灸
- 2021/05/29
- 10:45
私の子供の頃、家にはお灸に使うモグサが置いてありました。昭和35年に62で死んだ祖母が使っていたものです。健康オタクで、マムシ、ホルモン焼き、朝鮮人参といった強精食品に目が無かった祖父は、84で死ぬまで、いたって健康で灸を使っていたところは見た事がありません。
時々、私達も灸は使いました。と言っても悪戯で。「根性焼き」のソフト版、つまり我慢比べですよ。チョット前までは、懲らしめる意味で「お灸を据える」と言ってたでしょう、そういうこってすわ。ほんの少量モグサを摘みましてな、肩に載せる、線香で火をつけて、弟や近所の友達の中で、さあ誰が一番遅くまで我慢できるか?。祖母は極めて温和な人で、子供達が何をしようと何も言いませんから、マアやりたい放題でしたな。、
法政大学三曲会の合宿でも、ОBの中に滑川、平川といった鍼灸師達がいましたから、「寝ているヤツにお灸を据えようぜ」とか「お前達、一瞬で失神させるツボとか知らねえのかよ?」とか学生に悪戯をしかける為に誘ったのですが、アイツら、何に寄らず非人道的な悪戯は大好きなくせに、そういう誘いには一向に首を縦に振らねえでやんの。あんな奴らでも、自分が修行して身につけた技術には畏敬の念が有るんだな・・・。だがよう、技術とはヒトを喜ばしてナンボだぞ。真に尊敬すべき先輩(オレだよ)の依頼を断ってまで、自分達のプライドを守りてえか?。
さて、少し厄介な話になるんですが、灸って本当に効果が有るのでしょうか?。医者でも鍼灸師でも無い私がアレコレ言うのは不遜でしょうが、少しお付き合いを。
これまで訊いた御医者さんのうち、有効性に賛意を示した人はいませんでした。でも、多くの方が偽薬効果(プラシーボ)を挙げていましたから、一定の効果については認めていたのでしょう。
18世紀にオーストリアにフランツ・メスマーという「医者」がいて、「動物磁気」と称する器械で大評判になった有名な話が有ります。これは全くのインチキですが、一定の人には治療効果があった事も確からしいのです。ですから、メスマーは詐欺師扱いをされますが、「何故ある種の人達には効果が有るんだろう?」の疑問から、催眠術や心理治療が生まれました。
人間の心とは不思議なものです。「眠れない」という人に「睡眠薬だ」と言って小麦粉を与えると眠ってしまう。これが「プラシーボ効果」ですが、その場合、医者とかの信用の有る人であることが大切で、私みたいなもんでは駄目だということですわ。滑川、平川、だから悪いけどよう、オレ、灸とか信じてはいないんだわ。だけど、お前らの身につけたマッサージ技術については認めるよ。お前ら、どっちも真面目でイイヤツだもんな。
前人達が言ってた尺八に関する物理的な事って、大半は出鱈目、そう言って悪ければ「思い込み」に類する事でした。総サンプル数の少なさやデーターから結論を導き出す為のワラントが中学生レベルでしたね。
この30年、一つには実験器具の向上、一つには安定した息を保持できるプロ奏者が輩出したことで、急速に真相解明が進みました。でも、これまでの「真相解明」は言ってみたらデモストレーション、もう分かっていた事の確認にすぎません。3Ⅾプリンターが様々な事に使える今からは、「未知の領域」を探る実験、本来のエクスペリメントの段階に入ります。
でも忘れてはいけないんですよね。尺八という楽器が相手にしているのは機械ではなく、「人間の心」なんですよね。雑音や「音痴とされる音程」にも時として心惹かれる「人間の心」という不思議なモノです。
でっかい音がする尺八、踊りだしたくなる尺八音楽、正確無比なコントロール、これら皆良いですよ。でも、心がシンミリする演奏や、何処か懐かしい音とかも良いもんでっせ。
そういう多様性の追求もまた3Ⅾが使える利点です。「地無し管を3Ⅾで再現しても微妙に違う」。これもデモストレーション。材質が違います。ただ意味が違う。材質は音とは何の関係も有りません。でも内壁表面の反響が、分かる分からないを別にして存在するようです。3Ⅾで様々な樹脂で同一尺八を作ると、「振動の大きい歌口周辺の反響が違う」と吹き手は言います。竹製尺八でもミクロン単位での振動は確認されていますから、まだ「思い込み」と断じる事は出来ません。
でも地無し管で言えば、それより大きいのが地無し管に無数に存在している目に見えないレベルの細かい穴でしょう。では?。いいじゃありませんか。そう言う事を含めての「人間の心」ですって。そういう部分が他の楽器より多いからこそ尺八なんです。尺八の文化としてのスケールの大きさです。そういった所まで含めないと真の発展とは言えないと思うのですよ。
