去勢
- 2022/06/20
- 14:38
4年前に亡くなった青木鈴慕先生は、人に厳しく、自分勝手で、我がままで、そして何より怒りの感情を制御出来ない人でした。でも、あんなに優しく思いやりに富み、面倒見が良く、かつ人情に厚い人も珍しいですね。
プロ尺八家達に対しての演奏批評も辛辣でしたが、私らプロでない弟子には、けっして技術評価などはしませんでした。「出来ない人は出来る範囲で吹けば良いんですよ」が青木先生の御言葉です。先生が嫌がったのは、プロのテクニックを聞きかじりで真似て、未消化の状態で演奏に使う事でした。「下手な手を入れるとイヤですね、演奏が下品で」と不快な顔をしていました。
中で、私が聞いたうち、最下等の評価が「去勢された演奏ですね」です。「素人なら下手で当り前。せめて一生懸命に吹いている性根を見せろ」という事なんだと思います。
先生が最も重視したのが「心映えの爽やかさ」で、プロの弟子であっても「職業的技巧」は評価しませんでした。言ってみたら南画、文人画の境地が最も近いでしょうか。オドオドした吹き方で、それでいて花魁道中みたいに飾り立てた演奏が、青木先生の一番嫌う「去勢された」です。
これは決して「男性的な演奏が良い」ではなく、まだ女性尺八家が少なかった時代に、女性の尺八演奏の素晴らしさを真っ先に評価した人も青木先生です。「どっちつかずの中性的な演奏」に対してダメ出しをなさったんですね。
ここからは蛇足ですから、私達、法政大学三曲会出身者みたいな下品な人間になりたくない人は、出来れば御読みくださるな・・・。
私達日本人は、直接的にせよ朝鮮半島経由にせよ、古くからイロイロな事を中国から学んできました。今では「純然たる日本の伝統文化」と思われているモノにしても、その実、中国がルーツなんてものが大多数です。
中で、科挙制度、纏足、宦官など学ばなかったものも有ります。科挙制度が根ずく為には前段階として、「貴族支配の終わり」が必須ですから、中国で10世紀の五代期、朝鮮で12世紀の高麗中期に貴族が没落したのに、日本では「個人の能力と関係無く、先祖の功績がそのまま社会的地位」という武家社会になりましたから、「高級官僚イコール儒学の大学者」という科挙なんて、成り立つわけが有りません。中国だって功臣の子孫しか高位に登れなかったモンゴル人の元は、そうだったでしょう。
纏足は、私は見た事が無いですが、30年前に私の所で働いていた11名の中国人の中で、半数近くは「子供の頃に見た事が有る」と言っていました。科挙も宦官も勿論、日本以上に中国文化を取り入れた朝鮮やベトナムにしろ、この纏足だけは受け入れませんでした。「纏足したオンナは抜群の味だ」と涎を垂らす人物は異常性欲者だけですが、その前に、女性も労働力として必要な社会では纏足は無理ですよ。その証拠に中国人でも、女性も働いた客家には纏足の習慣が無かったでしょう。
宦官は、去勢された男子で、日本を除く世界の宮廷で広く見られた人達です。少数単位でしか生活できない遊牧民社会でも、一たび集団化し征服王朝となって、宮廷というものを形成すると、たちまち何処からともなく宦官が現れました。
宮廷の雑用係ですが、去勢されて生殖能力が無いので、宮廷にいる女性と不純異性交遊の関係にはならない。子孫を残せないので権力の世襲が無い、ナンセ子供がいないんだから蓄財しようとも思わないだろう等で最適な宮廷使用人だろうと期待したんでしょうが、そこはそれ、世の中とは儘ならんものですなぁ・・・。
宦官は去勢された後も、切り取られた性器を一生大事に保管しましたが、これが牛や豚となると違います。食肉文化後進国の日本では見ませんが(ホントどうしてるんだろう)、他の国では貴重な食材です。
例えばアメリカの西部や中西部。夥しい肉牛が去勢されて大量の睾丸が出ます。アメリカに行って「ロッキーオイスター」とか言われても、ゲテに適性が無い人は「ロッキー山脈の近くでも牡蠣が食べられるんだ」とか思ったらアキマヘンで。牛の睾丸です。
もう25年前に死んだプロレスラーのディック・マードックは、サインにもカタカナでビールと書くほど無類のビール党でしたが、ビールの何よりの友は、この牛の金玉の唐揚げ。でも絶対に「ロッキーオイスター」とは言ってなかったな、「フラ何とか」だった気がする。
そうそう、40年以上前に私の所でバイトしていた学生達、若松、山下、本間、出町、田村、横田達、みんな憶えているよな。地元の焼肉屋・トーハトで食べた、豚の金玉の刺身をニンニク醤油で喰うタマ刺し。河豚の白子を薄味にした様な味。過酷な労働の後はビールとタマ刺しで明日の英気を養ったもんだ。貧しく知能も低いオマエ達が、今でも立派にやれているのは、鯛山先生の善導と、若い時に食ったタマ刺しのお陰に違いない。
で、分かっただろう。青木先生がおっしゃった様に、金玉を切り取った人(が、いたとして)の吹く尺八は最低だけど、だからと言って、逆に大量に摂取したところで尺八は上手くならない。オマエラが何よりの証拠だ・・・。
暑くなったので、今日はアイスクリームのレディボーデンを食べました。昔し、このアイスが出たての頃はケギライして食べませんでした。何によらず虚偽記載は嫌いなんです。そうでがしょう、レディにホーデンが有るわけない。でも、誤解の氷解した今は大好物です。アイスクリームは、これが一番。
