癖
- 2022/02/09
- 09:57
「人間、無くて七癖」とか言いますな。誰にでも癖や長所、欠点が有り、それがまた、その人の個性にもなっているものです。私自身で言えば、大学3年の11月に有る「就職予備面談」で長所と短所を問われ、長所「顔の美しさ」、短所「物事を客観的に判断できない事」と答えて、どういうわけか面接官に大笑いされました。
私の属した法政大学三曲会について言えば、皆が私の様に、良くも悪くも常識人であり、破天荒な人間はいませんでした。欠点の中で、表に出るのが「酒癖」くらいです。私の2年先輩の西山さんは、「アル中」のアダナ通り、酔うと目が座って、初めの頃は随分と怖かったものです。でも慣れると人柄の良さが分かって、「それも面白い」と受け止められました。結婚してからは、見違える様な爽やかな人柄になりましたが、考えてみれば、これが本来の西山さんなのでしょう。
酒で乱暴になる者はいませんでしたが、痴呆状態になる人だと、1年上の浅野さん、私の代の吉田、山本。3人とも普段はオヒトヨシを絵に描いたような、きわめて温厚な人間なのですが、飲み過ぎると幼児みたいになりました。浅野さんは女子部員の前で小便を漏らしたり、風呂で溺れかけたりした事がありましたが、吉田も「こいつホントのバカじゃねえか」と思わせた事が再三有りました。その一つを言いましょう。彼と一緒に住んでいた若い頃、酒を飲みながらテレビで「水戸黄門」を見ていた時ですよ。私くらいの通になると、たとえばテレビで「水戸黄門」なんか見ていても、悪いヤツは出た瞬間に分るものです。ホントです、ハッタリじゃねえぜ。で、自分を無くす程に酔っぱらった吉田も、テレビを見て言うじゃありませんか。「ほら、大橋、悪いヤツが出て来たぞ」。 ・・・吉田よ、言いにくいんだが「水戸黄門」はもう終わって、テレビは消したんだよ。消えた画面にオメエの顔が映てんだわ・・・。
それも昔の事、今は猛省の結果、人柄の良い面だけが伸びました。本来3人とも頭が良いですからね。だけど不思議だ、顔は悪いままだ。映画やテレビでの社会教育の成果で、今は「顔の悪い人間は悪人だ」が社会のコンセンサスになりましたが、彼等はマア例外という事でしょうか。
ともかく「酒に飲まれて我を無くす様な者は、一流企業では課長以上に行けない」と言われます。尺八界でも、私の前の世代までは、プロのくせに酒に飲まれて人柄が一変する人もいましたが、流石に今だと通用しない。いないと思います。若い頃に酒癖を云々された人も今は治っているようで、そんな悪評は聞きません。尺八のプロは立場が弱いですからね。相対的にまだ立場の強い糸方にはいるようです。もっとも、それは立場なのか訓練精度の低さによるものなのかは知りませんけど・・・。
私の経験では、酒を飲んで人柄が変わり絡む人は、気の小さな人、劣等感の強い人や常に満たされないモノを抱えている人がほとんどだと思います。だから相手にならず、黙って、やり過ごせば良いと思います。
さて、人に癖、あるいは短所が無ければどうでしょうか?。余程に持て余すものでも無ければ、癖や欠点も面白い。個性だと思えませんかな。「欠点の無い人」がいるとして、そういう人は信頼は出来ても、はたして友人として付き合って面白いですか?。
私、3Ⅾ尺八を作って、つくずく思うのですが、3Ⅾ尺八は性能だけで言ったら、おそらく誰が作った竹製尺八にしろ勝てないです。やや控えめに言ってもアベレージで3Ⅾ製作を上回る事は至難の業です。でも3Ⅾは全部が同じです。愛すべき欠点も有りません。竹の尺八の様に使っているうちに色が着く事も、新たな長所を発見して愛しさが増すことも有りません。音楽実演だってそうでしょうが、生は面白い、だけどⅭⅮなんかは何度聞いても、失敗も無い代わりに同じです。