時々、私達も灸は使いました。と言っても悪戯で。「根性焼き」のソフト版、つまり我慢比べですよ。チョット前までは、懲らしめる意味で「お灸を据える」と言ってたでしょう、そういうこってすわ。ほんの少量モグサを摘みましてな、肩に載せる、線香で火をつけて、弟や近所の友達の中で、さあ誰が一番遅くまで我慢できるか?。祖母は極めて温和な人で、子供達が何をしようと何も言いませんから、マアやりたい放題でしたな。、
法政大学三曲会の合宿でも、ОBの中に滑川、平川といった鍼灸師達がいましたから、「寝ているヤツにお灸を据えようぜ」とか「お前達、一瞬で失神させるツボとか知らねえのかよ?」とか学生に悪戯をしかける為に誘ったのですが、アイツら、何に寄らず非人道的な悪戯は大好きなくせに、そういう誘いには一向に首を縦に振らねえでやんの。あんな奴らでも、自分が修行して身につけた技術には畏敬の念が有るんだな・・・。だがよう、技術とはヒトを喜ばしてナンボだぞ。真に尊敬すべき先輩(オレだよ)の依頼を断ってまで、自分達のプライドを守りてえか?。
さて、少し厄介な話になるんですが、灸って本当に効果が有るのでしょうか?。医者でも鍼灸師でも無い私がアレコレ言うのは不遜でしょうが、少しお付き合いを。
これまで訊いた御医者さんのうち、有効性に賛意を示した人はいませんでした。でも、多くの方が偽薬効果(プラシーボ)を挙げていましたから、一定の効果については認めていたのでしょう。
18世紀にオーストリアにフランツ・メスマーという「医者」がいて、「動物磁気」と称する器械で大評判になった有名な話が有ります。これは全くのインチキですが、一定の人には治療効果があった事も確からしいのです。ですから、メスマーは詐欺師扱いをされますが、「何故ある種の人達には効果が有るんだろう?」の疑問から、催眠術や心理治療が生まれました。
人間の心とは不思議なものです。「眠れない」という人に「睡眠薬だ」と言って小麦粉を与えると眠ってしまう。これが「プラシーボ効果」ですが、その場合、医者とかの信用の有る人であることが大切で、私みたいなもんでは駄目だということですわ。滑川、平川、だから悪いけどよう、オレ、灸とか信じてはいないんだわ。だけど、お前らの身につけたマッサージ技術については認めるよ。お前ら、どっちも真面目でイイヤツだもんな。
前人達が言ってた尺八に関する物理的な事って、大半は出鱈目、そう言って悪ければ「思い込み」に類する事でした。総サンプル数の少なさやデーターから結論を導き出す為のワラントが中学生レベルでしたね。
この30年、一つには実験器具の向上、一つには安定した息を保持できるプロ奏者が輩出したことで、急速に真相解明が進みました。でも、これまでの「真相解明」は言ってみたらデモストレーション、もう分かっていた事の確認にすぎません。3Ⅾプリンターが様々な事に使える今からは、「未知の領域」を探る実験、本来のエクスペリメントの段階に入ります。
でも忘れてはいけないんですよね。尺八という楽器が相手にしているのは機械ではなく、「人間の心」なんですよね。雑音や「音痴とされる音程」にも時として心惹かれる「人間の心」という不思議なモノです。
でっかい音がする尺八、踊りだしたくなる尺八音楽、正確無比なコントロール、これら皆良いですよ。でも、心がシンミリする演奏や、何処か懐かしい音とかも良いもんでっせ。
そういう多様性の追求もまた3Ⅾが使える利点です。「地無し管を3Ⅾで再現しても微妙に違う」。これもデモストレーション。材質が違います。ただ意味が違う。材質は音とは何の関係も有りません。でも内壁表面の反響が、分かる分からないを別にして存在するようです。3Ⅾで様々な樹脂で同一尺八を作ると、「振動の大きい歌口周辺の反響が違う」と吹き手は言います。竹製尺八でもミクロン単位での振動は確認されていますから、まだ「思い込み」と断じる事は出来ません。
でも地無し管で言えば、それより大きいのが地無し管に無数に存在している目に見えないレベルの細かい穴でしょう。では?。いいじゃありませんか。そう言う事を含めての「人間の心」ですって。そういう部分が他の楽器より多いからこそ尺八なんです。尺八の文化としてのスケールの大きさです。そういった所まで含めないと真の発展とは言えないと思うのですよ。
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