片手で吹ける尺八

１１年前です。脳梗塞になりまして、右手が不自由になりました。突如なので事態に心が追い付きませんでしたよ。私たるや、なにしろ心掛けは良い、肉、ニンニクなどの体に優しい食品は豊富に摂取している。酒は適量、タバコは１０歳の時やめた。なのに何でオレがカタワになるの？。
まあ、なったものはシャアないわ。リハビリのおかげで、ダイタイの生活全般は半年で旧に復しました。でも、尺八が演奏出来なくなった事が重大な支障として残りました。世の多くの人が、私の美しい尺八の演奏で善美に触れることも、もう望めません。でも、その後でも「日本人の倫理観が大きく落ち込んだ」とは聞いていませんので、そこは危惧していたことは杞憂となりました。
演奏だよ、演奏。自分で尺八を演奏できなくなる事が、どんなに残念か、健常者には分かりますまい。そうなってみると、私以外にも半身不随で尺八界からリタイヤした人が、思いのほか多い事も分かりました。
で、「片手で吹ける尺八」の開発に当初から取り組んで来ましたが、そこはそれ、オレって一応超売れっ子ジャン、忙しくてね、何度も途中で中断です。それが劇的な進展を迎えたのが６月の九州展示会です。昔馴染みの重兼正道さんと会っていて、見本を見せられました。やはり学生邦楽出身の仲間は頼りになる。それまでは、指がとどかないのを、クラリネットの弁で解決しようと思っていて暗礁に乗り上げていましたが、その見本で分かりました。「なんだ、別に１尺８寸じゃなくて良いんだ」。
それで完成したのが上の写真です。右用と左用が有ります。



固定させるためのグッズも写真のゴム（座奏用）と指に付けるゴムと有ります。その他のグッズも付いて２万５千円。「金儲けの為では無くとも、金も欲しい」。だったら、これが妥当な線だと思いませんかな。リハビリにも効果絶大だと思いますぜ・・・。
明日の展示会から正式販売開始です。地方の人で、私が展示会で行くまで「待てねえ」と言う方。地方発送もしています。