三拍子
- 2015/08/04
- 21:24
音楽の三要素、すなわちメロディ、リズム、ハーモニーのうち、日本音楽にはもともとハーモニーが存在しなかったのは良く知られています。それと三拍子も無かったですね。何故ですかね、隣の朝鮮では三拍子は一般的です。「アリラン」、「トラジ(桔梗)」など日本でも知られています。
江戸時代は「鎖国」と言われたように外の情報があまり入ってきませんでしたが、それでも18世紀になるとキリスト教以外は禁止と言うのでもなく、音楽みたいな毒にも薬にもならないものにまでイチイチ口出しはしませんでした。
南から三味線と陰旋律が入ってきたり、幕末から明治30年代まで明清楽が流行ったりしたくらいですから、江戸期を通して友好関係にあった朝鮮の三拍子が日本で使われても良かったはずですがね・・・。
日本最初のワルツと言われているのが1902年の「美しき天然」作曲・田中穂積です。私達の世代はチンドン屋の定番曲でしたから誰でも知っていましたし、「サーカス団のジンタ」としても知られていました。「ジンタ」と呼ばれたように三拍子は強・弱・弱と刻みます、ジンタッタ、ジンタッタ。
「美しき天然」は私の頃の尺八練習曲の中にも入っていましたが、私の代で歌詞をチャンと歌える者はほとんどいませんから、学校の音楽の時間にはやらなかったのですね。
「オレは歌えるぞ」とか言う者も聞いてみると「男三郎節」だったりします。ア~ア、世は夢か幻か~というやつですよ。少年を殺害し、人肉スープを作ってライ病患者の義兄に飲ましたとかいう野口男三郎が死刑になるまでの間、獄舎で歌っていたという猟奇的エピソードのせいで、私達の代までは、年配者が語っていたので、まだまだ知られていました。
もっとも、この歌を始めから終わりまで歌える人は日本人の中にも絶対百人いません。特別に研究している人だけです。何せ9時に歌い始めて終わるのは10時過ぎですから。
35年前、私と三塚泉州さんの前に70過ぎの御老体が現れました。今有る尺八はどれも1孔の位置が間違っていると言うのです。
(ムムッ、Ⅾの筒音にはツ、すなわちFの倍音が無いことを言ってるのか)
(二段メリの操作性を問題にしているのかも知れんぞ) (いや、川本式配孔を示唆しているのかも知れない、いずれにしろ相当の吹き手と見た)
御老体、やおら御自分で改造した尺八を取り出しヒトクサリ 「ツはロとレの中間の音だろ、だから1孔は2孔と管尻の真ん中に開けるのが正しいんだ」、そう御高説を述べた後、吹きましたわ「美しき天然」を…。 ハーハロハロ(つ)ーレ(つ)、分かりますよね(つ)はッですよ。しかし何せ管尻と2孔の中間に1孔が開いてるんです・・・。
ツでも無い、ツ中メリでも無い、ましてッではケッシテナイ。「あのー、聞いて御家族は何も言いませんか?」
尺八って諦められていたんですね、吹かない人には。私と三塚さん、若き日の情熱を失いかけた一瞬でした。
江戸時代は「鎖国」と言われたように外の情報があまり入ってきませんでしたが、それでも18世紀になるとキリスト教以外は禁止と言うのでもなく、音楽みたいな毒にも薬にもならないものにまでイチイチ口出しはしませんでした。
南から三味線と陰旋律が入ってきたり、幕末から明治30年代まで明清楽が流行ったりしたくらいですから、江戸期を通して友好関係にあった朝鮮の三拍子が日本で使われても良かったはずですがね・・・。
日本最初のワルツと言われているのが1902年の「美しき天然」作曲・田中穂積です。私達の世代はチンドン屋の定番曲でしたから誰でも知っていましたし、「サーカス団のジンタ」としても知られていました。「ジンタ」と呼ばれたように三拍子は強・弱・弱と刻みます、ジンタッタ、ジンタッタ。
「美しき天然」は私の頃の尺八練習曲の中にも入っていましたが、私の代で歌詞をチャンと歌える者はほとんどいませんから、学校の音楽の時間にはやらなかったのですね。
「オレは歌えるぞ」とか言う者も聞いてみると「男三郎節」だったりします。ア~ア、世は夢か幻か~というやつですよ。少年を殺害し、人肉スープを作ってライ病患者の義兄に飲ましたとかいう野口男三郎が死刑になるまでの間、獄舎で歌っていたという猟奇的エピソードのせいで、私達の代までは、年配者が語っていたので、まだまだ知られていました。
もっとも、この歌を始めから終わりまで歌える人は日本人の中にも絶対百人いません。特別に研究している人だけです。何せ9時に歌い始めて終わるのは10時過ぎですから。
35年前、私と三塚泉州さんの前に70過ぎの御老体が現れました。今有る尺八はどれも1孔の位置が間違っていると言うのです。
(ムムッ、Ⅾの筒音にはツ、すなわちFの倍音が無いことを言ってるのか)
(二段メリの操作性を問題にしているのかも知れんぞ) (いや、川本式配孔を示唆しているのかも知れない、いずれにしろ相当の吹き手と見た)
御老体、やおら御自分で改造した尺八を取り出しヒトクサリ 「ツはロとレの中間の音だろ、だから1孔は2孔と管尻の真ん中に開けるのが正しいんだ」、そう御高説を述べた後、吹きましたわ「美しき天然」を…。 ハーハロハロ(つ)ーレ(つ)、分かりますよね(つ)はッですよ。しかし何せ管尻と2孔の中間に1孔が開いてるんです・・・。
ツでも無い、ツ中メリでも無い、ましてッではケッシテナイ。「あのー、聞いて御家族は何も言いませんか?」
尺八って諦められていたんですね、吹かない人には。私と三塚さん、若き日の情熱を失いかけた一瞬でした。
スポンサーサイト