保護
- 2023/01/23
- 09:36
政府が和楽器商に金をくれるんですとよ。仕方が無いですよね、このコロナの3年で、和楽器屋はかなり潰れましたもの。このままでは早晩壊滅する事は見えています。
この政策のあらましを述べると、「国が楽器商から和楽器を買い上げて、中学高校に和楽器部の使用の為等に貸し出す」と云うものです。当然の事ながら、政府機関が認定、承認した和楽器商ということになります。3年間の計画ですので、「一時的なカンフル剤だ」という意見が有りますが、「3年間は延命できるだろう。その間にオメエ達も努力しろ」というのが文化庁の見解です。だから、ほぼ間違いなく、3年の延命で終わりますよね。この見通しは業者なら皆頷くでしょう。でも、和楽器製造で生活している人達にとっては、「保護の有る3年間」は貴重です。「保護政策で好転した産業なんで有るかよ?」なんて言われたって、そのオカゲで廃業しないで済んでいる人達だって多いじゃないですか。あいにく邦楽業界は、農業みたいな大票田ではないですから、「3年間」みたいなケチな話になるわけですが、こういうのは「産業の生活保護」だと考えたら分かり易い。「1時的に助ける。その間に建て直せ」、それが本来の主旨でしょうが。生活保護を稼業だと考えられたら堪りませんな。
でも、どっちにしろ、これは尺八界の上を素通りしてしまうみたいです。だって、「政府が認定した業者」とか但し書きが付くんですもの。オイラ達って組合は勿論の事、親睦会も無いもんね・・・。
韓国や中国では、伝統楽器に対しては手厚い保護が有ります。広大な中国は知りませんが、目の届く韓国では、「それによって失ったモノも多い」と聞きます。どうしたって政府の管理下に置かれるわけですから、「秩序軽視の突破」は起きないですし、上の目を気にする保守主義が蔓延する。その為、進取の気性が乏しい世界になるのは当然として、長期に渡る保護は、同時に利権化するのは必至です。でもマア今回の3年限定なら良いんではないですかね、依存体質になる時間も無いですから・・・。金をくれるならオイラ達だって欲しいわさ。
高度経済成長期は、尺八も愛好人口を増やしましたが、それでも箏や三味線の製造業界みたいな、小規模製作者を淘汰した大規模化は起こりませんでした。だって産業規模がオハナシにならないくらい小さいんですもの。最も尺八需要が多かった時で、最大が竹仙工房の従業員10数名、年間製造数3千本(昭和50年)ですね。尺八界の場合、販売店が無く、生産者と購入者が直結していますから、基本的に「一匹狼」の世界です。だから竹仙工房の卒業生が集まり、昭和60年頃に一種の協定みたいなものも出来たんですが、忽ちに無効化しました。無理ですよ、どうしたって抜け駆けは起こりますから、協定で何を決めた所で有名無実にもなりまっさ・・・。
邦楽界は1975年(昭和50年)がピークだったと思います。尺八の新管販売数が年間1万本は越えていたでしょう。おそらく1万5千本に近かった。そして民謡を主な購買層とした木管が数千本。そして今は?。もはや販売の主流は中古尺八、異素材尺八に移りましたが、これを入れてもピーク時の5分の1以下でしょうかね。「高いくせに楽器としての品質が低いからだ」と言ったって、それは箏、三絃も同じ。ナンセ糸を張ってない状態で売ってんですもの。「時間が経って音が変わる」、なら中古で良いじゃん。1万円でナンボでも有るし、「邪魔だから、持って行ってくれるならタダでも良い」って人だっていますぜ。でも、「どうせ生徒に使わせるなら良い物を」ですって。和楽器って品質と価格が釣り合わないから信用が無いのにさ。だから、今回の政府の救済案も「3年間の生活保護」で終わるんですよ。はっきり「業者を助ける為」って言ってますもの。
今から30年前はプロ製管師は私の資料で40人、通産省調査で50人です。通産省調査の担当者に頼まれて資料の見せっこをしましたが、この違いはプロの線引きの違いで、通産省調査は、それは立派なものでした。ただ、当時の私のプロ製管師の基準は、何となく手取り年収4百万円以上くらいを想定していましたが、通産省の調査員は3百万円程度でもプロと認定したようです。
昭和50年のピーク時は、多分ですがプロ製管師は60人以上いたんではないですかね。そして今ですが、コロナ前の邦楽ジャーナル社の記事を見ても25人位です。でも3年前に「製管だけでの年収」が4百万円有った人となると、そのまた半分でしょうね。
こんな状況は和楽器だけではありませんぜ。ピアノは1980年が39万台で、ここが頂上。今はその20分の1です。「人が楽器離れをしているからだ」、よく聞く意見です。そうには違いないのですが、ただ楽器を種類別に見た場合、ギターなんかは全盛期に比べても、さほど減っていません。
尺八だって、品質を挙げて価格を下げれば、そういう状況に持っていける。私はそう思っています。今なお存続している製管師は皆が上手です。でも性能で異素材尺八、価格では中古尺八の市場席巻を止められません。まさに今が正念場。出来なければ舞台を下りるしかありません。
幸いにも尺八界は政府保護の対象でもないし、組合も無い。こんな自由度が高い市場は有りませんぜ。だから「やったもの勝ち」。尺八製造業は兼業が出来る。廃業は有っても倒産は無い。設備や材料の投資額が少なく誰でも参入出来る。こういった利点をもう1回考えて見たら良いと思うのですが・・・。
