言ってもしょうがないけど、どうすんの? 「このコロナ不況」。私の予想より早く、もうすでに、日本の労働の中枢部を読者層とする「現代」、「ポスト」という二流(それだけに最大の影響力を持つ)週刊誌では、テレビでお馴染みの御医者さん達を名指しで批判する記事が出てきています。
この「コロナ禍」は半年か1年先には「不安から世界が落ちいった集団ヒステリー」と位置つけられるに決まっています。どう転んでもコロナによる死亡数を経済起因の死亡者が大きく上回る事は、もはや避けられません。ただ、それにより医療にかかわる人達がバッシングされるという様な事は有ってはなりません。
たしかにテレビには一方方向の意見を述べる御医者さん達しか出ていないですが、でも、その方向はマスコミが作った事ですし、テレビで危機を訴えてきた御医者さん達は、どの方も真面目に誠意をもって自説を述べてきているのです。「病気による死亡者数と経済不況による死亡者数とを天秤にかける」などは本来的にも医者のしてはならない事でしょう。「見積が大袈裟過ぎた」などと結果論で言ってどうなります? 「欧米と異なり手洗いが頻繫で、握手、キス、ハグの習慣も無い日本では、毎年のインフルエンザなみの被害だろう」と言っていた医者達を締め出したのは、テレビであって医療関係者の責任など何処にも存在しません。
まあ、それは私なんかが、どう云おうと、どうなるものでもありませんが、この事態から推定できる事は有ります。それは「確実にインフレが起きる」という事です。
歴史的にパンデミックの恐怖に弱く、過剰反応して医療崩壊を起こしたヨーロッパ諸国の、大盤振る舞いとも言える休業補償の財源はともかく、日本では「金を刷る」しか方法が有りません。すでに1千兆円も抱えている国の借金が、瞬時に2割増えるのですから、これでインフレが起こらなければ、経済学という学問は必要無い。このインフレという「怪物」は私が大学を卒業する頃まで、、その退治、退治出来ないまでも制御、それこそが、自由主義世界の経済学の大きなテーマでした。
昭和初期の世界大恐慌の時は、我が国は「達磨蔵相」こと高橋是清のインフレ政策で乗り切った事は良く知られていますが、今度はどうですかね?。アベちゃん達は「インフレで国の借金を軽減できる悪くない状況」と思っているかも知れませんが、どっこい「制御不能になると手がつけられない事態、つまりハイパーインフレ」になる。この怪物は怖いぜ。たとえて言うと人類史上4番目、ペスト、共産主義、ゴジラの次でしょう。
でもコロナの過剰反応に付き合わなくても、分厚い経済手当をしないのも政権維持が困難になるから辛いよね・・・。
私の在学当時は今ほどの教養社会ではなかったし、大学生も今よりはずっと買い被られていたので、私なんかでも、よくドカタや工員に質問されました。「インフレ、インフレって騒ぐけどよ、物価が倍になったって給料も倍になるんだから同じだろうよ?」。ナルホド何の問題も無いみたいですが、ここで深刻なのは「先に物価が上がり、遅れて給料が上がる」という法則です。言うまでもありませんが、インフレとは「現在の労働対価の先取り、過去の労働蓄積の食いつぶし」に他なりません。なので一番被害を被るのは、すでに労働を終えたリタイア組です。昔でも、インフレは、家や自動車のローンがアッという間に安くなるのですから、若い層には、むしろ歓迎されていましたね。
さて、尺八愛好家の皆様、ほとんどがリタイア組ですね。長年立派に勤めてきた人達ですから、今更私ごときが言う事ではありませんが、過去の蓄積を現金、貯金で持っていると危険です。だからと言って、「尺八を買え」と言っているのではないですよ。高度経済成長期のインフレは尺八にもインフレをもたらしましたが、今度は逆。経済が拡大しない、おまけに最大の顧客層であるリタイア組が一番打撃を受けるのですから、間違いありません、尺八の価格は下がります。仕組みが整っていないので、私の水準までは下がりませんが、それでも一時より値段が下がった現在の2割以上は下がると思います。それでやれない製管師は後世の「尺八思い出話」の中では「コロナ不況で消えた人」と位置付けられるだけです。
さて、一つ大事な話が有ります。それは昭和4年からの大恐慌時代、尺八界は琴古をはじめ軒並み苦境に陥りました。後に尺八界初の人間国宝になった納富寿童すら、「生活費が稼げず貯金を下ろして生活していた」と御子息の二代寿童(改定後三代)が証言しています。でも、その渦中に在って、大中尾都山が率いた都山流だけは大発展を続けていたという事実です。事ほど左様、どんな状況下でも出来る事は有るのです。
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