技術防衛

私からの注意喚起です。三塚泉州さんの会社で「メタル尺八」を出しましたね。40万円以上の価格をどうこう言ってるんじゃないのです。研究開発費がかかっていて、なお「そんなに多く売れない商品」の場合は高額にならざるを得ないと思います。
三塚さんは「尺八の楽器としての面」に焦点を当てて、その研究の為に努力も金銭も惜しまない人です。「あれこれ言われているけど、個人の相性とか思い込みを排除した、尺八という笛の楽器面での真実の解明」、この為に、まず3Ⅾで尺八を作りました。それもホビー用ではなく、たぶん数千万円する工業用で、です。
当然、機械を買う事は出来ませんよね。でも、その為に、製作請負の会社がチャンと存在しているのです。その3Ⅾプリンターで作り、モデルが出来たら、それを、より生産コストの安い金属加工で復元生産したのが、「メタル尺八」です。高額（消費税込み約４２万円）なのも理解出来ますよ。
でも、これが来月から中国で販売されます。それも1万5千円で、です。

今月の中国展示会のおり、中国人に見せられました。「来月発売のメタル尺八です。千元（1万5千円）が予定価格です」。外形は、そっくり、性能も素晴らしい、内径は「泉州工房のメタル尺八」と同一であるかまでは、計測したわけではないので分かりません。
でも、この3点のいずれも大した問題ではありません。
内径がどうであれ、計測すれば全く同じ物が作れます。外形、材質（音には無関係ですが）等は言うまでも有りません。事の本質は、すでに各地で3Ⅾ製作の尺八が作られているほどに活発な中国尺八界が有り、それが日本と「知的財産権を守る」為の相互協定を締結していないと言う事に在ります。

機械製作は精密であるほど個人が参入できませんが、尺八製作程度の技術（コンピューター管理の製造現場では「児戯に等しい」と言われます）ですと、復元するのは簡単。やるやらないは「商売になるかどうか」の判断だけです。ですから、知的財産権で縛るわけですが、相手が協定を結んでいなかったり、また「守る気が無い」場合には、お手上げです。
真山、容山、鹿山といった竹仙系上位の技術力を持った尺八は、ここ当分海外では出来ないでしょう。「吹く力」と真面目な意図が有れば容易に可能な「性能の高度実現の技術」と異なり、その外形仕上げの技術は、独学、短期習得、少量生産では習得は無理だからです。
また、性能面で「手作り」を問題にしなくなる3Ⅾ製作も、安価であればパクったりしませんね。ダイイチ、パクられても何も痛くは有りません。私は、普及するなら大歓迎です。もともと「金儲け」じゃないもの・・・。

三塚さんの様な真面目な意図で、尺八としたら「巨額」の研究開発費を投じた結果が「パクられた」では、やってられないですよね。これを防ぐ方法は残念ながら有りません。でも、オーガニゼーションレベルでの逆輸入を防ぐ手くらいは有ると思うのです。勿論、個人輸入は、コピー商品の横行を見ても完全には防止できないと思います。でも何らかの手はうったほうが良いと私は思います。

古くからの友人ですから、電話1本で警告できるのですが、ここに公表する事で、多くの方の御知恵をお借りしたいのです・・・。