枯淡の味
- 2023/03/11
- 10:35

このブオトコ達って誰か?って。左が吉田、右が粟田だよ。私が、あんまりヤツラの顔を貶すんで、中には「話を盛ってる」と考えた人もいるでしょう。そこで証拠を示す。「醜いとは聞いていたが、まさかこれほどとは思わなかった」って。そうよ、大袈裟に言ってるどころか、私がむしろ友情を持って庇ってきた事が分るべ・・・。
昨日、粟田が北海道から上京してきまして、あんまり急だったので吉田にしか連絡出来ませんでした。そして、真っ昼間から酒盛りですわ。イヤ~、3人とも、よく食う、よく飲む。新橋の中華料理店に入りましたが、脂っこい料理を、あまりにも大量に頼むので、、注文取りの若い店員に呆れられました。
「年をとると脂っこいモノが嫌いになる」って、ありゃ嘘だね。私も若い時は、肉さえ食べれば健康で喧嘩も強くなると思って、一通り何でも食べたものですが、70過ぎてからは、体が脂肪分を欲しているんだね、焼肉はカルビと白コロホルモン専門になりました。彦根に行って楽しみは、近江牛の脂身だけのステーキです。ええ、全部脂身ですよ。
これは私ばかりじゃなく、この2人も全く同じです。共通するのは3人とも現役の事業家だという事と、消化器系内臓が丈夫な点ですかね。皆そろそろ息子へのバトンタッチを考えていますが、それでも、まだまだ諸々の欲望に浅ましい程ガッツイテいます。
仲間同士ですと、「アイツは今何してる?」という風な話はしても、昔の思い出話なんかはしません。目線が前を向いるからではなく、若い時の良い事も悪い事も一緒にやった仲ですもん、昔の「褒められない行為」を今更ほじくり返して何になりますかい・・・。
私達の代の男子7人は仲の良い事で知られています。「一番纏まっていたよね」と今でも先輩達に言われますし、同級の女子達、ĪやKからも、「男の子達だけで団結して、女の子が入れなかった」と卒業後に言われました。でも、一番喧嘩していたのも私達の代です。互いに遠慮とか敬意とかは持ち合わせていませんでしたからね。悪口陰口も言いたい放題でした。だからジェネレーションギャップの有った先輩後輩達からは、「誰サンと誰サンは仲が悪い」と勘違いされもしましたが、卒業後50年間、しばしば会って、一緒に遊んだ事は私達の代が一番多い。仲間外れがいないのも自慢です。どの2人の組み合わせでも、泊りがけの旅行をしてますもの。
私達は互いの好みの移り変わりも知っています。若い時から、あまり我慢をしないで、自分の欲望のままに生きてくると、趣味も多様になる、また鑑賞力が高まるのかどうかは別にして、一応の見識を持つみたいです。だって、若い時から、それだけの投資はしてきていますもの。そうだと思ったからこそ、我々3人は自営の道を選んだんです。食欲、性欲、経験欲が絶頂期に在る若い者に金銭を分配せず、楽しい思いをさせてくれないのが、「日本型サラリーマン労働」の最大の欠陥です。
ところで若い時には話題のもならなかった、「年寄りの好む味」、料理とは限りませんが、いわゆる「枯淡の味」とか言うヤツが「自然に理解出来るようになるのが60過ぎてから」とか言いますが、是って本当ですかいな?。亡くなった二代青木鈴慕先生は、趣味はランチュウ(金魚)とサツキの盆栽でした。これ20代からノメリ込んだそうですから、品評会なんかに行って、一緒に首を捻っていると周りの爺さん達からは変な顔をされたそうです。私や林嵐山は、学生時代から、書画骨董に魅せられていましたよ。でも現実には高くて買えなかったので、眺めるだけでしたが、そのまま憧れとして残りました。相当の品でも、買おうと思えば買える今になって分かる。「何だ、安くたって美しさに魅了される物だって、たくさん有るじゃないか」。
こういう趣味に年齢限定が有るって、日本以外でも有るモノなんでしょうか?。私達も大学時代から尺八を吹いていたので、「ずいぶんな変わり者」という目で見られてきました。でも、中にいたから分かるけど、普通の若者でしたよね。小柳ルミ子も天地真理も大好きでしたし、年寄りの分からなかったプレスリーもビートルズも聞いていましたしね。
「若い者には古典邦楽は分からない」って、当時の年寄り尺八吹きは、心の中で思っていたようですが、今も昔も一番「古典邦楽が上手な尺八吹き」は、世代としたら大学クラブ員です。プロは別ですよ。また「尺八が上手い」と「理解している」とも完全にイコールではありませんよ。でも、大学クラブ員以上に当時の年寄り世代が、古典邦楽を理解していたとも思えません。
昭和までは、日本の年寄り達にはネジクレタ思考が有って、「奥の深いモノは若い者には分からない」って、しばしば言ってました。自分がジジイになってわかる事。「若い時は分からなくて、年をとると分かるモノ」、それは個人別嗜好としては確かに存在する。でも、逆は遥かに多い。また、年寄りは若い時の延長線上でしか感性が働かないとも思います。若い時に、ジジイ達の言う「若い者には分からない」とか言うモノに興味をひかれるという事は、もうすでに、そっちに向かって「心の扉」が開いているんですわ。ですから、「どうせ分からない」では無く、若い時代にブッコム事って大切なんですよ。そう思いませんかな、若い尺八愛好家の皆さん。
「先進国で、文化に対する企業寄付が日本は極端に少ない」って言われます。そりゃそうだ、若い時には参稼報酬を割り当ててもらえず、文化に触れる機会の少なった日本のサラリーマン社長が「文化は盲腸」と考えるのは分かります。邦楽家じゃあクラブに連れ回しても女に良い顔が出来ず、タニマチになる甲斐が無いもんね。
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