ウルトラⅭ
- 2023/11/03
- 12:23
1964年ですから、私が中学2年の時です、東京オリンピックが有りました。今みたいな「冷めた時代」じゃないですから。この盛り上がりぶりは当時の人でない とチョット分からないでしょうね。敗戦後19年、ようやく復興も終わり、再び世界のトップグループに入った自負に、日本全体が沸き立っていました。正直言うと日本は、まだ世界水準に達していない部分を多大に含んでいた、言わば「張り出し先進国」でしたが、4年後のメキシコシテイオリンピックが「発展途上国で初のオリンピック開催」と言われましたから、まあ世界は、この時点での日本を、かろうじて先進国と認めていたんですな。
この当時の日本は、戦前には金メダルを量産した水泳はすでに駄目で、代わって体操、レスリング、柔道で複数金メダルが確実視されていました。三宅の重量挙げ、ニチボー貝塚のバレーボールも、「余程のアクシデントが有ったとしても金」と言われていましたし、国民は日本始まって以来の金メダル大量獲得の期待で沸き立っていました。
中でも、この時代の男子体操競技は、まさに日本の「お家芸」でローマ、東京、メキシコ、ミュンヘン、モントリオールと団体総合で5連覇、個人でも18個(5大会で)の金メダルを挙げる物凄さでした。特に盛り上がった東京では、それまでの最高のⅭ難度を越えるウルトラⅭを披露して、以後「ウルトラ」は流行語になりました。ウルトラQとかウルトラマンとかそうです。
以後の難度は進む一方で現在はKまでいっています。こういうのを見ると、人間の身体能力は限界値が何処の辺りかも見当が付きません。誰かがやれば俺だってと思い技は進むのです。
尺八でも基礎能力が高い人材が増えて、技術的進歩は今や驚く事の連続です。絶対音感所有者でも、1970年以前の尺八界には存在しなかったと思います。私が確認した限りでは竹井誠さんが初めての人ですね。「持っているのではないか?」と言われていた宮田耕八朗さんで、直接訊きましたが、「持っていない」そうです。「だったら何故、チューナーの無い時代に宮田音叉と言われた改造音叉を創れたのですか?」と訊きましたとも。答えは「NHKの時報を基準とした唸りの周期」だそうです。
1939年以来国際ピッチでA=440と決まっているのですが、日本の尺八界では実際には10%の人も守れていないのに442ですって。音はどんどん高くなり、今は「インフレピッチ」という445以上が主流になりつつあります。1970年頃に442採用が本格化してきて、尺八吹きと違って、チャンと理解している箏の奏者の為に宮田音叉が必要でした。1886年の国際協定では425.戦前の日本製音叉は438です。協定が無い時代は、国によって違い、同じ呼び名の音が、たとえばイギリスとフランスとでは約半音違っていました。
今の尺八界は絶対音感所有者も多く、その能力についても「絶対音感は部分的にしか役に立たない能力」と正確な評価がなされています。「何に役に立つのか?」って、そりゃ1番は音大受験ですわ。
循環奏法は1970年代の日本には存在しなかったものです。勿論その存在は私でも知っていました。中国の笛の奏者がやるのを見ていますからね。でも尺八で出来るとは思わなかった。
5孔尺八でのツの大甲も、原理は1960年代から分っていましたが、一般化したのは、ここ10年です。「膝塞ぎ」は「恰好だけの人」が大半ですし、長管だと使えないでしょう。6孔じゃイケナイの?。
「内吹き、外吹き」も存在の発見自体が1980年代になってからです。プロの3人に2人は外吹きですが、内吹きだって初代の石垣征山はじめ野村峰山、田辺頌山、川村葵山、真玉和司など名人が多いですから、「どっちが良い」では無いです。今は1曲の中で吹き分ける人も出てきました。「外吹きだと強く前に出る音で、内吹きは旋律を柔らかく歌えるから」が理由です。
大甲の使用も倍音の研究で、レの大甲の1オクターブ上まで出せるまでになりましたが、音程の問題が有ります。レの大甲のオクターブ上は、もうすでに「音の狂い」なんか判別困難の領域ですが、プロならハの大甲まで使います。
こう挙げて行きますと、すでに尺八の演奏技術では、前人未到の域に入って久しいですが、それでも人間の欲求は留まるところを知りません。でも、おのずから限界も有り、そこをサポートするのが楽器改造です。今からは改造尺八の出番です。今の技術がウルトラⅭだとして、E、Fまでは上がるとして、その上は尺八改造技術もお手伝いします。
