八百長
- 2015/04/23
- 00:13
忘れもしない1975年の1月3日、後楽園ホールでの試合後、控室で報道陣シャットアウトの中、社長のジャイアント馬場の招集で全選手立ち合いのもと秘密会合が行われました。もう多くの当事者が鬼籍に入ってしまいましたが、かろうじて小鹿、高千穂(カブキ)、大仁田、渕といった人達が現在も残っています。
一日おいた1月5日に東京スポーツ新聞社のプロレス大賞の授賞式が有り、対抗団体である新日本プロレスのアントニオ猪木が「面白い事が起こるぞ」と報道陣を集めているという情報が入ったのです。
業界の人間であれば、見当はつく、どころか相手の意図はハッキリ分かります。アントニオ猪木は、それまで再三にわたりジャイアント馬場に「オレと勝負しろ、どっちが強いかハッキリさせよう。テレビ局にも承諾をとって有る」と挑発していました。勿論、猪木お得意のハッタリです。そもそもプロレスは予め勝敗が決まっており、そんなこと有り得ない事が分かった上での宣伝にすぎません。「何を言ってる、プロレスに強いも弱いも有るか」とは言えないことを見越しての疑似兆戦です。テレビ局の同意を得ていると言うのも、当時猪木のプロレスを放映していたテレビ朝日の社長秘書をしていたОTという友人に確かめたところ、「そんなはず無いだろ」と一笑にふされました。
たぶん表彰式の会場で、報道陣の前で新たに「オレと戦え」と詰め寄り、すこしでも馬場が返事をしぶったら、すかさず「臆病者」とビンタで顔をはる、そういう筋書きだろうと推定されまして、その対策の為の会合です。そして、結論。ホントかどうか分からないが、ともかく用心のため、会場には全日本プロレスの全レスラーが行く、もし挑発が本当に有れば、当時「リアルファイトなら最強」と言われていたサムソン・クツワダが「その前にオレが相手だ」と割り込む、会場の雰囲気が緊張したところで、人気者のデストロイヤーが「まあまあ」と宥める。こういう役割分担が決まりました。
幸い何事も無く終わりましたが、緊張の一日でした。
私は若い頃からプロレスが大好きでしたので、いつも「あんなモノ、八百長だ」とカラかいの対象になっていました。これは大学時代にも続き、私も「お粗末な世界観だな、子供並だ」と言い返していましたが、あらかじめ勝敗ストーリーが有るということを言えば、「ほら、やっぱり八百長だ」と言われてしまいます。アクション映画を見て「八百長だ」と言う人がいないのと同じですが、「スポーツショー」という実態を、プロレス側自体が秘密にしていたので、単純な人相手には、本質論にはナカナカなりませんでしたね。
何かの拍子に「ストーリー破り」が起こる事はプロレスでも有ります。私は見たこと無いですが、有ると言われています。力道山と木村の「日本一決定戦」なんかが、そうだと言われています。やられた方が後になって「約束を破った」と言ったところで、それこそ「後の祭り」です。馬場が猪木と戦わなかった理由。猪木が信用出来ないからです。
私の若い頃、三曲合奏でも、有ったらしいです。「おい、あれ糸方が嫌がらせしてたんじゃないか?」 「まさか」 「だって、しばしば尺八をはずしていたぜ」。 もし本当に、本番で下合わせ通りにやってくれなかったら、たまったものじゃないですわ。
青木師匠に聞いたところ、相手の意図は分かりませんが、尺八が格下の場合、昔はしばしばそういう事が有ったそうです。「ズタズタにされる」とか「歯がたたない」とか表現していました。糸方が尺八の器量を試していたのですかね、虫が好かない相手への単なる嫌がらせも有ったと思います。
こういう別の意味での緊張感は今の邦楽界では、もう無いんと違いますか? 今の人は尺八も糸方も、アクの強い人がいなくなりましたものね。でも、それが個性の無さにも繋がっています。
一日おいた1月5日に東京スポーツ新聞社のプロレス大賞の授賞式が有り、対抗団体である新日本プロレスのアントニオ猪木が「面白い事が起こるぞ」と報道陣を集めているという情報が入ったのです。
業界の人間であれば、見当はつく、どころか相手の意図はハッキリ分かります。アントニオ猪木は、それまで再三にわたりジャイアント馬場に「オレと勝負しろ、どっちが強いかハッキリさせよう。テレビ局にも承諾をとって有る」と挑発していました。勿論、猪木お得意のハッタリです。そもそもプロレスは予め勝敗が決まっており、そんなこと有り得ない事が分かった上での宣伝にすぎません。「何を言ってる、プロレスに強いも弱いも有るか」とは言えないことを見越しての疑似兆戦です。テレビ局の同意を得ていると言うのも、当時猪木のプロレスを放映していたテレビ朝日の社長秘書をしていたОTという友人に確かめたところ、「そんなはず無いだろ」と一笑にふされました。
たぶん表彰式の会場で、報道陣の前で新たに「オレと戦え」と詰め寄り、すこしでも馬場が返事をしぶったら、すかさず「臆病者」とビンタで顔をはる、そういう筋書きだろうと推定されまして、その対策の為の会合です。そして、結論。ホントかどうか分からないが、ともかく用心のため、会場には全日本プロレスの全レスラーが行く、もし挑発が本当に有れば、当時「リアルファイトなら最強」と言われていたサムソン・クツワダが「その前にオレが相手だ」と割り込む、会場の雰囲気が緊張したところで、人気者のデストロイヤーが「まあまあ」と宥める。こういう役割分担が決まりました。
幸い何事も無く終わりましたが、緊張の一日でした。
私は若い頃からプロレスが大好きでしたので、いつも「あんなモノ、八百長だ」とカラかいの対象になっていました。これは大学時代にも続き、私も「お粗末な世界観だな、子供並だ」と言い返していましたが、あらかじめ勝敗ストーリーが有るということを言えば、「ほら、やっぱり八百長だ」と言われてしまいます。アクション映画を見て「八百長だ」と言う人がいないのと同じですが、「スポーツショー」という実態を、プロレス側自体が秘密にしていたので、単純な人相手には、本質論にはナカナカなりませんでしたね。
何かの拍子に「ストーリー破り」が起こる事はプロレスでも有ります。私は見たこと無いですが、有ると言われています。力道山と木村の「日本一決定戦」なんかが、そうだと言われています。やられた方が後になって「約束を破った」と言ったところで、それこそ「後の祭り」です。馬場が猪木と戦わなかった理由。猪木が信用出来ないからです。
私の若い頃、三曲合奏でも、有ったらしいです。「おい、あれ糸方が嫌がらせしてたんじゃないか?」 「まさか」 「だって、しばしば尺八をはずしていたぜ」。 もし本当に、本番で下合わせ通りにやってくれなかったら、たまったものじゃないですわ。
青木師匠に聞いたところ、相手の意図は分かりませんが、尺八が格下の場合、昔はしばしばそういう事が有ったそうです。「ズタズタにされる」とか「歯がたたない」とか表現していました。糸方が尺八の器量を試していたのですかね、虫が好かない相手への単なる嫌がらせも有ったと思います。
こういう別の意味での緊張感は今の邦楽界では、もう無いんと違いますか? 今の人は尺八も糸方も、アクの強い人がいなくなりましたものね。でも、それが個性の無さにも繋がっています。
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