黒と白

この頃ではあまり聞きませんが、今でもアメリカでは黒人差別は深刻な問題なのでしょう。よく南部で黒人が不当に殺されたというニュースを聞きますが、私の学生時代には日本人でも、アメリカにおける黒人差別に無関心ではいられませんでした。
ノーベル平和賞の受賞者であるキング牧師やマルコムⅩが暗殺されたり、ニューヨークでも黒人の暴動が起こったりで騒然たるものでしたな。何しろ州知事でありながら公然と「黒人は差別されて当然」と言っていたバカモノがいた時代です。
私の好きなプロレスでは、当時は黒人レスラーはダイタイ善役でした。悪役を振りあてられても、善役レスラーにコテンパンにやられる小悪党でした。もし大悪党を演じたらどうなる？　冗談でなく生命の危険が有ったと言います。「日本の戦犯やナチスの残党のマネをするのとは次元が違う、もっと現実性をもってしまう」との事です。80年代に「反米イラン人」で商売したレスラーがいましたが、「黒人問題」はシャレで済まないほど切実だということです。

黒人の書いた本はフィクションでもノンフィクションでも差別が重大なテーマになっていましたが、私は「マルコムⅩ自伝」に特に感銘を受けました。それとフロイド・パターソンの「ビクトリー・オーバー・マイセルフ」も忘れられない、パターソンが子供の時、肌が黒いから差別を受けるのだと風呂で白くなるまで肌をこすったと言います。パターソンは後にボクシングでヘビー級世界チャンピオンになり、一度はスウェ―デンのインゲマル・ヨハンソンに敗れるもリターンマッチで返り咲き、何ぶん初めてのケースなので日本でも有名になりました。
同じく世界チャンピオンだったカシアス・クレイがブラックモスレムの影響でモハメット・アリになったことは御存知でしょう。
1960年代くらいから黒人も、白人の価値観を受け入れる「アンクルトム」を止めて、「ブラック・イズ・ビューティフル」とか「ブラック・イズ・ベスト」とか主張し始めました。


尺八界でも外国人は珍しくなくなりましたが、さて黒人を見るでしょうか？アフリカ系移民の多いドイツやフランスでも見ない。いればすぐ分かりますよ。　私のお客でも黒人は一人だけです。どうして？

もう一つどうして？人類の起源はアフリカだと言われています。だとして、最初の人類は白だったんでしょうか、黒だったんでしょうか？アメリカの黒人運動家の中には「白人は漂白された人間」と言う人もいますね。ホントウ、どっちなんでしょう。
日本でも有名だった「ルーツ」。著者のアレックス・ヘイリー。実は「マルコムⅩ自伝」の著者でもあります。これって本の何処にも出てないから、ちょっと気がつかないでしょう。彼のたどりついたルーツは西アフリカのガンビア。
私の尺八を買ってくれた人もルーツは西アフリカです。新大陸に連れてこられた時期、地域から推定して、たどるとガーナかガンビアでしょう。