現在は木製フレームのピアノって無いですね。それを製作していたメーカーは全滅しました。でも150年前は皆そうだったんですよ。曲が複雑化して強い張力に耐えられ、本体に納まる大きな弦が必要になれば、楽器も変わらなければならないでしょう。金属フレームや交差張弦を採用しなかったピアノメーカーの「こだわり」は評価出来ても、それで潰れたら本末転倒じゃありませんか。
そこで来年の春には次の2種類の尺八を発売します。
① 曲や温度に合わせて歌口を変えられる尺八。
② 通常の音としてロの1音下(音程は大メリ)が出る尺八。ドウショウみたいに根の途中にロの孔が有り、ロの1音下の音が出したい時は、親指操作でロの孔が塞がり管尻まで使う。すなわち全長2尺の「1尺8寸管です。
もう今の尺八では、これ以上の吹奏技術の進歩についていけないですわ。洋楽器の歴史って変化の連続ですよ。趣味ですから、必要のない人は従来型尺八を使えば良い。でも「もう1本」も3Ⅾなら価格的に可能でしょう・・・。
プロレスの技で原爆固め(ジャーマンスープレックスホールド)って有りますね。今は誰もがやります(20代の私も出来ました)が、1960年代にはファンは誰でもが超難度の技だと思っていました。日本人の使い手はヒロ・マツダ、アントニオ猪木、サンダー杉山の3人だけです。でも、かけ方・受け方が分るとプロレスラーなら誰でも出来ます。1968年69年の2年間、日本プロレスは、関節技の名人で原爆固めの創始者でもあるカール・ゴッチを招いて若手レスラーを指導させました。「ゴッチ教室」というやつですわ。で、実は若手の全員が原爆固めを出来るようになったのです。でも実際の試合では誰も使わない。ここがプロの立場です。
1969年の3月だったと思いますが、1番若手の木戸修が前座の第1試合で使ったんですよ。かけられた相手も、台本の無い前座試合とは言え、序列による暗黙の了解が有りますから、まさか負けるわけにはいかないのでカウント2で返しましたが、木戸は後でコッピドク叱られたはずです。「看板の大技だぞ。実はペーペーでも出来て、本当は効かないと素人に分からせてどうする」。
この様に、素人が想像するより実は難しくないテクニックでも、プロなら「ネタが割れる使用」は良い事ではないです。ですから尺八でも、「難度が高い」と思われている技は、やるならキチンと決めて下さい。チャンと出来ない人、そこは楽器もお手伝いします。今のプロレスで「脳天逆落とし系」の大技を誰もがやるのは、リングとマットの改造有ってのものです。
同様に体操だって、反発の強いスプリング床とか様々な器具や用具の進歩でウルトラⅭ(Ⅾ難度)を高校生がやるのです。
この当時の日本は、戦前には金メダルを量産した水泳はすでに駄目で、代わって体操、レスリング、柔道で複数金メダルが確実視されていました。三宅の重量挙げ、ニチボー貝塚のバレーボールも、「余程のアクシデントが有ったとしても金」と言われていましたし、国民は日本始まって以来の金メダル大量獲得の期待で沸き立っていました。
中でも、この時代の男子体操競技は、まさに日本の「お家芸」でローマ、東京、メキシコ、ミュンヘン、モントリオールと団体総合で5連覇、個人でも18個(5大会で)の金メダルを挙げる物凄さでした。特に盛り上がった東京では、それまでの最高のⅭ難度を越えるウルトラⅭを披露して、以後「ウルトラ」は流行語になりました。ウルトラQとかウルトラマンとかそうです。
以後の難度は進む一方で現在はKまでいっています。こういうのを見ると、人間の身体能力は限界値が何処の辺りかも見当が付きません。誰かがやれば俺だってと思い技は進むのです。
尺八でも基礎能力が高い人材が増えて、技術的進歩は今や驚く事の連続です。絶対音感所有者でも、1970年以前の尺八界には存在しなかったと思います。私が確認した限りでは竹井誠さんが初めての人ですね。「持っているのではないか?」と言われていた宮田耕八朗さんで、直接訊きましたが、「持っていない」そうです。「だったら何故、チューナーの無い時代に宮田音叉と言われた改造音叉を創れたのですか?」と訊きましたとも。答えは「NHKの時報を基準とした唸りの周期」だそうです。
1939年以来国際ピッチでA=440と決まっているのですが、日本の尺八界では実際には10%の人も守れていないのに442ですって。音はどんどん高くなり、今は「インフレピッチ」という445以上が主流になりつつあります。1970年頃に442採用が本格化してきて、尺八吹きと違って、チャンと理解している箏の奏者の為に宮田音叉が必要でした。1886年の国際協定では425.戦前の日本製音叉は438です。協定が無い時代は、国によって違い、同じ呼び名の音が、たとえばイギリスとフランスとでは約半音違っていました。
