霧のかなた
- 2015/07/30
- 21:00
今の尺八界は霧の中、これから行く方向に幾つか灯りの様なものがボ~と見えますが、そこへ行きつく前に消えてしまうのか、それとも最初から幻だったのか・・・。
ホントこの5年手探り状態になってしまいました。製管業界で純然たるプロ、つまり世間基準でいう専業者は5年前は30~40人でした。その後、尺八産業の急速な落ち込みが有り、今は本当は20人を切っていると思います。かつてのプロは、高齢なので長年作りためた在庫販売と年金、貯金で暮らしているケースが多いですね。
製管師で60歳以下は10人くらい、そのほとんどは父親がまだ現役です。
これってさあ、もしかして職業構造の最終形態じゃないの?
たとえば薩摩琵琶の話しですが、戦前はポピュラーでしたよね、敗戦後に、その忠君愛国的な歌詞故に「右翼の楽器」として進駐軍(GHQ)の弾圧を受け衰退しました。結果もう30年も前から製作者は一軒だけでした。こうなると弟子入り希望者が出てきても、普及のための講習会企画も楽器が無いという事になります。
この時期になって歌手の小椋佳の息子さんが新たに作り始めましたが、良いことですね。一社生産だと価格も納期も供給側の言うがままです。その事態を憂えて私の友人が、自身の経営する大学で、唯一の琵琶製作者であった石田不識さんを招いて琵琶の製作を企画しましたが、材料を買い込んだだけで放棄しました。理由は言えません。あまりにバカバカしくて・・・。
小椋さんの場合は琵琶奏者の坂田美子さんが指導しているだけに高度品質を実現しているという事です。ほかにも薩摩琵琶の製作を模索している人がいます。それと言うのも女性を中心に、このところ優れた琵琶奏者が輩出しているからです。
ここまで来るまでに何十年もかかってしまいました。一度衰退したジャンルの再浮上には大変なエネルギーが必要なのです。
さて尺八の場合に戻りますが、「海外市場が拡大してるんだろ」と言う人は当然いますよね。でも海外ってそんなアマイ所ではありませんぜ。もう尺八の現地生産が始まっていますが、品質的に日本製と遜色の無いアメリカ製の尺八で価格は日本の七割、ワンランク落ちる台湾製でも七割、ツーランク以上下の中国、ヨーロッパ製で半値です。やがて、その品質水準は遅かれ早かれ日本に追いついてきます。
今はまだ「日本が本場」という意識が彼らに有りますが、ハードに関することなので、安くて性能が良ければ、すぐ現地製に変わります。本体売りだけの日本製より、近くにいて修理や相談に乗れる現地製管師の方が有利ですもんね。
でも海外生産が拡がるということは私は喜んでいます。海外で尺八が拡大している証ですし、新しい視点で尺八製作が為される事には計り知れないプラス面が有ります。
でもね、まだ伝統の裏付けの無い海外ですから、「引き」に入るのも急ですぜ、気が付いたら雲散霧消していたという事態にもなりかねません。ここら辺りが「勝負どこ」でしょうかね。
ホントこの5年手探り状態になってしまいました。製管業界で純然たるプロ、つまり世間基準でいう専業者は5年前は30~40人でした。その後、尺八産業の急速な落ち込みが有り、今は本当は20人を切っていると思います。かつてのプロは、高齢なので長年作りためた在庫販売と年金、貯金で暮らしているケースが多いですね。
製管師で60歳以下は10人くらい、そのほとんどは父親がまだ現役です。
これってさあ、もしかして職業構造の最終形態じゃないの?
たとえば薩摩琵琶の話しですが、戦前はポピュラーでしたよね、敗戦後に、その忠君愛国的な歌詞故に「右翼の楽器」として進駐軍(GHQ)の弾圧を受け衰退しました。結果もう30年も前から製作者は一軒だけでした。こうなると弟子入り希望者が出てきても、普及のための講習会企画も楽器が無いという事になります。
この時期になって歌手の小椋佳の息子さんが新たに作り始めましたが、良いことですね。一社生産だと価格も納期も供給側の言うがままです。その事態を憂えて私の友人が、自身の経営する大学で、唯一の琵琶製作者であった石田不識さんを招いて琵琶の製作を企画しましたが、材料を買い込んだだけで放棄しました。理由は言えません。あまりにバカバカしくて・・・。
小椋さんの場合は琵琶奏者の坂田美子さんが指導しているだけに高度品質を実現しているという事です。ほかにも薩摩琵琶の製作を模索している人がいます。それと言うのも女性を中心に、このところ優れた琵琶奏者が輩出しているからです。
ここまで来るまでに何十年もかかってしまいました。一度衰退したジャンルの再浮上には大変なエネルギーが必要なのです。
さて尺八の場合に戻りますが、「海外市場が拡大してるんだろ」と言う人は当然いますよね。でも海外ってそんなアマイ所ではありませんぜ。もう尺八の現地生産が始まっていますが、品質的に日本製と遜色の無いアメリカ製の尺八で価格は日本の七割、ワンランク落ちる台湾製でも七割、ツーランク以上下の中国、ヨーロッパ製で半値です。やがて、その品質水準は遅かれ早かれ日本に追いついてきます。
今はまだ「日本が本場」という意識が彼らに有りますが、ハードに関することなので、安くて性能が良ければ、すぐ現地製に変わります。本体売りだけの日本製より、近くにいて修理や相談に乗れる現地製管師の方が有利ですもんね。
でも海外生産が拡がるということは私は喜んでいます。海外で尺八が拡大している証ですし、新しい視点で尺八製作が為される事には計り知れないプラス面が有ります。
でもね、まだ伝統の裏付けの無い海外ですから、「引き」に入るのも急ですぜ、気が付いたら雲散霧消していたという事態にもなりかねません。ここら辺りが「勝負どこ」でしょうかね。
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