静かな進展
- 2021/11/30
- 10:20
「コロナ前と比べると尺八界はどう変わったか?」ですって、貴方の想像の通りですよ。2年に渡って、演奏会はもとより御稽古教室、カルチャー講座も全て駄目ですから、そりゃ酷いものですわ。
「でも何かプラス面も無いか?」、と言われれば大いに有ります。旧尺八界と新しい尺八界との交代が急激に進んだ事です。ビジネスだってそうでしょうが、オンライン化が急速に進みましたよね。尺八だって、演奏や教習で生活していた人が皆駄目だったかと言えば、コロナ前よりズット仕事を増やしている人だって、少ないながらいるのです。言わずとも分るでしょうが、1人の例外も無くユーチューブ、スカイプ講習を活用した人達です。「オンラインでは尺八教授は無理」と言う人が今でもいますが、そう思うなら、やらなきゃ良いだけの事。貴方がどう思うかとかは関係無く、「ナントカ工夫してやってみよう」という人が勝手にやります。誰が騒いだって歴史は進むのです。
製管業界だって、誰もが駄目という事は無く、たとえば私の所はコロナ前と変わらず、昨日で言えば1日7本の注文が方々から入りました。これは輸出とは別で、全て国内需要です。何故か?って、安いからですって、他に理由は有りません。品質、性能だけで言ったら、ウチに較べて遜色の無い製管工房は20以上有りますわ。私の尺八を使っている現役プロの方はコロナ前だって多かった。でも、この2年で更に増えて、今で言うと、おそらくプロの使用でもトップクラスだと思います。プロだって、安くても使える尺八を求めているんですよ。8寸管と6寸管、それも1本の「持ち笛」だけで済ませていた昭和までのプロとは違いますもんね。ソフトの増大によって使用する寸法も多く、舞台用もソフトに合わせてですし、他に録音用とか有りますから、プロも大変な時代ですな。
尺八の価格の高さは、もう今の、現役世代がいない時代状況ではコロナと関係無く受け入れられません。20万円を越える尺八なんて、正当性はともかく、現実感が有りません。従来の価格を「正当なもの」と本気で思うなら、それも一つの見解ですから、私がとやかく言う事ではありません。結果は自己責任ですし、それより極く少人数ながら、泉州や龍畝などの様に「これなら高くたってコアなファンが付くよ」って製管師だっているのです。そういう事を含めて、少しずつ進んでいた時代が、ここで劇的な推移を見せたという点が、まあコロナで良かった数少ない出来事ですかね。
「劇的に進んだ」、そういう点で言えば2年前から始まった異素材尺八の提供。私の所の3Ⅾシリーズ、泉州工房のエアリードエックス、中国企業だと一音無心の星嵐、月泉組のメタル尺八、こういった新製品の開発過程には、いずれも3Ⅾプリンターが使われています。尺八の構造解析の現場に3Ⅾプリンターが持ち込まれた事で、尺八の物理的な解明も一気に進みました。
今でも珠に、「尺八の材質と音との間には密接な関係が有るのでは?」と訊かれる事が有ります。真面目な質問ならチャンと答えますが、「思いこんだ人」相手には解説する時間が無駄だと思いますから、それなりの対峙です。やはり私が71才になった事が大きいですね。「無駄だと思う事」は避ける傾向が多くなりました。「尺八の音と材質には濃密な関係が有る」、今ではこういう意見を主張する人自体が稀になりましたし、仮りに、そう言う事を言う人がいても、今では反論しません。もう科学的にすっかり分かっている事ですし、その誤認識が生じた原因すら明白になっている事に、あえて反論する必要も時間も無いし、それに本当の気持ちを言えば「御勝手に」です。
でも、これは3Ⅾが持ち込まれる以前に解決していた問題なのです。何度も何度も科学的な実験が行われて結論が出た事ですし、その実験すらデモストレーションであって、本来の意味での実験、エクスペリメントではありません。要は「エネルギー保存の法則」とか「熱力学第一法則」を理論的に突破できるかどうかで、もし出来ればノーベル賞ですから、個人レベルの実験や感想でどうなる事でも無いのですわ。
幾らなんでも「3Ⅾ効用」でそんな幼稚な事を言うつもりはないのです。尺八の歌口形状とか1孔下の最狭部から管尻までの副定在波と音色の関係、歌口と管尻に生じている管端補正(計算値の中の長さ)と音色の関係、菅尻開口(ハイパスフィルター)が音色に影響しない内径傾斜、内吹き外吹き共通の内径傾斜etc。こういう今まで明確に実証出来なかった事が3Ⅾ製作で次々と明らかになりつつあります。
でも、尺八製作の現場では科学を無視出来なくとも、尺八あるいは尺八音楽は言ってみれば文化ですから、その点で、どういう「科学や現実と乖離した事」を主張しても良いのです。例えて言うと、「UFО(正確には空飛ぶ円盤)や宇宙人を実際に見た」と言う人は多いですよね。映画や漫画では人気アイテムです。でも、現実社会ではどうでしょうか、「大変だ宇宙人が出た」と天文台とか交番に駆け込んでも全く相手にされません。これは「光速不変の法則」を知らない人でも、社会全体が「何かの錯覚。常識から言って、そういうモノは無い」で意識の共通項を形成しているからです。
ですから、こう言えると思います。尺八に限らず科学は科学、文化は文化。そう言う要素を包含して初めて豊かな文化となるのではないですかね。でも科学を基礎に持っていない人や世界は基本的に脆弱ですよ・・・。
