青い雲の行方
- 2015/09/24
- 21:49
前は鎌倉で毎年夏に展示会をやるのが恒例でした。中央大学で尺八を吹いていた尾崎光於さんが経営する画廊で、小町通りを左におれて2軒目。場所が良いので1日に何千人という人が画廊の前を通り、珍しい尺八ということで「見せてもらっても良いですか」と鎌倉見物に来た人達が入ってきたり、外国人が遊んでいったりで、いつも楽しい展示会でした。
私は昼時になると、いつもザル蕎麦を20人前出前してもらい、居合わせた人達に誰でも食べていただきました。西洋人にはザル蕎麦はホントは美味しくないと思いますが、それでも喜んで食べてくれました。
尾崎さんは私の一学年上で大学時代からの馴染みです。もう9年前に亡くなり、それ以来、鎌倉展示会は無くなりました。
その鎌倉展示会に10年くらい前ですが、地元の方が通りがかりに目にとめて入ってきました。鎌倉時代から住んでいるそうで、なるほど名前も北条から分かれた名家のものです。しばらく話していきましたが、すぐに掛け軸を家から持って来まして、私に読めと言うのですわ。頼山陽の直筆、自作の七言絶句だということですが、尺八屋が一般の人に買いかぶられるのはショッチュウです。
山陽の真筆かどうか私には分かりませんが、幸い崩し字で無かったので読めました。「坊さんでも読めなかったよ」と喜んでくれましたが、それはナイ。絶対に読める。日本で一番漢詩が読める人達は世代としては高校生ですが、少しコマシな高校生なら読める程度の漢詩です。一般論ですが、日本人の漢詩は読みやすいですね。
頼山陽は日本の漢詩人では文句無しの第一人者ですが、いろいろな家に招かれて揮毫したり、頼まれて絵画に画賛を入れたりしたのでしょうね。山陽の詩で最も有名な「川中島」、鞭声粛々夜河を渡る、この詩も本題は「不識庵、機山を檄つの図に題す」です。
その時のモノも,、鎌倉だけあって、八幡太郎源義家を描いた絵に画賛を入れたものでした。ただ昔は「なりすましサギ」も多いですからね。名家の家宝にケチをつけるつもりは無いですがね・・・。
広島の花本葆山さんは都山流尺八楽会の尺八家で、頼山陽記念館にお勤めでした。広島展示会の度にいらしていただき、頼山陽の話しをします。知られていないエピソードなども良く御存知です。専門家ですから当たり前ですが、私なんかには初耳で楽しいです。
私は山陽が13歳の時に作った「十有三春秋」が一番好きです。この詩は「詩としては出来が良くない。少年の気概が出過ぎている」と評される事が有りますが、13歳からハタチくらいまでが人生で一番「青雲の志」を抱いている時でしょう。まだ人生の現実感に目覚めていない頃ですもんね。
でも人生の中で、この時期ほど志に燃えられる時はまたと無いと思います。この志を持つ少年の多い世界ほど将来が期待できることは言うまでもありません。
尺八でもわずかながら少年が始めています。私のところの29800円の尺八で準師範を首席で突破した中学生もいます。親からの助っ人が有るにしろ小学生、中学生に買えない価格の楽器に未来などあるモノか・・・。
十有三春秋 逝く者はすでに水の如し 天地始終無く人生生死有り いずくんぞ古人に類して 千載青史に列するを得ん
私は昼時になると、いつもザル蕎麦を20人前出前してもらい、居合わせた人達に誰でも食べていただきました。西洋人にはザル蕎麦はホントは美味しくないと思いますが、それでも喜んで食べてくれました。
尾崎さんは私の一学年上で大学時代からの馴染みです。もう9年前に亡くなり、それ以来、鎌倉展示会は無くなりました。
その鎌倉展示会に10年くらい前ですが、地元の方が通りがかりに目にとめて入ってきました。鎌倉時代から住んでいるそうで、なるほど名前も北条から分かれた名家のものです。しばらく話していきましたが、すぐに掛け軸を家から持って来まして、私に読めと言うのですわ。頼山陽の直筆、自作の七言絶句だということですが、尺八屋が一般の人に買いかぶられるのはショッチュウです。
山陽の真筆かどうか私には分かりませんが、幸い崩し字で無かったので読めました。「坊さんでも読めなかったよ」と喜んでくれましたが、それはナイ。絶対に読める。日本で一番漢詩が読める人達は世代としては高校生ですが、少しコマシな高校生なら読める程度の漢詩です。一般論ですが、日本人の漢詩は読みやすいですね。
頼山陽は日本の漢詩人では文句無しの第一人者ですが、いろいろな家に招かれて揮毫したり、頼まれて絵画に画賛を入れたりしたのでしょうね。山陽の詩で最も有名な「川中島」、鞭声粛々夜河を渡る、この詩も本題は「不識庵、機山を檄つの図に題す」です。
その時のモノも,、鎌倉だけあって、八幡太郎源義家を描いた絵に画賛を入れたものでした。ただ昔は「なりすましサギ」も多いですからね。名家の家宝にケチをつけるつもりは無いですがね・・・。
広島の花本葆山さんは都山流尺八楽会の尺八家で、頼山陽記念館にお勤めでした。広島展示会の度にいらしていただき、頼山陽の話しをします。知られていないエピソードなども良く御存知です。専門家ですから当たり前ですが、私なんかには初耳で楽しいです。
私は山陽が13歳の時に作った「十有三春秋」が一番好きです。この詩は「詩としては出来が良くない。少年の気概が出過ぎている」と評される事が有りますが、13歳からハタチくらいまでが人生で一番「青雲の志」を抱いている時でしょう。まだ人生の現実感に目覚めていない頃ですもんね。
でも人生の中で、この時期ほど志に燃えられる時はまたと無いと思います。この志を持つ少年の多い世界ほど将来が期待できることは言うまでもありません。
尺八でもわずかながら少年が始めています。私のところの29800円の尺八で準師範を首席で突破した中学生もいます。親からの助っ人が有るにしろ小学生、中学生に買えない価格の楽器に未来などあるモノか・・・。
十有三春秋 逝く者はすでに水の如し 天地始終無く人生生死有り いずくんぞ古人に類して 千載青史に列するを得ん
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