三浦琴童の尺八
- 2015/02/27
- 22:29
つい一週間前、女性の方から電話があり「尺八の事、何も知らないのですが・・・」と前置きが有って、「家に古い尺八が有るのですが・・・」 つまり、どう言う尺八か鑑定して欲しいということでした。
そこで見せてもらいましたが、三浦琴童でした。焼印は俗に言う「瓢箪琴童」ですから、通説にしたがえば、「格落ち」ということになります。
琴童ですから、現在の製管師の目からは下手に見えます。訓練精度の低さ、基礎が出来ていない所などが目についてしまいます。鳴りはマアマアですが、戦前の尺八ですから良しとするとして、音程は当然良くないです。音色は主観ですから、「良い」とおっしゃる人がいれば、あえて否定はしません。
前は琴童は少しも評価していませんでした。何故、戦前の琴古の人達の間で人気が有ったのか不思議で仕方が有りませんでしたし、今でも古管の中では高額で売買される尺八のひとつです。「どうしてだろう」と首を捻ってしまいます。戦前の尺八でも初代鈴慕管など良いと思うものはありますよ。
十数年前に新潟県長岡市の松田黎童さんに琴童管を2本見せてもらいましたが、2本とも大変な逸品でした。松田さんは残念ながら、もう亡くなられましたが、御父君が有名なコレクターで、尺八をたくさん買い集めていました。琴童もそのうちの2本でしたが、素晴らしい鳴りで、造作のイマイチな欠点も消してしまいます。「琴童にも良い物は有るんだ」、それがその時の率直な感想です。
琴童は65年の生涯で推定千本くらいの尺八を作ったと思われます。戦中戦後の混乱でかなりの数が失われましたが、現在では何本残っているのか分かりませんが、その気で探せば、まだかなり残っているでしょう。尺八という物の性格から考えて、その大半は今回のケースの様に、誰も尺八に興味が無い人達の家で死蔵されていると思われます。
三浦琴童は銀行員でしたので、厳しい基礎仕事をしていないので、造作には技術的なアマさが有りますが、問題意識を持って尺八の製作に踏み出しました。そういった所が高評価に繋がったのでしょうか?
昭和40年50年代は基礎訓練をしっかりやった竹仙系の製管師が、圧倒的な技術力でそれまでの人達の市場を奪っていった時代です。それが平成に入ったころから流れが変ってきました。ネプチューン、三塚泉州、林雅寛(鈴麟)、木村筦山といった下職修行経験が無く、技術独修ながら演奏家としての視点で尺八製作をする人達が評価を高めています。造作技術は竹仙系に及ばないとしても、楽器としての性能の優秀性で人気を集めています。
戦前において三浦琴童、伊藤五雲といった人達がそうであったのかも知れません。琴童管を見て、ふと、そう思いました。
そこで見せてもらいましたが、三浦琴童でした。焼印は俗に言う「瓢箪琴童」ですから、通説にしたがえば、「格落ち」ということになります。
琴童ですから、現在の製管師の目からは下手に見えます。訓練精度の低さ、基礎が出来ていない所などが目についてしまいます。鳴りはマアマアですが、戦前の尺八ですから良しとするとして、音程は当然良くないです。音色は主観ですから、「良い」とおっしゃる人がいれば、あえて否定はしません。
前は琴童は少しも評価していませんでした。何故、戦前の琴古の人達の間で人気が有ったのか不思議で仕方が有りませんでしたし、今でも古管の中では高額で売買される尺八のひとつです。「どうしてだろう」と首を捻ってしまいます。戦前の尺八でも初代鈴慕管など良いと思うものはありますよ。
十数年前に新潟県長岡市の松田黎童さんに琴童管を2本見せてもらいましたが、2本とも大変な逸品でした。松田さんは残念ながら、もう亡くなられましたが、御父君が有名なコレクターで、尺八をたくさん買い集めていました。琴童もそのうちの2本でしたが、素晴らしい鳴りで、造作のイマイチな欠点も消してしまいます。「琴童にも良い物は有るんだ」、それがその時の率直な感想です。
琴童は65年の生涯で推定千本くらいの尺八を作ったと思われます。戦中戦後の混乱でかなりの数が失われましたが、現在では何本残っているのか分かりませんが、その気で探せば、まだかなり残っているでしょう。尺八という物の性格から考えて、その大半は今回のケースの様に、誰も尺八に興味が無い人達の家で死蔵されていると思われます。
三浦琴童は銀行員でしたので、厳しい基礎仕事をしていないので、造作には技術的なアマさが有りますが、問題意識を持って尺八の製作に踏み出しました。そういった所が高評価に繋がったのでしょうか?
昭和40年50年代は基礎訓練をしっかりやった竹仙系の製管師が、圧倒的な技術力でそれまでの人達の市場を奪っていった時代です。それが平成に入ったころから流れが変ってきました。ネプチューン、三塚泉州、林雅寛(鈴麟)、木村筦山といった下職修行経験が無く、技術独修ながら演奏家としての視点で尺八製作をする人達が評価を高めています。造作技術は竹仙系に及ばないとしても、楽器としての性能の優秀性で人気を集めています。
戦前において三浦琴童、伊藤五雲といった人達がそうであったのかも知れません。琴童管を見て、ふと、そう思いました。
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