無法の始まりか
- 2021/02/13
- 14:24
これまで尺八では「出来心でズブの素人を騙した」以外の贋作は無かったはずです。私は数年前に衝撃を受けた事が有ります。ある人から都山流の超一流製管師の作品を修理に持ち込まれました。目を疑ったのは出来の酷さだけではなく、鳴りも劣等品、おまけに焼き印が無く、代わりに、その有名製管師の銘が彫刻刀で彫って有りました。訊くと「友人から買いました。日本一の人だそうですね」と言います。初心者を騙して「笑えない額の金」を詐取した事は明らかです。私の答え「酷い友人ですね。これは修理する価値が無いモノです」。でも、まだ怪訝な顔をしていますので、「アナタ騙されたんですよ」と言い、騙しの経緯を総て解説しました。
こういうケースは、これまでも、あるいは存在したかも知れません。でも、極めて珍しいケースだったはずです。
前から「誰々銘の尺八には偽物も多い」と言う人はいましたが、私は無いと思います。中古尺八専門店ネイロの石田さんに訊いても、大阪芸大の志村先生に訊いても、同じ見解でした。「購入して時間がたって、作者が謝って伝えられている(昔は銘が無い尺八も多かった)。そう言う場合を別にして、明確に意図した贋作など見た事が無い」そうです。
まして戦後はそうでしょうよ。尺八人気がピークだった時、たとえば真山がいくら百万円で売れると言ったって、その高度に訓練され、洗練された技術を、ある程度にでも模倣出来るくらいなら、偽物を作ったりしない。自分の銘で売り出す。それに、「これから始めるヤツだ。まだ尺八を見た事も無いし、ワカリャしねえよ」とタカをくくって、もし贋作作りがバレたら、尺八は狭い世界ですからヒトが相手にしなくなるばかりか、当然自分の周囲でしか売れませんから、地域社会でも爪弾きですわ。だから前記のケースは例外中の例外ですって。
ところがね、最近では「絶対に贋作」ってのが有るんですよ。今の尺八界、とりわけ中古尺八の相場は中国がつくっています。それでも当然ですが、真山とか容山とかの都山流系上位の製管師の贋作品は有りません。理由は簡単、模倣不能だからです。模倣出来るくらいの技術力が有れば、新たに自己ブランドを立ち上げますよ。
狙われているのは相対的に技術水準が低いが、なおかつ好事家の間で高額で取引される琴古の古管です。「ビンテージ琴古有名人」の作の大半とまでは言わないですよ、近いけど。それと「地無し有名品」ですね。こっちはその気になれば琴古管よりも偽製作は簡単です。ヤフーオークションで怪しいのが出品される度に、詳しい(その銘柄に関しては)人に確認するのですが、「怪しい」と思っても断定出来ないのは、「修理とかで後で別の人が手を加えた」と言われれば、それまでだからです。何しろ尺八は同じ物が存在しないのですから厳密な比較検討が出来ません。ダイイチほとんどのが高額中古尺八が中国へ行くんだし、何を言っても無駄でしょう・・・。
最近、メタル尺八で知られる月泉組の偽ブランドが出現したそうですな。邦楽ジャーネルの田中さんに話しましたよ。「何で月泉組なの?」って。同じメタル尺八なら泉州工房をパクった方がハヤイと思いませんか?。40万円近いわけですし、日本と中国の間には「知的財産権を守る協定」が無いのですからね。同じ中国人企業の月泉組を狙うよりは、後の事が簡単だと思うのですよ。何か別の判断が有るんでしょうね、利口な中国人達がやるのですから。
泉州のメタル尺八は精密な「削り出し製作」で、月泉組のは同じく精密な「鋳造製作」ですが、それは事の本質ではない。工業製品は、精密だとは言っても尺八程度の精度であれば、創造は大変でも「丸ごとパクリ」は簡単です。
