グレーゾーン
- 2021/10/26
- 14:16
2時間の昼休みが終わり、午後2時から仕事なので、10分前にテレビをつけてコーヒーを飲む。もう思い出せないくらい前からの習慣です。その時間帯のテレビコマーシャルに「過払い金返還」の弁護士の宣伝広告が流れるのも、これも前からです。この過払い金返還により、それまで「我が世の春」を謳歌していたサラ金が、一転して地獄の淵に追い込まれた事はサラリーマンなら良く御存知でしょう。でも、収入保障が無いので、銀行やサラ金が金を貸さない尺八専業者は、この事は良く知らないでしょうから後で説明します。
俺達ってホント金融関係には信用無いよな。いくら今の稼ぎが良くたって、もし交通事故なんかに遭って指でも動かなくなったら、もうそれでパーだもんね。銀行が金を貸さないのも分かりますよ。何しろ担保価値が有る不動産の購入、それもバブル前の35年前だって銀行の審査は自由業には厳しかったですよ。サラ金でも2万円が限度ですと・・・。
過払い金の話に戻すと、前々から利息制限法という法律自体は有ったのです。10万から100万円までが最高利率18パーセント、101万から180万円までが15パーセントです。でも、これじゃ銀行が相手にしない人、すなはち「信用や財産の無いオカタ」にも貸すサラ金はやっていけませんわな。そこで、厄介なことに、もう一つ存在していた出資法という法律を根拠にサラ金は貸出ししてたんですわ。それだと29パーセント強の利息を取れるんです。この二つの法律併存による金利の差、ここは長く「グレーゾーン」と言われてきました。でも、2006年でしたな、最高裁でこの「グレー金利」が違法という判断が出たんです。
そしたら、ここを「金の成る木」と見た弁護士が一斉に目をつけました。「過去に払った金利差額を利息付きで取り戻せる」ってことで、それまでサラ金にセッセッと高い利息を運んできた人々は喜びました。弁護士が「正義感にかられて」なんて余程に純情な人でなければ思いませんな。
ここにも事情が有って、政策で弁護士資格所有者が激増した。司法書士、行政書士が弁護士しか出来なかった法律業務の一部をカバー出来るようになった、とかで仕事の食い合いが起き、弁護士の平均所得が激減したところで、ここに「大いなる食い扶持」が見つかったわけです。
漫画やヤクザ映画ならともかく、現実にはサラ金もメチャな取り立てなど出来なくなっていましたし、それに出資法という法律に基ずいて営業してきたのですから、サラ金だって立派な職業です。「これからは出資法の使用を禁止します」ではなく、長い間ウヤムヤにしてきた「グレーゾーン金利」を遡って金利付きで返さなくてはならないなんて、どうもシックリしませんな。
ここで注意しなくてはならない事は、サラ金の一般イメージは極端に悪かったので、これはイジメではなく御仕置と採られ、一般人の同情をかわなかった事です。まさか「法律は弱きを助け強きを挫く」とか本気で思ってんじゃねえだろうな。サラ金の後は、より強い体質を持つ銀行やカード会社が「第二サラ金」と化して、限度いっぱいの金利で貸し出しています。こういうのって「自分は関係無い」とかではなく、何時法律が自分にも牙を剥いてくるか気になりませんかね・・・。
そこで尺八です。尺八というものは小売店が存在しません。これは起源を辿れない程の昔から、師匠が小売店の代わりをしてきたからです。尺八と同様に価格が確定できないものでも、絵画とか陶磁器は小売店が存在しています。この「価格が本当の意味では存在しない」という事も重要な価値になり得るわけで、政治家への「合法的な賄賂」に散々使われてきました。A政治家がB小売店から事務所に飾るための絵を百万円で買う。しばらくすると、またB小売店が現れて「Ⅽ社がどうしても欲しいと言ってるので、1千万円で買い戻したい」と言って買い戻す。これでⅭ社からB店経由でA政治家へ渡った金は合法的商取引となります。カラクリの構図は猿芝居でも法的に突き崩す事は困難です。
尺八は価格が存在しなくても、決して賄賂にも贈答品にも使われません。でもね、ここでも師匠がはたして幾らで弟子に売っているか、マージンゼロなのか納入価格の4倍(私の例だと3万円で納入した尺八が20万円で売られていた事が有ります)なのか5倍なのか、これは売った師匠しか知らない事で、製管師が口を出せない言わば「グレーゾーン」です。しかも、通常の商取引と異なり、この尺八の受け渡しは、全てが「言わずもがな」であって、明文化された約束など何処にも存在しません。
これが遡って問題化する事が有るんですよ。師匠が弟子に発行した領収書が何かの拍子に税務署に渡り、製管師の納税帳簿に記載された金額との間の差。これは処理を間違えると重加算税(脱税認定)にまで至ります。現に同業者で、そうなったケースが有るのですわ。
サラリーマンより体質の脆弱な自由業者はファジーな部分、グレーゾーン無くして出来ない面が有ります。そこへ建前は「法の下での平等」をうたっていても、本質的には社会的強者の道具でもある法律が、時として厳密適用という牙を剥いて来る事が有るのです。ほとんど全ての事情に見当がついていても税を取り立てるのが職業エートスですから、別に税務署の職員を恨んじゃいませんよ。だって俺達自営とか自由業は15パーセント以下の票田、どう見ても社会的弱者だもの・・・。
