ハンスケ
- 2015/06/28
- 22:33
2年前にお亡くなりになった中井猛先生とは、もうずいぶん前からお互いに知っていましたが、初めて二人で一緒にお酒を飲んだのは30年くらい前でした。仕事の話しの後に鰻屋にお誘いしました。
その頃の私は関西出身の人を飲みに誘うのは鰻屋が多かったですね。年配者は私の好きな朝鮮料理はまだ嫌う人がいましたし、寿司屋は酒を飲んでゆっくり話をするのに不向きです。私はそうなのです。
ウナギは関東では背開きで蒸しをかけるが関西では腹開きで蒸さない、そんなウンチクはどうでも良いほど江戸前の握り寿司とウナギは関西人にも好まれます。
ただ、その時は私はあえて大阪風のウナギを出す店にご案内したのです。中井猛という人は常にニコニコしていて、どんな店でも何もおっしゃらないですが、そのくせ全て分かっています。
隣の客がウナギの頭を食べているのを見て、「私も酒の肴にあれをいただきましょ、ハンスケは珍しいでんな」、しっかり反応してくださいました。それでこそご案内した甲斐も有るというものです。
ウナギの頭焼き、東京で「兜焼き」、大阪では「ハンスケ」ですが、関東ではあまり出す店が無いのです。徹底的に蒸しをかけて骨を柔らかくしないと食べられないのですが、大阪では一般的で「ハン豆腐」といって豆腐と煮たりもします。
食べ物をはじめ、関東と関西の様々な事における好みの違いは今は広く知られる様になりましたが、昔は違いました。互いに「何これ?」と戸惑ったものです。異なる嗜好を楽しむ人は今は多いですが、私の子供時代は、それよりも互いの貶しあいに至る事が多々有りました。
東京の寿司屋に入った大坂人「もっとメシを多くしてくれよ、これじゃ食った気がしない」
大坂のうどん屋に入った東京人「味がネエじゃないか」
そこで止まらず、お互いをクサシマス。「ゼイロクはケチでヤボだね」、「東京人?田舎者だよ、だから味音痴だわ」、「あんな薄い味だからフヌケになんだよ」 「見栄っ張りだから儲け主義の板前に何も言えねいでやんの」
中井先生は胡弓もなさいましたが、都山流の地歌の手付けには胡弓の手がしばしば出てきます。ロハヒハチとかチレチレッとかがハッキリ出所の分かるものです。地歌の本場・上方で三曲合奏に尺八の前に胡弓が入っていた時の記憶ですわ。
「あの都山の手は変」と関東では言う人がいますが、それはそれとして楽しみましょうよ。胡弓の哀愁感やフラツキがここのところ人気が盛り返しています。
現在、最も見事な上方風の尺八を吹く方、私は小山菁山先生を挙げます。柔らかく上品で、東京で主流の地歌とは、また違った美しさです。
その頃の私は関西出身の人を飲みに誘うのは鰻屋が多かったですね。年配者は私の好きな朝鮮料理はまだ嫌う人がいましたし、寿司屋は酒を飲んでゆっくり話をするのに不向きです。私はそうなのです。
ウナギは関東では背開きで蒸しをかけるが関西では腹開きで蒸さない、そんなウンチクはどうでも良いほど江戸前の握り寿司とウナギは関西人にも好まれます。
ただ、その時は私はあえて大阪風のウナギを出す店にご案内したのです。中井猛という人は常にニコニコしていて、どんな店でも何もおっしゃらないですが、そのくせ全て分かっています。
隣の客がウナギの頭を食べているのを見て、「私も酒の肴にあれをいただきましょ、ハンスケは珍しいでんな」、しっかり反応してくださいました。それでこそご案内した甲斐も有るというものです。
ウナギの頭焼き、東京で「兜焼き」、大阪では「ハンスケ」ですが、関東ではあまり出す店が無いのです。徹底的に蒸しをかけて骨を柔らかくしないと食べられないのですが、大阪では一般的で「ハン豆腐」といって豆腐と煮たりもします。
食べ物をはじめ、関東と関西の様々な事における好みの違いは今は広く知られる様になりましたが、昔は違いました。互いに「何これ?」と戸惑ったものです。異なる嗜好を楽しむ人は今は多いですが、私の子供時代は、それよりも互いの貶しあいに至る事が多々有りました。
東京の寿司屋に入った大坂人「もっとメシを多くしてくれよ、これじゃ食った気がしない」
大坂のうどん屋に入った東京人「味がネエじゃないか」
そこで止まらず、お互いをクサシマス。「ゼイロクはケチでヤボだね」、「東京人?田舎者だよ、だから味音痴だわ」、「あんな薄い味だからフヌケになんだよ」 「見栄っ張りだから儲け主義の板前に何も言えねいでやんの」
中井先生は胡弓もなさいましたが、都山流の地歌の手付けには胡弓の手がしばしば出てきます。ロハヒハチとかチレチレッとかがハッキリ出所の分かるものです。地歌の本場・上方で三曲合奏に尺八の前に胡弓が入っていた時の記憶ですわ。
「あの都山の手は変」と関東では言う人がいますが、それはそれとして楽しみましょうよ。胡弓の哀愁感やフラツキがここのところ人気が盛り返しています。
現在、最も見事な上方風の尺八を吹く方、私は小山菁山先生を挙げます。柔らかく上品で、東京で主流の地歌とは、また違った美しさです。
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