味と料理
- 2015/04/30
- 22:23
12世紀の前半ですか、南宋の初めに「東京夢華録」という書物が書かれました。著者は孟元老、ありし日の北宋の都・開封の繁栄ぶりを偲んだものですが、そこに出てくる料理は正に今日の中華料理です。さて、その前は、と言うと、あくまで私が読んだかぎりですが、唐の時代は料理と言うより素材自慢ですね。何処どこの鱸、どこで採れた生姜とか言う風で、料理法としては刺身にするとか汁物にするとかで、あまり手がこんでいませんな。
日本で、食通達が、鯛は明石だ、いや走水だ、いやいや魚島の「酔い鯛」が一番、とか言ってるのと同じ感じです。日本料理は今でも素材を重視しますが、中国では宋以来、料理法で勝負しているのではないでしょうか。ですから、フカヒレとか燕の巣みたいに、そのモノ自体には味の無い物も美味しい料理に仕立ててしまいます。
尺八や箏でも音色を重視します。横山勝也先生は若い頃「理想の音」を夢の中で聴いたとおっしゃていました。その音に少しでも近ずこうとして励んできたそうです。
私にとっての理想の尺八の音、あくまで演奏ではなく音ですが、米谷威和男さんの音でした。包み込むような温かさ、切れの良さ、柔らかさ、甘さ、強さ、尺八の美しさを再認識した、今も思い出に残る音です。
料理の話しのついでですが、ここにテーブルが三つ有るとします。一つにはフランス料理のフルコース、もう一つには中華料理のこれまたフルコースが出てくるとします。そして三卓目にはフグチリ。どれでも好きなテーブルを選んで良いとなったら、フグチリのテーブルにつく人もいると思うんですよ。その場合、他のテーブルの人が、「フグチリなんてフグを茹でただけじゃないか」、とか「フグチリを選ぶヤツなんて、ほんの少数だ」とか言ったって何の意味も無いと思うんです。
いつも邦楽の話しをする時、こう言います。他の音楽も好きだけど、オレは尺八音楽が好きなんだ。
日本で、食通達が、鯛は明石だ、いや走水だ、いやいや魚島の「酔い鯛」が一番、とか言ってるのと同じ感じです。日本料理は今でも素材を重視しますが、中国では宋以来、料理法で勝負しているのではないでしょうか。ですから、フカヒレとか燕の巣みたいに、そのモノ自体には味の無い物も美味しい料理に仕立ててしまいます。
尺八や箏でも音色を重視します。横山勝也先生は若い頃「理想の音」を夢の中で聴いたとおっしゃていました。その音に少しでも近ずこうとして励んできたそうです。
私にとっての理想の尺八の音、あくまで演奏ではなく音ですが、米谷威和男さんの音でした。包み込むような温かさ、切れの良さ、柔らかさ、甘さ、強さ、尺八の美しさを再認識した、今も思い出に残る音です。
料理の話しのついでですが、ここにテーブルが三つ有るとします。一つにはフランス料理のフルコース、もう一つには中華料理のこれまたフルコースが出てくるとします。そして三卓目にはフグチリ。どれでも好きなテーブルを選んで良いとなったら、フグチリのテーブルにつく人もいると思うんですよ。その場合、他のテーブルの人が、「フグチリなんてフグを茹でただけじゃないか」、とか「フグチリを選ぶヤツなんて、ほんの少数だ」とか言ったって何の意味も無いと思うんです。
いつも邦楽の話しをする時、こう言います。他の音楽も好きだけど、オレは尺八音楽が好きなんだ。
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