それでも尺八の「グレーゾーン」は昔に比べれば少なくなりましたよ。だって、ここの多くは納入業者と小売り、つまり製管師と師匠の力関係ですもの。今、製管師の死命を制する様な大きな販売力を持つ師匠って誰がいますか?。
俺達ってホント金融関係には信用無いよな。いくら今の稼ぎが良くたって、もし交通事故なんかに遭って指でも動かなくなったら、もうそれでパーだもんね。銀行が金を貸さないのも分かりますよ。何しろ担保価値が有る不動産の購入、それもバブル前の35年前だって銀行の審査は自由業には厳しかったですよ。サラ金でも2万円が限度ですと・・・。
過払い金の話に戻すと、前々から利息制限法という法律自体は有ったのです。10万から100万円までが最高利率18パーセント、101万から180万円までが15パーセントです。でも、これじゃ銀行が相手にしない人、すなはち「信用や財産の無いオカタ」にも貸すサラ金はやっていけませんわな。そこで、厄介なことに、もう一つ存在していた出資法という法律を根拠にサラ金は貸出ししてたんですわ。それだと29パーセント強の利息を取れるんです。この二つの法律併存による金利の差、ここは長く「グレーゾーン」と言われてきました。でも、2006年でしたな、最高裁でこの「グレー金利」が違法という判断が出たんです。
そしたら、ここを「金の成る木」と見た弁護士が一斉に目をつけました。「過去に払った金利差額を利息付きで取り戻せる」ってことで、それまでサラ金にセッセッと高い利息を運んできた人々は喜びました。弁護士が「正義感にかられて」なんて余程に純情な人でなければ思いませんな。
ここにも事情が有って、政策で弁護士資格所有者が激増した。司法書士、行政書士が弁護士しか出来なかった法律業務の一部をカバー出来るようになった、とかで仕事の食い合いが起き、弁護士の平均所得が激減したところで、ここに「大いなる食い扶持」が見つかったわけです。
漫画やヤクザ映画ならともかく、現実にはサラ金もメチャな取り立てなど出来なくなっていましたし、それに出資法という法律に基ずいて営業してきたのですから、サラ金だって立派な職業です。「これからは出資法の使用を禁止します」ではなく、長い間ウヤムヤにしてきた「グレーゾーン金利」を遡って金利付きで返さなくてはならないなんて、どうもシックリしませんな。
ここで注意しなくてはならない事は、サラ金の一般イメージは極端に悪かったので、これはイジメではなく御仕置と採られ、一般人の同情をかわなかった事です。まさか「法律は弱きを助け強きを挫く」とか本気で思ってんじゃねえだろうな。サラ金の後は、より強い体質を持つ銀行やカード会社が「第二サラ金」と化して、限度いっぱいの金利で貸し出しています。こういうのって「自分は関係無い」とかではなく、何時法律が自分にも牙を剥いてくるか気になりませんかね・・・。
そこで尺八です。尺八というものは小売店が存在しません。これは起源を辿れない程の昔から、師匠が小売店の代わりをしてきたからです。尺八と同様に価格が確定できないものでも、絵画とか陶磁器は小売店が存在しています。この「価格が本当の意味では存在しない」という事も重要な価値になり得るわけで、政治家への「合法的な賄賂」に散々使われてきました。A政治家がB小売店から事務所に飾るための絵を百万円で買う。しばらくすると、またB小売店が現れて「Ⅽ社がどうしても欲しいと言ってるので、1千万円で買い戻したい」と言って買い戻す。これでⅭ社からB店経由でA政治家へ渡った金は合法的商取引となります。カラクリの構図は猿芝居でも法的に突き崩す事は困難です。
尺八は価格が存在しなくても、決して賄賂にも贈答品にも使われません。でもね、ここでも師匠がはたして幾らで弟子に売っているか、マージンゼロなのか納入価格の4倍(私の例だと3万円で納入した尺八が20万円で売られていた事が有ります)なのか5倍なのか、これは売った師匠しか知らない事で、製管師が口を出せない言わば「グレーゾーン」です。しかも、通常の商取引と異なり、この尺八の受け渡しは、全てが「言わずもがな」であって、明文化された約束など何処にも存在しません。
これが遡って問題化する事が有るんですよ。師匠が弟子に発行した領収書が何かの拍子に税務署に渡り、製管師の納税帳簿に記載された金額との間の差。これは処理を間違えると重加算税(脱税認定)にまで至ります。現に同業者で、そうなったケースが有るのですわ。
サラリーマンより体質の脆弱な自由業者はファジーな部分、グレーゾーン無くして出来ない面が有ります。そこへ建前は「法の下での平等」をうたっていても、本質的には社会的強者の道具でもある法律が、時として厳密適用という牙を剥いて来る事が有るのです。ほとんど全ての事情に見当がついていても税を取り立てるのが職業エートスですから、別に税務署の職員を恨んじゃいませんよ。だって俺達自営とか自由業は15パーセント以下の票田、どう見ても社会的弱者だもの・・・。
それでも尺八の「グレーゾーン」は昔に比べれば少なくなりましたよ。だって、ここの多くは納入業者と小売り、つまり製管師と師匠の力関係ですもの。今、製管師の死命を制する様な大きな販売力を持つ師匠って誰がいますか?。
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