私の昔の友人にプロレスの大仁田厚がいます。最後に会ったのは、彼が長期の海外修行に出る直前。「長くなるから体に気をつけてね。また日本に帰ってきたら会いましょう」と言って、それっきりです。それから10年ほどたった頃、大仁田はFⅯWというプロレス団体を立ち上げて、私の近所の南足柄で旗揚げのシリーズを行い、その時に招待券を10枚送ってきました。でも、私は他の用で行けず、知人達に券を配り、祝儀を託ました。ですから、もう40年も会っていません。
その大仁田が、プロレスラーになろうと思ったのが、「ウルトラマンがゼットンに負けたのを見て、仇ウチしようと思ったから」と言います。同じことを前田日明も言ってるそうですが、いずれにしろバカすぎる。いくらハタチにもならない子供とは言え、もう少しマトモナ育ち方をしても良いでしょうが。
あれはね、着ぐるみで、中にはハヤタ隊員やモロボシ・ダンが入っているんですよ。
このほど、かねて計画していた「外側竹、内部3Ⅾの尺八」が完成の運びとなりました。考えてみれば、私にとって、この技術とも40年ぶりの再会です。40年前には、くしくも同時期に製管工房4,5社が、竹の中にプラスチックを流し込む技法を開発しました。当時は、ようやく「尺八の鳴りに材質は無関係」という、今では当たり前の知識が専門家の間で知られてきた時代でしたので、「なら内径を企画制作出来れば1番良い」と思う製管師達が出てきたわけです。でも、モンティ・レベンソンやトム・ディーバーといったアメリカ人製作者以外は、それを大っぴらにはしませんでした。
40年前は、まだそういう時代でしたよ。中にプラスチックを流し込むと、「竹の皮を被ったプラ管だ」と言われてしまいます。大正期に内径調律管が出た当時は「竹の皮を被った泥管だ」と言われていた事なんか、当然誰も知りません。まだ、楽器、音楽、情報には遠い時代でした。いくら「材質で音が変わる」とマジで言う人が多かった時代だからって、「内部がプラスチックでも外は竹だから良いだろう」とはならないでしょうが・・・。
もう一つ提供する側からすると、公にしたくない大きな理由が存在しました。だって、内部はプラスチックを流し込むのですから、価格の高い安いが理由説明困難に陥り、ひいては高額設定がしずらくなるからです。
私の技法は、「プラスチック尺八・悠の外形不良で売り物にならない物を1本2千円で購入して、外観を旋盤加工してパイプ状にしたものを竹に納める」というものでした。ただ肝心な悠の提供は1年経たないで終わりました。理由は?。「当時は教材込みで3万円で売っていた悠にとって、29800円の竹製尺八の存在が邪魔になったので」と、私は思っています。だからと言って、変なふうには、とっていませんよ。ビジネスとして、しごく真っ当な判断だと当時から思っています。
この竹を着ぐるみにした「プラスチック管」であれ「泥管」であれ、それまでの尺八の性能を大きく上回ったからこそ、世に受け入れられたのです。私が今回売り出す尺八には、竹の内部に3Ⅾ製の内径パイプが入っています。そして設計は林雅寛(鈴麟)さん。性能では、これまでの手作り尺八ではチョット太刀打ち出来ないでしょう。プラスチックを流し込むタイプだと性能の差が出るのは、どうしても1孔の先に有る最狭部、そこの中芯の合わせ目がズレるからです。また中芯を抜く関係で、上管内部の「中膨れ」も製作不能です。こっちも3Ⅾだと問題有りません。しかも目的が普及ですから格安提供。
零細企業ですから、計画は一つずつ軌道に乗せて行かなくてはなりません。現在大ヒット中の3Ⅾ尺八の次は「着ぐるみ3Ⅾ」。そして、その次には、いよいよ「身障者の為の片手で吹ける尺八」がデビューしますよ。これは秋の終わりです。
オリンピックをアテにして、今年は計画ラッシュでしたがね、まあ延期になったのは仕方がない。でも邦星堂の企画は延期しませんよ。
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