今年は勝負

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。と、まずは挨拶です。

この年を境に尺八は大きく変わる。いままでも尺八界はダイナミックな変化の途上でしたが、その変化が劇的に高まるのが今年だと、私は思っています。言うまでも無く東京オリンピックです。もう30年以上も前からオリンピックの、とりわけ開会式は開催国の総力を挙げたショーイベントの場。世界に向けた自国アピールの舞台でもあるのです。ここで日本の伝統楽器が、今まで日本人すら9割以上の人が知らなかった使われ方をして、全世界数十億の人に、その魅力と能力を問う事が予想されます。携わる人達は、政治家と違って口が堅いですが、漏れてくる些細な情報から、まずは間違いないようです。
中でも尺八は、ちょっと誰にも正確な予測が出来ないほどの変化を起こすのではないかと思います。

少しクイズを出しましょう。
①　現在の尺八屋で年間最高本数を売っている所は？
（答え）　私の所です。自己賛美が何より（白石麻衣より浜辺美波より）好きな私が、サンザン自己宣伝をしてきているのですから、このブログの読者は当然知っていますね。では第2位は？ここは誰も知らないと思います。年間約4～５百本を売る中国の一音無心社です。
多分ですが、この先の５年でベスト１０の過半を中国の業者が占めると思います。だってね、現在の中国では製管師も多数出てきていますし、3Ⅾ尺八も続々と発売され、「メタル尺八」すら販売が始まっています。
②　予想される10年後の尺八界での主流ソフトは？
（答え）　古典本曲（海童道曲の優位は、もはや歴然）と現代曲（現代邦楽ではない）。加えて「カルチャーのソフト」である歌曲。だって、ここにしか新しい人が来てないもの。歌曲の中には、歌謡曲だけでなくポップスも「国民歌謡」も民謡も入っています。シルバー産業としての「カルチャー活動」は、もう流派所属員（全流派合計で1万人前後）を数で上回るのは時間の問題です。「カルチャー」が、たとえ増えなくたって、流派所属員が今後の１０年で壊滅状態になるのは避けられないからです。
③　尺八吹きの平均年齢は？
（答え）　日本72才。台湾50くらい。中国40くらい（推定）、欧米豪50くらい（推定）。台湾以外は広い為、誰に訊いても正確には分かりません。

以上を見ても、古典邦楽を主要ソフトとする日本の既成尺八界には、明日が無い事は明白でしょう。でも、ここまで「追い込まている」と言う事は、逆に考えると、もう新しい時代に向かう準備が整ったと言う事でも有ります。「抵抗するパワー」が、もう無いのですから。
ギターがイベリア半島に入ったり、ハープシコードからピアノが出てきたり、あるいはフルートが金属製に変わったりとか、その歴史的な「変異の特異点」を尺八に求めるとすれば、私は今年だと思うのですよ・・・。