれて中古尺八の販売に参入しました。きっかけは商売になると思ったからです。けど、それだけじゃないのよ・・・。
去年の8月にロンドンの世界大会に行った折に、中古尺八を持っているヨーロッパ人の多さに驚きました。さらなる驚きは、中国と違って、それを「骨董収集」でなく実用品の楽器として持っていたことです。その多くは当然ですがガラクタです。彼等に購入の理由を訊くと、「だって新管は高いじゃないか」という返事が返ってきました。だからってガラクタが・・・。
日本でも同様に、ただの竹、つまり尺八用竹材でないものに節を抜き、7節にする為に節間の途中に歌口を書き(入れでは無く)、それを初心者に売っているメーカが存在しています。従来でも、浅草で売っている芝居の小道具としての尺八を、「楽器としての尺八」と勘違いして使っていた人はいましたが、ハッキリ楽器としてインターネットで売っていまして、それを使用している老人の初心者を実見しました。「これって尺八じゃないですよ」、そうアドヴァイスしましたけどね、「馬の耳に念仏」ですわ。
私なら尺八の判定が出来ます。「素人さんの工作」は売りません。そして、どの尺八にも「元を変化させない修理」も必ず施せます。けっして使えない状態では売りません。市場は中国圏に限定です。何故ならば中国人は「骨董収集」として購入しますので、性能がどうであれ良心が痛まない事と、より重要な点として、コレクションだから1人が何本でも買うからです。
販売時には、必ず1本ずつ「作者の解説」をして、プロの奏者が実際に吹きます。だからこそ、私がこれまでやった中古尺八のオークションは、たとえ何十本有ろうと、95パーセント以上完売しました。「エライ」ってアナタも思うでしょう。
去年の9月に上海、今年の3月に北京でやりました。そして9月に台北、11月に上海でも中古尺八の販売会を行います。ねいろの石田さんのところの尺八が主体でしたが、石田さんが「もう良い物が無い」と言いますので、彼が集めるのと並行して、私も集めています。
中古尺八の収集をして驚いた事。
① 戦後のプロ製管師、約3百人ですが、私の知らない人は存在しないと思っていました。それが自分で集めだすと、明らかにプロの技量なのに私が知らなかった人が毎月1人くらい出てきました。これって、尺八界にミーの名前を知らないヤツが生息している以上の驚きだぜ。「UFОも超能力も、ひっとしたら有るのかも?」なんて一瞬思っちゃうじゃねえかよ。
② いざ売るとなると、多くは遺族の奥さんですが、ほとんど「ごみ処理」という感覚です。「たくさん有ったので1本だけ御棺の中に入れました」とおっしゃる方もいましたがね、それで売りに来た尺八の中に上下別々の物が有りましたぞ。という事は・・・。私みたいに、あの世の存在を全く信じていない者でも、いささか心がチクりとしますな。それより、遺族にとって尺八って「余計者」」なんですよ。
③ 「エ~、買った時は百万近かったんですよ。そ、それが1万ですか・」、って云う人もいます。そういう純情な方には、昔は「貴方、騙されたんですよ」って言いましたがね、今は、自分でヤフーオークションに出品する事を御勧めしています。その前に、ヤフーオークションで、過去に落札された尺八の値段と銘の一覧が有りますから、それを見る方が早い。
④ それに関して、買い取り価格に疑問を持たれる方に、自身でオークションやメルカリに出品する事を御勧めしています。私が中古尺八の販売をしているのは道楽でもボランティアでもありませんからね、御自分でやった方が幾ら何でも高く売れますよ。それで、やり方とか教えるんですがね、多くは「やった事無いからアンタの値段で良いよ」と言います。私の印象ですが、尺八界の人の三分の二は、インターネットをやっていません。でもね、外国人の尺八吹きで、インターネットをやっていない人って、もしかしたらゼロですよ。日本って大丈夫なの?
