音色つまり尺八のネイロですが、どこで決まるのか?
当然一番は吹き手です。八寸でも六寸でも、どの銘柄の尺八でも青木鈴慕が吹けば青木鈴慕の音、山本邦山が吹くと邦山の音です。
それでは尺八には音色は無いのか、そう問われれば 「有るに決まっています」と答えますが、どの位、どういう処となると、これが難しい。昔なら「竹のヒビキです」とか言ってれば、質問する方も妙に納得したもんですが、この時代、そんな事を真顔で言おうもんなら顔を正面から見詰められちゃう・・・
今、材質は音と何の関係も無いという事が常識になりましたが、学者さん達が繰り返し論文を発表しても、ここに来るまでで30年以上かかっています。現在では、もう論争は有りません。まだ知らない人が、疑問を呈したり、感情的に反発したりするだけです。
ネットでの論争を読んでも最後の段階では 「材質と音は関係が有る、オレには分かる」 これじゃ嗤われますわ。
それでは何が音色を決めるのか?
外側から切った歌口。 台湾の洞簫製作者が、歌口の所を取り外しできる洞簫に外側から削った歌口と内側から削った歌口を付け替えて、倍音メーターを見ながら吹いて、違いを説明してくれました。
音色は明らかに変わります。「外から削ると音は大きいが内側の方がバランスが良い」 こういう説明も受けました。ただ、これは尺八ではなく洞簫の場合ですし、歌口の形態より口の形の変化の方が大きいのかも知れません。でも明らかに外側からの切断が音色に影響しています。
内径。特に「しぼり」から管尻までの内径が大きな要素です。「しぼり」とは内径の一番狭くなっている所で、一尺八寸管ですと、1孔から少し管尻寄りです。
内径の形態。言うまでも有りません。どちらが良いかは別にして、内面ツルツルとザラザラでは音色が違います。
良い音色、悪い音色は個人の好みが有ります。今はやりの管尻の穴の大きい尺八。あれはハイパスフィルターと言いまして高音域倍音を通すのですから、、効果の出た場合は、音が明るくキラビヤカになります。でも尺八吹きは、むしろ音が渋い方が良いと言う人も多く、マア好みですわ。
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