コロナ終われば

このコロナ騒ぎ、尺八界にも甚大な被害をあたえました。観光やエベントと本質的には同じ産業のタイプなので当り前ですわな。で、尺八の皆さん、勿論プロ生活者の人達ですが、持ちこたえられるの？

このコロナ禍、それによる経済への多大なマイナス影響、私は過剰反応による人災だと思っています。ホッタラカシテいたらどうなってか？「乱暴な意見だ」という人もおりましょう。ホッタラカスいうたって、手洗いや自主的な外出制限は当たり前の事でしょう。パニックになって一斉に病院検査を求め医療崩壊を起こしたイタリアと違い、手洗いマスクを励行した日本は、インフルエンザが減り、毎年1万人のインフルエンザによる死亡者が、今年は大幅に減ると言われています。
それはともかく、具体的にサーズやマーズ、2009年のパンデミックである新型インフルエンザや、全米で6万人の死者を出した2年前のインフルエンザとどこが違うのか？
今回のケースは、理由の真相は未だ不明なれど、中国が強権的な防護体勢をしいた事が全ての始まりでしょう。それなら国民の感情に敏感な政治家やテレビが右へならえをするのは当たり前の事です。その結果、世界経済は数年がかりで克服しなければならない深刻なダメージに見舞われました。
世界中の多くの人が、同様の行動をしたからと言って、それが正しいとは限りませんでしょう。私は今回の事は何年か先、落ち着いた時に「世界が陥った不安からの過剰反応」と位置付けられると思います。そう1929年の大恐慌の時の、ホーリースムートやオタワ会議、あるいは日本の軍部暴走、ドイツのナチス、戦後のインテリ層を中心とした共産主義礼賛、そういった類いの事だと思います。

今の尺八界は外国、それも中国抜きでは、すでに生存が困難な段階に入ってしまいました。それを克服できたチャンスこそオリンピックだったのですが、今はまだハッキリ言わないだけで、どうも延期されるようです。
もう仕方が無いですね。その次にどうなるのか？「たかが1年先に延びるだけだろう、それで大した違いなんて無いだろう？」という意見も有ると思います。で、そういう御意見をお持ちの方は間違い無く全員が非専業者です。尺八で生活していなければ、この1年の重大さは分からないでしょう。過去の蓄積をほぼ使い果たした上での、さらに仕事が壊滅状態になった中で迎える1年です。ダイイチ「どうせ先は無い」とは言っても、尺八界の旧体制である流や会派の構成員の平均年齢が、７３から７４に上がる事だけ見ても大問題ですぜ。５０が５１に上がるんとはエライ違いですって・・・。

でも、耐えて、何とかして乗り越えましょうや。大きく見れば尺八に関しては未来は明るいのです。18年前のサーズ騒ぎの時とは比較にならないほどに中国の尺八界は強固に成長しました。前ほどでは無くとも、このコロナ禍の中でも旺盛な需要を示しています。
こうなってからでも、私はチャイナ全般で毎月8～9本の販売実績を挙げていますが、今でも商品さえ有れば10本以上いきます。
また、昨日、三重県のKＳ山（女性）から、「4月1日スタートの尺八講座、6人集まったので人数分の尺八を用意して欲しい」との要請が有りました。この時代にですよ、もしコロナが無かったら、もっと集まっていたでしょう。事程左様に、中国需要だけでなく、尺八では日本にしか存在しない「シルバー産業」としての尺八講習も相変わらず活発です。
流や会派が消滅期に入った今、最大派閥である都山流の中枢にいる方でさえ、「都山はもう終わりです」と公言するまでに事態は進みました。
私が30年も前から言い続けてきた事、「尺八における教授産業の変化」が現実化したにすぎません。仕組み、価値観が違っただけですから、言わば幕藩体制が明治の新体制に変わった様なもので、尺八界は、これから開かれた明るい時代を迎えるのです。幕は開いたばかり、このコロナも「一時の試練」だと受け止めましょう。

先は明るい。未来は無限。でも、努力しない人の明日は昨日なの・・・。