「でも何かプラス面も無いか?」、と言われれば大いに有ります。旧尺八界と新しい尺八界との交代が急激に進んだ事です。ビジネスだってそうでしょうが、オンライン化が急速に進みましたよね。尺八だって、演奏や教習で生活していた人が皆駄目だったかと言えば、コロナ前よりズット仕事を増やしている人だって、少ないながらいるのです。言わずとも分るでしょうが、1人の例外も無くユーチューブ、スカイプ講習を活用した人達です。「オンラインでは尺八教授は無理」と言う人が今でもいますが、そう思うなら、やらなきゃ良いだけの事。貴方がどう思うかとかは関係無く、「ナントカ工夫してやってみよう」という人が勝手にやります。誰が騒いだって歴史は進むのです。
製管業界だって、誰もが駄目という事は無く、たとえば私の所はコロナ前と変わらず、昨日で言えば1日7本の注文が方々から入りました。これは輸出とは別で、全て国内需要です。何故か?って、安いからですって、他に理由は有りません。品質、性能だけで言ったら、ウチに較べて遜色の無い製管工房は20以上有りますわ。私の尺八を使っている現役プロの方はコロナ前だって多かった。でも、この2年で更に増えて、今で言うと、おそらくプロの使用でもトップクラスだと思います。プロだって、安くても使える尺八を求めているんですよ。8寸管と6寸管、それも1本の「持ち笛」だけで済ませていた昭和までのプロとは違いますもんね。ソフトの増大によって使用する寸法も多く、舞台用もソフトに合わせてですし、他に録音用とか有りますから、プロも大変な時代ですな。
尺八の価格の高さは、もう今の、現役世代がいない時代状況ではコロナと関係無く受け入れられません。20万円を越える尺八なんて、正当性はともかく、現実感が有りません。従来の価格を「正当なもの」と本気で思うなら、それも一つの見解ですから、私がとやかく言う事ではありません。結果は自己責任ですし、それより極く少人数ながら、泉州や龍畝などの様に「これなら高くたってコアなファンが付くよ」って製管師だっているのです。そういう事を含めて、少しずつ進んでいた時代が、ここで劇的な推移を見せたという点が、まあコロナで良かった数少ない出来事ですかね。
「劇的に進んだ」、そういう点で言えば2年前から始まった異素材尺八の提供。私の所の3Ⅾシリーズ、泉州工房のエアリードエックス、中国企業だと一音無心の星嵐、月泉組のメタル尺八、こういった新製品の開発過程には、いずれも3Ⅾプリンターが使われています。尺八の構造解析の現場に3Ⅾプリンターが持ち込まれた事で、尺八の物理的な解明も一気に進みました。
今でも珠に、「尺八の材質と音との間には密接な関係が有るのでは?」と訊かれる事が有ります。真面目な質問ならチャンと答えますが、「思いこんだ人」相手には解説する時間が無駄だと思いますから、それなりの対峙です。やはり私が71才になった事が大きいですね。「無駄だと思う事」は避ける傾向が多くなりました。「尺八の音と材質には濃密な関係が有る」、今ではこういう意見を主張する人自体が稀になりましたし、仮りに、そう言う事を言う人がいても、今では反論しません。もう科学的にすっかり分かっている事ですし、その誤認識が生じた原因すら明白になっている事に、あえて反論する必要も時間も無いし、それに本当の気持ちを言えば「御勝手に」です。
でも、これは3Ⅾが持ち込まれる以前に解決していた問題なのです。何度も何度も科学的な実験が行われて結論が出た事ですし、その実験すらデモストレーションであって、本来の意味での実験、エクスペリメントではありません。要は「エネルギー保存の法則」とか「熱力学第一法則」を理論的に突破できるかどうかで、もし出来ればノーベル賞ですから、個人レベルの実験や感想でどうなる事でも無いのですわ。
幾らなんでも「3Ⅾ効用」でそんな幼稚な事を言うつもりはないのです。尺八の歌口形状とか1孔下の最狭部から管尻までの副定在波と音色の関係、歌口と管尻に生じている管端補正(計算値の中の長さ)と音色の関係、菅尻開口(ハイパスフィルター)が音色に影響しない内径傾斜、内吹き外吹き共通の内径傾斜etc。こういう今まで明確に実証出来なかった事が3Ⅾ製作で次々と明らかになりつつあります。
でも、尺八製作の現場では科学を無視出来なくとも、尺八あるいは尺八音楽は言ってみれば文化ですから、その点で、どういう「科学や現実と乖離した事」を主張しても良いのです。例えて言うと、「UFО(正確には空飛ぶ円盤)や宇宙人を実際に見た」と言う人は多いですよね。映画や漫画では人気アイテムです。でも、現実社会ではどうでしょうか、「大変だ宇宙人が出た」と天文台とか交番に駆け込んでも全く相手にされません。これは「光速不変の法則」を知らない人でも、社会全体が「何かの錯覚。常識から言って、そういうモノは無い」で意識の共通項を形成しているからです。
ですから、こう言えると思います。尺八に限らず科学は科学、文化は文化。そう言う要素を包含して初めて豊かな文化となるのではないですかね。でも科学を基礎に持っていない人や世界は基本的に脆弱ですよ・・・。
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