⑤ 中古尺八で、値段のつく第一条件は銘です。「エッ、この先生って有名だと聞きましたが?」。「ええ、貴方の会以外でも情報通は知ってますよ。マイナス評価ですけどね」。言っても仕方が無いけど、これまでの尺八界って、情報が無いに等しかったですものね。でも、その点で都山の人は幸せでした。都山内での他の会の人ともショッチュウ交流しますからね、「ド下手」が名人と勘違いされる余地が、あまり無かったですわな。
古い尺八は、楽器としては未熟です。でも、個性豊かで、趣味、文化としては「これも有り」ですよ。何より、前人がいたから現在の人がいるんです。
よしんば記録だけで測れる世界だって、「古橋広之進の世界記録は今では中学生でも出す」なんて言ったって古橋の偉大さは誰も否定できませんよね。ましてや、この音楽芸術ってもんは、一つの価値観では測れない「文化」ちゅうヤツです。私も、このところ古管の愛しさがつのってきましたわ。、
去年の8月にロンドンの世界大会に行った折に、中古尺八を持っているヨーロッパ人の多さに驚きました。さらなる驚きは、中国と違って、それを「骨董収集」でなく実用品の楽器として持っていたことです。その多くは当然ですがガラクタです。彼等に購入の理由を訊くと、「だって新管は高いじゃないか」という返事が返ってきました。だからってガラクタが・・・。
日本でも同様に、ただの竹、つまり尺八用竹材でないものに節を抜き、7節にする為に節間の途中に歌口を書き(入れでは無く)、それを初心者に売っているメーカが存在しています。従来でも、浅草で売っている芝居の小道具としての尺八を、「楽器としての尺八」と勘違いして使っていた人はいましたが、ハッキリ楽器としてインターネットで売っていまして、それを使用している老人の初心者を実見しました。「これって尺八じゃないですよ」、そうアドヴァイスしましたけどね、「馬の耳に念仏」ですわ。
私なら尺八の判定が出来ます。「素人さんの工作」は売りません。そして、どの尺八にも「元を変化させない修理」も必ず施せます。けっして使えない状態では売りません。市場は中国圏に限定です。何故ならば中国人は「骨董収集」として購入しますので、性能がどうであれ良心が痛まない事と、より重要な点として、コレクションだから1人が何本でも買うからです。
販売時には、必ず1本ずつ「作者の解説」をして、プロの奏者が実際に吹きます。だからこそ、私がこれまでやった中古尺八のオークションは、たとえ何十本有ろうと、95パーセント以上完売しました。「エライ」ってアナタも思うでしょう。
去年の9月に上海、今年の3月に北京でやりました。そして9月に台北、11月に上海でも中古尺八の販売会を行います。ねいろの石田さんのところの尺八が主体でしたが、石田さんが「もう良い物が無い」と言いますので、彼が集めるのと並行して、私も集めています。
中古尺八の収集をして驚いた事。
① 戦後のプロ製管師、約3百人ですが、私の知らない人は存在しないと思っていました。それが自分で集めだすと、明らかにプロの技量なのに私が知らなかった人が毎月1人くらい出てきました。これって、尺八界にミーの名前を知らないヤツが生息している以上の驚きだぜ。「UFОも超能力も、ひっとしたら有るのかも?」なんて一瞬思っちゃうじゃねえかよ。
② いざ売るとなると、多くは遺族の奥さんですが、ほとんど「ごみ処理」という感覚です。「たくさん有ったので1本だけ御棺の中に入れました」とおっしゃる方もいましたがね、それで売りに来た尺八の中に上下別々の物が有りましたぞ。という事は・・・。私みたいに、あの世の存在を全く信じていない者でも、いささか心がチクりとしますな。それより、遺族にとって尺八って「余計者」」なんですよ。
③ 「エ~、買った時は百万近かったんですよ。そ、それが1万ですか・」、って云う人もいます。そういう純情な方には、昔は「貴方、騙されたんですよ」って言いましたがね、今は、自分でヤフーオークションに出品する事を御勧めしています。その前に、ヤフーオークションで、過去に落札された尺八の値段と銘の一覧が有りますから、それを見る方が早い。
④ それに関して、買い取り価格に疑問を持たれる方に、自身でオークションやメルカリに出品する事を御勧めしています。私が中古尺八の販売をしているのは道楽でもボランティアでもありませんからね、御自分でやった方が幾ら何でも高く売れますよ。それで、やり方とか教えるんですがね、多くは「やった事無いからアンタの値段で良いよ」と言います。私の印象ですが、尺八界の人の三分の二は、インターネットをやっていません。でもね、外国人の尺八吹きで、インターネットをやっていない人って、もしかしたらゼロですよ。日本って大丈夫なの?
⑤ 中古尺八で、値段のつく第一条件は銘です。「エッ、この先生って有名だと聞きましたが?」。「ええ、貴方の会以外でも情報通は知ってますよ。マイナス評価ですけどね」。言っても仕方が無いけど、これまでの尺八界って、情報が無いに等しかったですものね。でも、その点で都山の人は幸せでした。都山内での他の会の人ともショッチュウ交流しますからね、「ド下手」が名人と勘違いされる余地が、あまり無かったですわな。
古い尺八は、楽器としては未熟です。でも、個性豊かで、趣味、文化としては「これも有り」ですよ。何より、前人がいたから現在の人がいるんです。
よしんば記録だけで測れる世界だって、「古橋広之進の世界記録は今では中学生でも出す」なんて言ったって古橋の偉大さは誰も否定できませんよね。ましてや、この音楽芸術ってもんは、一つの価値観では測れない「文化」ちゅうヤツです。私も、このところ古管の愛しさがつのってきましたわ。、
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