美術品や骨董品では贋作は日常茶飯ですが、最近起きた、大家達の贋作版画事件を見ても分かる様に、組織だっての贋作、しかも有名百貨店を巻き込んでの贋作となったら流石に問題化します。でも尺八の場合は、琴古の歴史的著名人だ地無しの大家だ、と言っても所詮は尺八。タカの知れた金額ですし、証明も困難な上に、購入者は中国人ですし、まず問題化しません。でも、こういうのって尺八人気の高まり故の弊害で済むんですかね・・・。
こういうケースは、これまでも、あるいは存在したかも知れません。でも、極めて珍しいケースだったはずです。
前から「誰々銘の尺八には偽物も多い」と言う人はいましたが、私は無いと思います。中古尺八専門店ネイロの石田さんに訊いても、大阪芸大の志村先生に訊いても、同じ見解でした。「購入して時間がたって、作者が謝って伝えられている(昔は銘が無い尺八も多かった)。そう言う場合を別にして、明確に意図した贋作など見た事が無い」そうです。
まして戦後はそうでしょうよ。尺八人気がピークだった時、たとえば真山がいくら百万円で売れると言ったって、その高度に訓練され、洗練された技術を、ある程度にでも模倣出来るくらいなら、偽物を作ったりしない。自分の銘で売り出す。それに、「これから始めるヤツだ。まだ尺八を見た事も無いし、ワカリャしねえよ」とタカをくくって、もし贋作作りがバレたら、尺八は狭い世界ですからヒトが相手にしなくなるばかりか、当然自分の周囲でしか売れませんから、地域社会でも爪弾きですわ。だから前記のケースは例外中の例外ですって。
ところがね、最近では「絶対に贋作」ってのが有るんですよ。今の尺八界、とりわけ中古尺八の相場は中国がつくっています。それでも当然ですが、真山とか容山とかの都山流系上位の製管師の贋作品は有りません。理由は簡単、模倣不能だからです。模倣出来るくらいの技術力が有れば、新たに自己ブランドを立ち上げますよ。
狙われているのは相対的に技術水準が低いが、なおかつ好事家の間で高額で取引される琴古の古管です。「ビンテージ琴古有名人」の作の大半とまでは言わないですよ、近いけど。それと「地無し有名品」ですね。こっちはその気になれば琴古管よりも偽製作は簡単です。ヤフーオークションで怪しいのが出品される度に、詳しい(その銘柄に関しては)人に確認するのですが、「怪しい」と思っても断定出来ないのは、「修理とかで後で別の人が手を加えた」と言われれば、それまでだからです。何しろ尺八は同じ物が存在しないのですから厳密な比較検討が出来ません。ダイイチほとんどのが高額中古尺八が中国へ行くんだし、何を言っても無駄でしょう・・・。
最近、メタル尺八で知られる月泉組の偽ブランドが出現したそうですな。邦楽ジャーネルの田中さんに話しましたよ。「何で月泉組なの?」って。同じメタル尺八なら泉州工房をパクった方がハヤイと思いませんか?。40万円近いわけですし、日本と中国の間には「知的財産権を守る協定」が無いのですからね。同じ中国人企業の月泉組を狙うよりは、後の事が簡単だと思うのですよ。何か別の判断が有るんでしょうね、利口な中国人達がやるのですから。
泉州のメタル尺八は精密な「削り出し製作」で、月泉組のは同じく精密な「鋳造製作」ですが、それは事の本質ではない。工業製品は、精密だとは言っても尺八程度の精度であれば、創造は大変でも「丸ごとパクリ」は簡単です。
美術品や骨董品では贋作は日常茶飯ですが、最近起きた、大家達の贋作版画事件を見ても分かる様に、組織だっての贋作、しかも有名百貨店を巻き込んでの贋作となったら流石に問題化します。でも尺八の場合は、琴古の歴史的著名人だ地無しの大家だ、と言っても所詮は尺八。タカの知れた金額ですし、証明も困難な上に、購入者は中国人ですし、まず問題化しません。でも、こういうのって尺八人気の高まり故の弊害で済むんですかね・・・。
スポンサーサイト