ニッパチ

正月明けから休みなく仕事をしてまして、展示会が終わったので、奥方サービスの意味も有って、昨日から1泊で箱根の温泉へ行ってきました。夕方ホテルのロビーにいたら、２５才くらいでしょうか、隣のソファーにいた綺麗な女性が「よろしかったら如何ですか」とチョコレートを差し出すじゃありませんか。
ウーム、不思議だ。2月1４日でもないのに、どうしてオレに「本命チョコ」をくれるんだろう？。幾ら考えても分からない・・・。

私が大学生の頃、そう昭和40年代には「バレンタインのチョコ」なんて無かったよ。法政大学三曲会の男の中に貰ったヤツがいないってんじゃねえんだぜ。まだ「バレンタイン」そのものが大学生にさえ知られていなかったんですわ。でも、当時でも大学生なら3～4割は「バレンタインデーの習慣」そのものの存在は知っていたんでは無いかと思います。でも、女性層には全く知られていませんでした。その何よりの証拠に、私ほどの男がチョコを貰った事が無かったんですからね。
バレンタインデーの伝説に関しては、私は中学の時から知っていました。それと云うのもクラスにはイロンナ知識オタクが沢山いて、ソヤツらとの会話で、学校勉強の数十倍あるいは数百倍の知識が得られました。それにまた、国民学校しか出ていない私の祖父が豊富な知識を持っており、辞典を引くまでも無く、大概の事は訊けば答えてくれました。例えばこんな具合です。子供時代よく祖父と蔵前とか両国に行きまして、当然ながら大勢の相撲取りを見ました。その相撲取りが、どの位置にいるのか祖父は一目で言い当てました。「ほら、あの子は、この寒いのに浴衣一枚だ。でも下駄でなく雪駄だから三段目だよ。アイツは幕下、外套は着てるけど袴無し」。相撲ファンの祖父は十両以上の顔は全て知ってましたしね。
私の高校以上における学校勉強不用論（勘違いしなさんな、学校不用論ではありませんぜ）は何と言っても、この祖父の存在が大きかったと思います。
あと私が「小巻スト」だった点も大きいですね。「栗原小巻のファンは知識人が多い」、当時よく言われていた事です。そうだ、熱烈な小巻ストだからオレも知識人だ。だから学校勉強なんてしなくて良いんだ。アッパレ高校生にして「世の真相」が分かっていました。良かったよな～、だから毎日が楽しかった。この事に関しては、大正解だったと今も思っています。

欧米では、聖バレンタインが刑死した日に親しい人に送り物をする習慣は、かなり古くから有ったと言われています。でも、これをチョコレートに特定したのは、日本の菓子屋の手柄です。冬場に売り上げの落ちる菓子の販売法として「起死回生の一手」となりました。日本ではホワイトデーをでっち上げましたが、こちらのマシュマロは定着せず、別の「お返し」に取って代わられました。チョコと違いマシュマロって人気は無いし、それにたとえ「義理チョコ」にせよ、マシュマロで済ましたら男が下がりますよ。
「今までのオマエのブログで見当は付く、つまり尺八販売にも知恵を出せってんだろう？」、そうなんですよ。それでアナタならどういう促販手段を考えます？。

俗にニッパチ（二八）と言いますな。二月と八月は売り上げが落ちる。何も尺八に限った事ではなく、物販が全般として、そう言う傾向に在るらしいですね。ところが2月は、持って行き様で尺八にとっては期待できる月なのです。この現象は20年前くらいからですね。
今の尺八界の新規参入者には、もう現役世代はいないんです。何故か？。ここ30年、労働管理が進んで、もう決まった日、決まった時間に稽古に行くことも、日曜を何回も潰して演奏会の為に使う事も出来なくなりました。効率性の追求で労働現場は、40年前だと４人がかかっていた労働量を、今は３人でやっているんではないですかね。これでは尺八組織に入って活動するわけがないですよ。
代わって盛んになったのが、リタイア後の世代を対象にしたカルチャー講座です。そう尺八ビジネスは日本ではシルバー産業に大きく舵を切ったのです。このカルチャー講座を4月の新年度から新に始めるケースが多いのです。その準備も募集も2月です。だからってポカンとしてたら注文なんか来ませんぜ。だから尺八普及に意欲が有る人と会うごとに、カルチャーのノウハウを含めた話をするんですよ。その結果15年前から私の所は2月は期待の大きい月です。今年も、もう二つの新規カルチャーから注文が8本来ています。そのうちの一つは3月になったら、更に注文をくれるらしいですわ。