プラシーボ効果
- 2015/10/19
- 12:13
「硬い竹は硬い音がする」。今の時代に言ったらバカだと思われますが、どうしてどうして、ほんの25年前までは、特に証明する必要の無い自明の事と、尺八の大家でも信じている人が多かったのです。
それどころか、尺八を実際に作っていて、音色の秘密を知っているはずの製管師でも、この迷信に捕らわれていました。
いろんな人が「音と材質は何の関係も無い」と当時でも言っていましたが、そのつど反論してきた人達がいました。今もいますが、その反論意見の論拠を見ると当然ですが感心するものは皆無です。
「砂で音波形を作ったが材質によって違っていた」 「プラスチック尺八と木製尺八、それと竹の尺八。みんな音色が違っていた」 「オレには分かる」
こうだからバカ扱いされるんですよ。言っときますが、私がしてるんじゃなくて事実されています。ネット論争で。
尺八の音色を決めるものは、吹き手の違いを別にすれば歌口の構造と内径です。これ以外は関係有りません。ですから、材質が何であれ歌口と内径の構造が同一であれば同じ音がしますし、材質と無関係に歌口、内径の異なる尺八は無数の音色バリエーションを持ちます。
もう20年前ですが、大学で働く佐々木清樹山さんが、六種類の材質でストレート内径の尺八(当然6本)を作り、機械で同一の息を吹き込みました。そしてそれを倍音解析にかけて可視化しましたが、その結果は全て同一。こう言うのを科学と言うんです。
もっとも、これは学問的にはエクスペリメントではなくデモストレーションです。結果は事前に分かっているわけですからね。
中世までの中国人の知識は民族レベルでは大変なものでした。北回帰線以南では太陽が北に有る場合がある、星は岩石、高地では水の沸点が低くなる、為替や複式簿記の原理、こういう知識は有ったものの、それを原理的に詰めていく科学思考が無かったので、単なる知識の集積で、その先へは行きませんでした。
地中海世界の古代人が、水平線や月食から地球が丸い事を類推したり、夏至の太陽の位置から地球の大きさを割り出していたのとはエライ違いですわ。
それにしても尺八を通算で何十万人という人が吹いてきて、どうして材質と音色との無関係に思い至らなかったのでしょう。演奏者が発見出来ないことは分かりますが、作業で音色を思うままに変えられると広言する者の少なくない製管師が分からなかったというのは不思議です。
さてはオマエラ、音色を操れると言うのはハッタリだな。それとも当てずっぽうに弄っているうちに偶然に直るんじゃねえのか。
さて、この事は本当のところどうだったんですかね。経験の積み上げだけで科学思考が無かった。当然の指摘ですが、私がこれまで会った人で言うと「プラシーボ効果」が一番大きいのではないかと思います。
「眠れない」と言う患者に、睡眠薬だと言って小麦粉を飲ませるとグッスリ眠るというやつです。暗示による「偽薬効果」ですよ。
尺八を吹いている人は「竹が本質」と思いたい。硬い竹では硬い音だと思っているから、硬い竹の尺八では、たとえどんな音が出ても「硬い音」になる。
私は若い時から、イヤと言うほど実例を見てきました。それも超大家達の実例を・・・。つくずく名人と言えども同じ人間だと思います。
西洋楽器の科学性を見習って製作する様になったのは、実にこの25年です。尺八が日本の楽器を離れて世界に普及しようとしている今、科学思考を基礎に持っていないと早い段階で行き止まりが来ると思います。本質的に、この材質の迷信から自由な外国人達も製管を開始しているのですから・・・。
それどころか、尺八を実際に作っていて、音色の秘密を知っているはずの製管師でも、この迷信に捕らわれていました。
いろんな人が「音と材質は何の関係も無い」と当時でも言っていましたが、そのつど反論してきた人達がいました。今もいますが、その反論意見の論拠を見ると当然ですが感心するものは皆無です。
「砂で音波形を作ったが材質によって違っていた」 「プラスチック尺八と木製尺八、それと竹の尺八。みんな音色が違っていた」 「オレには分かる」
こうだからバカ扱いされるんですよ。言っときますが、私がしてるんじゃなくて事実されています。ネット論争で。
尺八の音色を決めるものは、吹き手の違いを別にすれば歌口の構造と内径です。これ以外は関係有りません。ですから、材質が何であれ歌口と内径の構造が同一であれば同じ音がしますし、材質と無関係に歌口、内径の異なる尺八は無数の音色バリエーションを持ちます。
もう20年前ですが、大学で働く佐々木清樹山さんが、六種類の材質でストレート内径の尺八(当然6本)を作り、機械で同一の息を吹き込みました。そしてそれを倍音解析にかけて可視化しましたが、その結果は全て同一。こう言うのを科学と言うんです。
もっとも、これは学問的にはエクスペリメントではなくデモストレーションです。結果は事前に分かっているわけですからね。
中世までの中国人の知識は民族レベルでは大変なものでした。北回帰線以南では太陽が北に有る場合がある、星は岩石、高地では水の沸点が低くなる、為替や複式簿記の原理、こういう知識は有ったものの、それを原理的に詰めていく科学思考が無かったので、単なる知識の集積で、その先へは行きませんでした。
地中海世界の古代人が、水平線や月食から地球が丸い事を類推したり、夏至の太陽の位置から地球の大きさを割り出していたのとはエライ違いですわ。
それにしても尺八を通算で何十万人という人が吹いてきて、どうして材質と音色との無関係に思い至らなかったのでしょう。演奏者が発見出来ないことは分かりますが、作業で音色を思うままに変えられると広言する者の少なくない製管師が分からなかったというのは不思議です。
さてはオマエラ、音色を操れると言うのはハッタリだな。それとも当てずっぽうに弄っているうちに偶然に直るんじゃねえのか。
さて、この事は本当のところどうだったんですかね。経験の積み上げだけで科学思考が無かった。当然の指摘ですが、私がこれまで会った人で言うと「プラシーボ効果」が一番大きいのではないかと思います。
「眠れない」と言う患者に、睡眠薬だと言って小麦粉を飲ませるとグッスリ眠るというやつです。暗示による「偽薬効果」ですよ。
尺八を吹いている人は「竹が本質」と思いたい。硬い竹では硬い音だと思っているから、硬い竹の尺八では、たとえどんな音が出ても「硬い音」になる。
私は若い時から、イヤと言うほど実例を見てきました。それも超大家達の実例を・・・。つくずく名人と言えども同じ人間だと思います。
西洋楽器の科学性を見習って製作する様になったのは、実にこの25年です。尺八が日本の楽器を離れて世界に普及しようとしている今、科学思考を基礎に持っていないと早い段階で行き止まりが来ると思います。本質的に、この材質の迷信から自由な外国人達も製管を開始しているのですから・・・。
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