この政策のあらましを述べると、「国が楽器商から和楽器を買い上げて、中学高校に和楽器部の使用の為等に貸し出す」と云うものです。当然の事ながら、政府機関が認定、承認した和楽器商ということになります。3年間の計画ですので、「一時的なカンフル剤だ」という意見が有りますが、「3年間は延命できるだろう。その間にオメエ達も努力しろ」というのが文化庁の見解です。だから、ほぼ間違いなく、3年の延命で終わりますよね。この見通しは業者なら皆頷くでしょう。でも、和楽器製造で生活している人達にとっては、「保護の有る3年間」は貴重です。「保護政策で好転した産業なんで有るかよ?」なんて言われたって、そのオカゲで廃業しないで済んでいる人達だって多いじゃないですか。あいにく邦楽業界は、農業みたいな大票田ではないですから、「3年間」みたいなケチな話になるわけですが、こういうのは「産業の生活保護」だと考えたら分かり易い。「1時的に助ける。その間に建て直せ」、それが本来の主旨でしょうが。生活保護を稼業だと考えられたら堪りませんな。
でも、どっちにしろ、これは尺八界の上を素通りしてしまうみたいです。だって、「政府が認定した業者」とか但し書きが付くんですもの。オイラ達って組合は勿論の事、親睦会も無いもんね・・・。
韓国や中国では、伝統楽器に対しては手厚い保護が有ります。広大な中国は知りませんが、目の届く韓国では、「それによって失ったモノも多い」と聞きます。どうしたって政府の管理下に置かれるわけですから、「秩序軽視の突破」は起きないですし、上の目を気にする保守主義が蔓延する。その為、進取の気性が乏しい世界になるのは当然として、長期に渡る保護は、同時に利権化するのは必至です。でもマア今回の3年限定なら良いんではないですかね、依存体質になる時間も無いですから・・・。金をくれるならオイラ達だって欲しいわさ。
高度経済成長期は、尺八も愛好人口を増やしましたが、それでも箏や三味線の製造業界みたいな、小規模製作者を淘汰した大規模化は起こりませんでした。だって産業規模がオハナシにならないくらい小さいんですもの。最も尺八需要が多かった時で、最大が竹仙工房の従業員10数名、年間製造数3千本(昭和50年)ですね。尺八界の場合、販売店が無く、生産者と購入者が直結していますから、基本的に「一匹狼」の世界です。だから竹仙工房の卒業生が集まり、昭和60年頃に一種の協定みたいなものも出来たんですが、忽ちに無効化しました。無理ですよ、どうしたって抜け駆けは起こりますから、協定で何を決めた所で有名無実にもなりまっさ・・・。
邦楽界は1975年(昭和50年)がピークだったと思います。尺八の新管販売数が年間1万本は越えていたでしょう。おそらく1万5千本に近かった。そして民謡を主な購買層とした木管が数千本。そして今は?。もはや販売の主流は中古尺八、異素材尺八に移りましたが、これを入れてもピーク時の5分の1以下でしょうかね。「高いくせに楽器としての品質が低いからだ」と言ったって、それは箏、三絃も同じ。ナンセ糸を張ってない状態で売ってんですもの。「時間が経って音が変わる」、なら中古で良いじゃん。1万円でナンボでも有るし、「邪魔だから、持って行ってくれるならタダでも良い」って人だっていますぜ。でも、「どうせ生徒に使わせるなら良い物を」ですって。和楽器って品質と価格が釣り合わないから信用が無いのにさ。だから、今回の政府の救済案も「3年間の生活保護」で終わるんですよ。はっきり「業者を助ける為」って言ってますもの。
今から30年前はプロ製管師は私の資料で40人、通産省調査で50人です。通産省調査の担当者に頼まれて資料の見せっこをしましたが、この違いはプロの線引きの違いで、通産省調査は、それは立派なものでした。ただ、当時の私のプロ製管師の基準は、何となく手取り年収4百万円以上くらいを想定していましたが、通産省の調査員は3百万円程度でもプロと認定したようです。
昭和50年のピーク時は、多分ですがプロ製管師は60人以上いたんではないですかね。そして今ですが、コロナ前の邦楽ジャーナル社の記事を見ても25人位です。でも3年前に「製管だけでの年収」が4百万円有った人となると、そのまた半分でしょうね。
こんな状況は和楽器だけではありませんぜ。ピアノは1980年が39万台で、ここが頂上。今はその20分の1です。「人が楽器離れをしているからだ」、よく聞く意見です。そうには違いないのですが、ただ楽器を種類別に見た場合、ギターなんかは全盛期に比べても、さほど減っていません。
尺八だって、品質を挙げて価格を下げれば、そういう状況に持っていける。私はそう思っています。今なお存続している製管師は皆が上手です。でも性能で異素材尺八、価格では中古尺八の市場席巻を止められません。まさに今が正念場。出来なければ舞台を下りるしかありません。
幸いにも尺八界は政府保護の対象でもないし、組合も無い。こんな自由度が高い市場は有りませんぜ。だから「やったもの勝ち」。尺八製造業は兼業が出来る。廃業は有っても倒産は無い。設備や材料の投資額が少なく誰でも参入出来る。こういった利点をもう1回考えて見たら良いと思うのですが・・・。
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