
本日17日は実験日です。いつもの様に林雅寛(鈴麟)さんに来てもらいました。

3Ⅾ尺八烽火・開の組み合わせ実験です。

実験用尺八は上中下と3パーツに分れています。歌口は7タイプです。この組み合わせって実は膨大です。暇だったら何通り有るか計算してみて下さい。これ自体が何十種類もの実験モデルから絞り込まれたタイプなのです。

勿論ですが、3種類ある尺八の内径傾斜もそれぞれ違います。それを更に組み替えて吹いてみるのです。

分かった事。この内径だとベストの組み合わせに対して、歌口の深さは5ミリでは浅く、7ミリだと反応が鈍い。6ミリか6ミリ弱が良い。

吹き手は内吹きの林さんと外吹きの大橋亮太。これで暫定ですがスーパータイプ烽火・開が完成です。後はプロ達に吹いてもらい、感想を集積します。
さて音域拡大、大甲です。このスーパータイプ烽火・開は音のボリュームも凄いが大甲もスムーズに出ます。「出たって使わない」という意見は置いといて、解説します。
① ツの大甲 3孔開けで菅尻を膝で塞ぐ。7孔尺八は便利でかつ不便ですが、このツの大甲に関しては膝が不要ですね。だったら6孔(上だけ小穴)で良い、そう言うプロは多いですね。実は私も6孔派なのです。
② レの半音(レのメリ)。いちいち言わないけど、ここの解説は全て大甲の出し方です。1孔開け2孔半開。
③ レ。1孔2孔開け。
④ チの半音(チのメリ)。1孔2孔4孔開け。
⑤ チ。1孔3孔4孔開け。
⑥ ハの半音(ヒの大メリ)。1孔3孔5孔開け。
⑦ ハ(ヒ)。2孔開け。
⑧ ロ。3孔4孔開け。
⑨ ツの半音(大メリ)の大大甲。3孔4孔5孔開け。
この烽火・開ならば、ここまではコツはスグつかめると思います。さて、その上の音。ツの大大甲、究極の音レの大大甲です。この2つの音は高度なテクニックを用します。手使いはともに大甲と同じです。ただ、問題は息使いです。菅原久仁義さんに3年前の尺八世界大会のおりに、ロンドンでやってみせてもらいましたが、口を閉じた状態から、急にパッと開いて歌口に息を吹き付ける奏法です。つまり息を塞き止め、高めた内圧を一気に開放して、強いエネルギーをを歌口にぶつけるのでしょう。
「どうせ」と云ったら語弊がありますが、ここ当分は演奏に使う事は無い音なので、この烽火・開でいろいろ試してみてください。簡単には出ないかも知れませんが、この烽火・開より出やすい尺八も(ほとんど)無いですよ。
(補足) 菅原さんによれば、声帯と肺の圧、唇と息のコントロールが絶妙に決まって、はじめてレの大大甲が出現するのだそうです。ロンドンで見た時は、いとも簡単にやった様に見えましたが、ここでも大変な努力が有ったんですえね。
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