私も今月で70になりました。60になった時は、「総ては、これからだ」と思いましたが、70ですと、もう何をやるにせよ、あまり時間が有りません。手がけたい事が有っても、「仕上げ」の出来ない可能性が出てきましたので、いきおい短観思考になってしまいます。今年の年賀状で友人達に「寿命が余ってたら少し分けてくれ」と頼んだのですが、まだ誰も依頼に応じてくれていません。ケチでしょう、みんな冷たいよね。貴方だって、そう思うでしょうが。
今年は勢いに乗ってきたところでしたが、それがこの「コロナ騒ぎ」でしょう。イッペンに水をかけられましたわ。今月なんてアナタ、売れた尺八は、まだ15本ですぜ。何時もの3割ですわ。それも8本は中国への迂回販売です。この方法を訊いてきた人もいますが、これは教えても無駄。私しかやれないと思います。それに、コロナで中国に行けなくなったので、苦肉の策として考えた、この方法が予想外に金を生み、教えるのが惜しい。これが70というものですよ。ミーの引退後の飯のタネです。年金だけじゃ不安だもん。だいいち私だって、まだ経験を積み重ねている段階です。だから4月の後半は6本売るつもりでしたが、2本はついに駄目でした。受け取ってもらえなかった・・・。
でも、明るいニュースも有るのです。かねて計画していて、7月スタート予定の「外観竹、内部3Ⅾ」の尺八が完成まで秒読みにはいりました。私は「尺八にとって歴史的な1歩」だと思っています。林鈴麟誰さんが設計からやっていますから、誰もが経験した事のない性能レベルの尺八、しかも竹製、しかも格安。
法螺だと思うなら思えば良い、私は別に気にしないね。だって、当然ながら、購入者の対象となるのは、主として、これから尺八を始めたいと思っている人達です。これからの、そういう人の多くが、「社中に入って古典をやる」ではないので、この尺八界は先入観の段階から変わります。つまり、これまで時として製管師やプロ演奏家をやりきれない思いにさせた、「奇妙な楽器観」を持たない人達が主流になるのですよ。
でも、なお「尺八は奥が深い」という嘘か真か知らないけど、まあ他の楽器との比較なら格別に嘘でも本当でも無いイメージは、それはそれで大きな尺八の売り物です。ですから、外観は「尺八と全く同じ」である必要も有ります。「伝統」、「日本の心」とかの、こういう説明不用(勝手に思わせとく)の尺八のイメージも、尺八に愛好者を増やす上での、もう一つの大きな柱です。
また、先に述べた迂回貿易は、もっと増やせるし、しかも中国圏以外にも有効です。ですから、コロナが収まれば他の国にもアプローチしたいと思っています。まずアメリカ、そしてオーストラリアです。こう考えていくと「もう70」は「まだ70」ですね。誰の生涯もが行く道の途中で終わるのでしょうし、まだ私はイッチョウやりまっせ・・・。そうそう、今月で厚生年金の払い込みも終わったの。それに医療費も自己負担は2割だってよ。これだけでも前向きの気持ちになるわな。
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