異なる世界
- 2020/08/27
- 17:59
昨夜、15年飼っていた雌のダックス犬が死亡しました。ここ1月というもの薬無しでは下痢を繰り返し、最後の2日間はモノを喰わず、水も飲まなかったので、獣医に外診を頼もうと思っていた矢先、一声高く叫んで、そのまま絶命しました。3日前まで食欲旺盛でしたし、苦しまずに死んだので安堵しています。
その犬は、15年前にペットショップで処分寸前の売れ残り歴7か月でした。顔は悪いし、毛艶は無く、あばたハゲは有る、おまけに左の後ろ脚がビッコという、見た事も無い程のミスボラシイ犬で、一目で「こりゃ駄目だ。売れないよ」と思い、見かねて買ってきました。もうオスのダックスがいましたので、1匹でも2匹でも飼う手間は一緒です。そうでしょうが、どうせ世話をするのは家内ですもの。
「これ戴きます」と言ったら、店員のオネエサンが大喜びで、さかんに性格の良さを激賞しました。そうでしょうとも、外見には一つとして褒める所が無いですもの。それでも15年、皆に可愛がられて、犬としたら上々の生涯をおくったと思います。それに犬ですからね、鏡を見ることも無く、したがって自分の器量の悪さを苦にもしないから、劣等感なんか持たず呑気に生きていました。こういう点、吉田ネズミ男や永田シンパチにも是非見習ってほしいと思います。でも、だからって高橋河童みたいな勘違い、開き直りを奨励しているわけではないですぜ・・・。
1月前の湘南展示会のおり、鯉江丈山さんの御子息がみえられました。大学の獣医科の教授さんですから、いろいろと訊きましたとも。それで、犬は人間としたら何歳くらいの知能か伺うと、「部分的には5歳児くらいではないですか」という答えです。犬は人間の個性を識別でき、その上に人の気持ちを忖度も出来る。動物としたら、かなり高度な感情も持っています。怒り、悲しみ、怯えは当然として、『猟人日記』を書いたツルゲーネフに言われなくったって、犬が笑うことくらい皆が知っていますわ。
私達が子供の頃は、5歳児といえば自分の名前を平仮名でも書けないのが普通でした。でも私は書けたから、そりゃもう天才児扱いです。これがどんなに凄い事か?、だって、かのアインシュタインだってタブン出来ないんですぜ。
当時の5歳児はダイタイ足し算だって一桁がっやっと。だから縁日の見世物で、犬が足し算はおろか、引き算にまで正解を出すのを目の当たりにして、自分も頑張らねばと向学心を燃やしたのは、ひとり私ばかりでは有りますまい。なるほど「犬は5歳児だわ」・・・。
そこへいくと猫、ありゃ駄目ですな。欲望ばかりで向上心というものが無い。私の妹は猫派で今も蛇江というメス猫を飼っています。私の弟も7月から雌の子猫を飼いはじめました。雨の夜、どっかで一晩中猫が鳴いていたので、朝になって探したら車のエンジンルームに入り込んで、雨をよけて泣いていたそうです。すぐには捨猫と識別出来ず、「どう見てもヒキガエルだと思った」そうです。それで蟇美(がまみ)と名付けたと聞いています。
犬って色盲ですから白黒映画の世界に生きています。そのかわり赤外線が見えるそうですから、「犬の見ている世界」は、私達人間の視界世界とは、かなり違うものでしょう。どちらの見ている世界も「実相」には違いありませんが、さりとて「唯一無二の真相」でもありません。
また、人間は2万ヘルツまでしか聞こえないのに、犬は5万ヘルツが聞こえます。だから、縁日の犬は、足し算や引き算はおろか、掛け算にまで正解を出すのです。犬が「正解の札」の前に来ると、客にまぎれたサクラが、人間には聞こえない3万ヘルツの犬笛を吹いて教えるのです。掛け算までで割り算を見た事が無いのは、ひょっとして合図するサクラも正解を出せなかったからでは、と邪推します。トモカク犬は、かなりウルサイ音の世界を生きています。
この様に、その当たり前と思っている世界って、他の存在から見たら、かなり不思議なモノでしょうよ。
尺八って長い間、およそ2オクターブ半の音域世界を生きてきました。それが今、3オクターブを演奏音域の射程に入れつつあります。「単に出す」ということで言えば、もう3オクターブ半が出ています。ユーチューブを見ても、すでに大甲のみでの演奏があがっていますし、それがまた「奇を衒った」というのではなく面白い。
でも、今はまだ「2オクターブ半の世界」にこそ「尺八の存在意義」が有る。何だかんだ言っても 、現在までのところ、どんなソフトにしても海道童曲以上の「尺八としての世界的普遍性」を発揮できていないのが現状です。また、音楽としては、1尺8寸管のチの甲周辺の周波数が一番心地良く聞こえるそうですし、だからこそ、長い間ここから離れないできました。
でもね、「今はまだ」は「これからも」とは違います。人間は訓練しても「犬の音域」を獲得することは出来ません。でも、「レの大甲のオクターブ上」、それはもうクリアしていますよね。でも、さらにそのオクターブ上でも、なお人間の可聴範囲です。そう、異なる領域に一歩踏み出すと、また違った世界が有るものですよ。楽しみだと思いませんか・・・。