自分だけの尺八。使いこなす時間と共に自分に馴染みます。欠点もカバー出来ると、それ自体がカワイイと感じます。3Ⅾ尺八って「音楽が有って、それを復元する媒体」、そう道具ですよ。竹製尺八って、それを包含した「文化」なんです。
私の属した法政大学三曲会について言えば、皆が私の様に、良くも悪くも常識人であり、破天荒な人間はいませんでした。欠点の中で、表に出るのが「酒癖」くらいです。私の2年先輩の西山さんは、「アル中」のアダナ通り、酔うと目が座って、初めの頃は随分と怖かったものです。でも慣れると人柄の良さが分かって、「それも面白い」と受け止められました。結婚してからは、見違える様な爽やかな人柄になりましたが、考えてみれば、これが本来の西山さんなのでしょう。
酒で乱暴になる者はいませんでしたが、痴呆状態になる人だと、1年上の浅野さん、私の代の吉田、山本。3人とも普段はオヒトヨシを絵に描いたような、きわめて温厚な人間なのですが、飲み過ぎると幼児みたいになりました。浅野さんは女子部員の前で小便を漏らしたり、風呂で溺れかけたりした事がありましたが、吉田も「こいつホントのバカじゃねえか」と思わせた事が再三有りました。その一つを言いましょう。彼と一緒に住んでいた若い頃、酒を飲みながらテレビで「水戸黄門」を見ていた時ですよ。私くらいの通になると、たとえばテレビで「水戸黄門」なんか見ていても、悪いヤツは出た瞬間に分るものです。ホントです、ハッタリじゃねえぜ。で、自分を無くす程に酔っぱらった吉田も、テレビを見て言うじゃありませんか。「ほら、大橋、悪いヤツが出て来たぞ」。 ・・・吉田よ、言いにくいんだが「水戸黄門」はもう終わって、テレビは消したんだよ。消えた画面にオメエの顔が映てんだわ・・・。
それも昔の事、今は猛省の結果、人柄の良い面だけが伸びました。本来3人とも頭が良いですからね。だけど不思議だ、顔は悪いままだ。映画やテレビでの社会教育の成果で、今は「顔の悪い人間は悪人だ」が社会のコンセンサスになりましたが、彼等はマア例外という事でしょうか。
ともかく「酒に飲まれて我を無くす様な者は、一流企業では課長以上に行けない」と言われます。尺八界でも、私の前の世代までは、プロのくせに酒に飲まれて人柄が一変する人もいましたが、流石に今だと通用しない。いないと思います。若い頃に酒癖を云々された人も今は治っているようで、そんな悪評は聞きません。尺八のプロは立場が弱いですからね。相対的にまだ立場の強い糸方にはいるようです。もっとも、それは立場なのか訓練精度の低さによるものなのかは知りませんけど・・・。
私の経験では、酒を飲んで人柄が変わり絡む人は、気の小さな人、劣等感の強い人や常に満たされないモノを抱えている人がほとんどだと思います。だから相手にならず、黙って、やり過ごせば良いと思います。
さて、人に癖、あるいは短所が無ければどうでしょうか?。余程に持て余すものでも無ければ、癖や欠点も面白い。個性だと思えませんかな。「欠点の無い人」がいるとして、そういう人は信頼は出来ても、はたして友人として付き合って面白いですか?。
私、3Ⅾ尺八を作って、つくずく思うのですが、3Ⅾ尺八は性能だけで言ったら、おそらく誰が作った竹製尺八にしろ勝てないです。やや控えめに言ってもアベレージで3Ⅾ製作を上回る事は至難の業です。でも3Ⅾは全部が同じです。愛すべき欠点も有りません。竹の尺八の様に使っているうちに色が着く事も、新たな長所を発見して愛しさが増すことも有りません。音楽実演だってそうでしょうが、生は面白い、だけどⅭⅮなんかは何度聞いても、失敗も無い代わりに同じです。
自分だけの尺八。使いこなす時間と共に自分に馴染みます。欠点もカバー出来ると、それ自体がカワイイと感じます。3Ⅾ尺八って「音楽が有って、それを復元する媒体」、そう道具ですよ。竹製尺八って、それを包含した「文化」なんです。
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