今の尺八界は絶対音感所有者も多く、その能力についても「絶対音感は部分的にしか役に立たない能力」と正確な評価がなされています。「何に役に立つのか?」って、そりゃ1番は音大受験ですわ。
循環奏法は1970年代の日本には存在しなかったものです。勿論その存在は私でも知っていました。中国の笛の奏者がやるのを見ていますからね。でも尺八で出来るとは思わなかった。
5孔尺八でのツの大甲も、原理は1960年代から分っていましたが、一般化したのは、ここ10年です。「膝塞ぎ」は「恰好だけの人」が大半ですし、長管だと使えないでしょう。6孔じゃイケナイの?。
「内吹き、外吹き」も存在の発見自体が1980年代になってからです。プロの3人に2人は外吹きですが、内吹きだって初代の石垣征山はじめ野村峰山、田辺頌山、川村葵山、真玉和司など名人が多いですから、「どっちが良い」では無いです。今は1曲の中で吹き分ける人も出てきました。「外吹きだと強く前に出る音で、内吹きは旋律を柔らかく歌えるから」が理由です。
大甲の使用も倍音の研究で、レの大甲の1オクターブ上まで出せるまでになりましたが、音程の問題が有ります。レの大甲のオクターブ上は、もうすでに「音の狂い」なんか判別困難の領域ですが、プロならハの大甲まで使います。
こう挙げて行きますと、すでに尺八の演奏技術では、前人未到の域に入って久しいですが、それでも人間の欲求は留まるところを知りません。でも、おのずから限界も有り、そこをサポートするのが楽器改造です。今からは改造尺八の出番です。今の技術がウルトラⅭだとして、E、Fまでは上がるとして、その上は尺八改造技術もお手伝いします。
現在は木製フレームのピアノって無いですね。それを製作していたメーカーは全滅しました。でも150年前は皆そうだったんですよ。曲が複雑化して強い張力に耐えられ、本体に納まる大きな弦が必要になれば、楽器も変わらなければならないでしょう。金属フレームや交差張弦を採用しなかったピアノメーカーの「こだわり」は評価出来ても、それで潰れたら本末転倒じゃありませんか。
そこで来年の春には次の2種類の尺八を発売します。
① 曲や温度に合わせて歌口を変えられる尺八。
② 通常の音としてロの1音下(音程は大メリ)が出る尺八。ドウショウみたいに根の途中にロの孔が有り、ロの1音下の音が出したい時は、親指操作でロの孔が塞がり管尻まで使う。すなわち全長2尺の「1尺8寸管です。
もう今の尺八では、これ以上の吹奏技術の進歩についていけないですわ。洋楽器の歴史って変化の連続ですよ。趣味ですから、必要のない人は従来型尺八を使えば良い。でも「もう1本」も3Ⅾなら価格的に可能でしょう・・・。
プロレスの技で原爆固め(ジャーマンスープレックスホールド)って有りますね。今は誰もがやります(20代の私も出来ました)が、1960年代にはファンは誰でもが超難度の技だと思っていました。日本人の使い手はヒロ・マツダ、アントニオ猪木、サンダー杉山の3人だけです。でも、かけ方・受け方が分るとプロレスラーなら誰でも出来ます。1968年69年の2年間、日本プロレスは、関節技の名人で原爆固めの創始者でもあるカール・ゴッチを招いて若手レスラーを指導させました。「ゴッチ教室」というやつですわ。で、実は若手の全員が原爆固めを出来るようになったのです。でも実際の試合では誰も使わない。ここがプロの立場です。
1969年の3月だったと思いますが、1番若手の木戸修が前座の第1試合で使ったんですよ。かけられた相手も、台本の無い前座試合とは言え、序列による暗黙の了解が有りますから、まさか負けるわけにはいかないのでカウント2で返しましたが、木戸は後でコッピドク叱られたはずです。「看板の大技だぞ。実はペーペーでも出来て、本当は効かないと素人に分からせてどうする」。
この様に、素人が想像するより実は難しくないテクニックでも、プロなら「ネタが割れる使用」は良い事ではないです。ですから尺八でも、「難度が高い」と思われている技は、やるならキチンと決めて下さい。チャンと出来ない人、そこは楽器もお手伝いします。今のプロレスで「脳天逆落とし系」の大技を誰もがやるのは、リングとマットの改造有ってのものです。
同様に体操だって、反発の強いスプリング床とか様々な器具や用具の進歩でウルトラⅭ(Ⅾ難度)を高校生がやるのです。
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