その犬は、15年前にペットショップで処分寸前の売れ残り歴7か月でした。顔は悪いし、毛艶は無く、あばたハゲは有る、おまけに左の後ろ脚がビッコという、見た事も無い程のミスボラシイ犬で、一目で「こりゃ駄目だ。売れないよ」と思い、見かねて買ってきました。もうオスのダックスがいましたので、1匹でも2匹でも飼う手間は一緒です。そうでしょうが、どうせ世話をするのは家内ですもの。
「これ戴きます」と言ったら、店員のオネエサンが大喜びで、さかんに性格の良さを激賞しました。そうでしょうとも、外見には一つとして褒める所が無いですもの。それでも15年、皆に可愛がられて、犬としたら上々の生涯をおくったと思います。それに犬ですからね、鏡を見ることも無く、したがって自分の器量の悪さを苦にもしないから、劣等感なんか持たず呑気に生きていました。こういう点、吉田ネズミ男や永田シンパチにも是非見習ってほしいと思います。でも、だからって高橋河童みたいな勘違い、開き直りを奨励しているわけではないですぜ・・・。
1月前の湘南展示会のおり、鯉江丈山さんの御子息がみえられました。大学の獣医科の教授さんですから、いろいろと訊きましたとも。それで、犬は人間としたら何歳くらいの知能か伺うと、「部分的には5歳児くらいではないですか」という答えです。犬は人間の個性を識別でき、その上に人の気持ちを忖度も出来る。動物としたら、かなり高度な感情も持っています。怒り、悲しみ、怯えは当然として、『猟人日記』を書いたツルゲーネフに言われなくったって、犬が笑うことくらい皆が知っていますわ。
私達が子供の頃は、5歳児といえば自分の名前を平仮名でも書けないのが普通でした。でも私は書けたから、そりゃもう天才児扱いです。これがどんなに凄い事か?、だって、かのアインシュタインだってタブン出来ないんですぜ。
当時の5歳児はダイタイ足し算だって一桁がっやっと。だから縁日の見世物で、犬が足し算はおろか、引き算にまで正解を出すのを目の当たりにして、自分も頑張らねばと向学心を燃やしたのは、ひとり私ばかりでは有りますまい。なるほど「犬は5歳児だわ」・・・。
そこへいくと猫、ありゃ駄目ですな。欲望ばかりで向上心というものが無い。私の妹は猫派で今も蛇江というメス猫を飼っています。私の弟も7月から雌の子猫を飼いはじめました。雨の夜、どっかで一晩中猫が鳴いていたので、朝になって探したら車のエンジンルームに入り込んで、雨をよけて泣いていたそうです。すぐには捨猫と識別出来ず、「どう見てもヒキガエルだと思った」そうです。それで蟇美(がまみ)と名付けたと聞いています。
犬って色盲ですから白黒映画の世界に生きています。そのかわり赤外線が見えるそうですから、「犬の見ている世界」は、私達人間の視界世界とは、かなり違うものでしょう。どちらの見ている世界も「実相」には違いありませんが、さりとて「唯一無二の真相」でもありません。
また、人間は2万ヘルツまでしか聞こえないのに、犬は5万ヘルツが聞こえます。だから、縁日の犬は、足し算や引き算はおろか、掛け算にまで正解を出すのです。犬が「正解の札」の前に来ると、客にまぎれたサクラが、人間には聞こえない3万ヘルツの犬笛を吹いて教えるのです。掛け算までで割り算を見た事が無いのは、ひょっとして合図するサクラも正解を出せなかったからでは、と邪推します。トモカク犬は、かなりウルサイ音の世界を生きています。
この様に、その当たり前と思っている世界って、他の存在から見たら、かなり不思議なモノでしょうよ。
尺八って長い間、およそ2オクターブ半の音域世界を生きてきました。それが今、3オクターブを演奏音域の射程に入れつつあります。「単に出す」ということで言えば、もう3オクターブ半が出ています。ユーチューブを見ても、すでに大甲のみでの演奏があがっていますし、それがまた「奇を衒った」というのではなく面白い。
でも、今はまだ「2オクターブ半の世界」にこそ「尺八の存在意義」が有る。何だかんだ言っても 、現在までのところ、どんなソフトにしても海道童曲以上の「尺八としての世界的普遍性」を発揮できていないのが現状です。また、音楽としては、1尺8寸管のチの甲周辺の周波数が一番心地良く聞こえるそうですし、だからこそ、長い間ここから離れないできました。
でもね、「今はまだ」は「これからも」とは違います。人間は訓練しても「犬の音域」を獲得することは出来ません。でも、「レの大甲のオクターブ上」、それはもうクリアしていますよね。でも、さらにそのオクターブ上でも、なお人間の可聴範囲です。そう、異なる領域に一歩踏み出すと、また違った世界が有るものですよ。楽しみだと思いませんか・・・。
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