食べて昔を思い出し、このブログになったわけですわ。
プロ尺八家達に対しての演奏批評も辛辣でしたが、私らプロでない弟子には、けっして技術評価などはしませんでした。「出来ない人は出来る範囲で吹けば良いんですよ」が青木先生の御言葉です。先生が嫌がったのは、プロのテクニックを聞きかじりで真似て、未消化の状態で演奏に使う事でした。「下手な手を入れるとイヤですね、演奏が下品で」と不快な顔をしていました。
中で、私が聞いたうち、最下等の評価が「去勢された演奏ですね」です。「素人なら下手で当り前。せめて一生懸命に吹いている性根を見せろ」という事なんだと思います。
先生が最も重視したのが「心映えの爽やかさ」で、プロの弟子であっても「職業的技巧」は評価しませんでした。言ってみたら南画、文人画の境地が最も近いでしょうか。オドオドした吹き方で、それでいて花魁道中みたいに飾り立てた演奏が、青木先生の一番嫌う「去勢された」です。
これは決して「男性的な演奏が良い」ではなく、まだ女性尺八家が少なかった時代に、女性の尺八演奏の素晴らしさを真っ先に評価した人も青木先生です。「どっちつかずの中性的な演奏」に対してダメ出しをなさったんですね。
ここからは蛇足ですから、私達、法政大学三曲会出身者みたいな下品な人間になりたくない人は、出来れば御読みくださるな・・・。
私達日本人は、直接的にせよ朝鮮半島経由にせよ、古くからイロイロな事を中国から学んできました。今では「純然たる日本の伝統文化」と思われているモノにしても、その実、中国がルーツなんてものが大多数です。
中で、科挙制度、纏足、宦官など学ばなかったものも有ります。科挙制度が根ずく為には前段階として、「貴族支配の終わり」が必須ですから、中国で10世紀の五代期、朝鮮で12世紀の高麗中期に貴族が没落したのに、日本では「個人の能力と関係無く、先祖の功績がそのまま社会的地位」という武家社会になりましたから、「高級官僚イコール儒学の大学者」という科挙なんて、成り立つわけが有りません。中国だって功臣の子孫しか高位に登れなかったモンゴル人の元は、そうだったでしょう。
纏足は、私は見た事が無いですが、30年前に私の所で働いていた11名の中国人の中で、半数近くは「子供の頃に見た事が有る」と言っていました。科挙も宦官も勿論、日本以上に中国文化を取り入れた朝鮮やベトナムにしろ、この纏足だけは受け入れませんでした。「纏足したオンナは抜群の味だ」と涎を垂らす人物は異常性欲者だけですが、その前に、女性も労働力として必要な社会では纏足は無理ですよ。その証拠に中国人でも、女性も働いた客家には纏足の習慣が無かったでしょう。
宦官は、去勢された男子で、日本を除く世界の宮廷で広く見られた人達です。少数単位でしか生活できない遊牧民社会でも、一たび集団化し征服王朝となって、宮廷というものを形成すると、たちまち何処からともなく宦官が現れました。
宮廷の雑用係ですが、去勢されて生殖能力が無いので、宮廷にいる女性と不純異性交遊の関係にはならない。子孫を残せないので権力の世襲が無い、ナンセ子供がいないんだから蓄財しようとも思わないだろう等で最適な宮廷使用人だろうと期待したんでしょうが、そこはそれ、世の中とは儘ならんものですなぁ・・・。
宦官は去勢された後も、切り取られた性器を一生大事に保管しましたが、これが牛や豚となると違います。食肉文化後進国の日本では見ませんが(ホントどうしてるんだろう)、他の国では貴重な食材です。
例えばアメリカの西部や中西部。夥しい肉牛が去勢されて大量の睾丸が出ます。アメリカに行って「ロッキーオイスター」とか言われても、ゲテに適性が無い人は「ロッキー山脈の近くでも牡蠣が食べられるんだ」とか思ったらアキマヘンで。牛の睾丸です。
もう25年前に死んだプロレスラーのディック・マードックは、サインにもカタカナでビールと書くほど無類のビール党でしたが、ビールの何よりの友は、この牛の金玉の唐揚げ。でも絶対に「ロッキーオイスター」とは言ってなかったな、「フラ何とか」だった気がする。
そうそう、40年以上前に私の所でバイトしていた学生達、若松、山下、本間、出町、田村、横田達、みんな憶えているよな。地元の焼肉屋・トーハトで食べた、豚の金玉の刺身をニンニク醤油で喰うタマ刺し。河豚の白子を薄味にした様な味。過酷な労働の後はビールとタマ刺しで明日の英気を養ったもんだ。貧しく知能も低いオマエ達が、今でも立派にやれているのは、鯛山先生の善導と、若い時に食ったタマ刺しのお陰に違いない。
で、分かっただろう。青木先生がおっしゃった様に、金玉を切り取った人(が、いたとして)の吹く尺八は最低だけど、だからと言って、逆に大量に摂取したところで尺八は上手くならない。オマエラが何よりの証拠だ・・・。
暑くなったので、今日はアイスクリームのレディボーデンを食べました。昔し、このアイスが出たての頃はケギライして食べませんでした。何によらず虚偽記載は嫌いなんです。そうでがしょう、レディにホーデンが有るわけない。でも、誤解の氷解した今は大好物です。アイスクリームは、これが一番。
食べて昔を思い出し、このブログになったわけですわ。
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