復讐
- 2015/10/24
- 22:02
20年前まで私の尺八製作の作業場は父の工場の一角にも有りました。問題は、その工場が親会社の敷地内に在った事です。それで何人かの人から苦情を言われました。
誰にも迷惑をかけていないでしょうが。 「そういう問題ではなくて、ここは尺八を作る所じゃないです」 一度は親会社の労働組合からも抗議されました。
しばらく話し合いをしましたが、お互いの見解は平行線でラチがあかない。それでは、「分かりました、もうやりません」。「分かってくれましたか」 それで?その後は?
それまでと何も変わらず尺八を作り続けました。二度と抗議には来なかったです。労働委員も無駄な事に時間をさきませんや。
「こうあるべき」とか言ったって仕方が無いですよ。私は私利私欲の為にやってるんであって、単なる観念論なんか持ち出されても平行線です。
その結果として下請け契約を切られたら? 別に。事実、そのだいぶ後ですが、父の死後、条件が合わず下請けを止めて、父の跡を継いだ弟も尺八の専業者になりました。父が生きている間は潰せなかった、タダそれだけの事です。
親会社と下請けの関係は親子関係というより親分子分の関係に似てますな。夢、金、将来性いずれも無い親分に誰がついて行きますかいな。
まだ父が生きていた頃、尺八を作っていた私の所に父が来て、「警察に行って事情を聞いてきてくれ」と頼まれました。ナルホド周囲にいる人間の中で私が一番ヒマだと思ったんでしょう。
警察で事情を聞くと、60半ばの従業員が、実の息子にボコボコにされて、あげく自動車で山奥に捨てられたのです。一晩かかって山を下りてきて、その足で警察に駆け込んだのです。「民事不介入」の桜田門ですが、これは難しいケースですな。
ダイタイその男たるや、5,6年前には、気に喰わない事が有ると奥さんや息子に手を上げて、(息子を)半殺しにしたとショッチュウ言ってました。奥さんが亡くなり、成長した息子に逆に今度は自分が半殺しにされたわけです。
かくのごとく、若い者はやがて自分の天下を作ります。その時に仕返しされる様な存在であってはなりませんな。
世の中って、因果の尾車ですわ。良きにつけ悪しきにつけ応報は返ってきます。35年前に三塚泉州さんは「邦楽の人達に復讐する」とよく言ってました。 復讐ってどういうこと? ハイハイ、不肖ワタクシが解説しましょう。
伝統や芸術という言葉に逃げ込んで、本当は自分でも良いと思っていないものを口だけで称賛している。だから演奏会は単なる学芸会レベルでどんな演奏でも称賛される。厳しさのカケラも無い。これじゃ一生懸命に努力しているプロが報われない。その上、少しでも逸脱すると「邪道」と分かりもしないくせに排斥しようとする。青木鈴慕にしろ横山勝也にしろ、その前の時代の人達の演奏とはかなり違う。そういう事を聴き比べもしない怠慢。稽古もしないでゴタクをならべるのは趣味だと思えば許せるが、それなら、もっと謙虚になれ。生ぬるい聞き手からは優れた演奏家は育たないぞ。こんな世界、オレが実力で変えてやる。
これって、「復讐」という言葉を使うかどうかは別にして、当時の若い尺八吹きの、ほぼ共通の心情でした。時代が次のステージになった今の人ですとピンとこないと思います。つまり「復讐」は成ったんですかね。
誰にも迷惑をかけていないでしょうが。 「そういう問題ではなくて、ここは尺八を作る所じゃないです」 一度は親会社の労働組合からも抗議されました。
しばらく話し合いをしましたが、お互いの見解は平行線でラチがあかない。それでは、「分かりました、もうやりません」。「分かってくれましたか」 それで?その後は?
それまでと何も変わらず尺八を作り続けました。二度と抗議には来なかったです。労働委員も無駄な事に時間をさきませんや。
「こうあるべき」とか言ったって仕方が無いですよ。私は私利私欲の為にやってるんであって、単なる観念論なんか持ち出されても平行線です。
その結果として下請け契約を切られたら? 別に。事実、そのだいぶ後ですが、父の死後、条件が合わず下請けを止めて、父の跡を継いだ弟も尺八の専業者になりました。父が生きている間は潰せなかった、タダそれだけの事です。
親会社と下請けの関係は親子関係というより親分子分の関係に似てますな。夢、金、将来性いずれも無い親分に誰がついて行きますかいな。
まだ父が生きていた頃、尺八を作っていた私の所に父が来て、「警察に行って事情を聞いてきてくれ」と頼まれました。ナルホド周囲にいる人間の中で私が一番ヒマだと思ったんでしょう。
警察で事情を聞くと、60半ばの従業員が、実の息子にボコボコにされて、あげく自動車で山奥に捨てられたのです。一晩かかって山を下りてきて、その足で警察に駆け込んだのです。「民事不介入」の桜田門ですが、これは難しいケースですな。
ダイタイその男たるや、5,6年前には、気に喰わない事が有ると奥さんや息子に手を上げて、(息子を)半殺しにしたとショッチュウ言ってました。奥さんが亡くなり、成長した息子に逆に今度は自分が半殺しにされたわけです。
かくのごとく、若い者はやがて自分の天下を作ります。その時に仕返しされる様な存在であってはなりませんな。
世の中って、因果の尾車ですわ。良きにつけ悪しきにつけ応報は返ってきます。35年前に三塚泉州さんは「邦楽の人達に復讐する」とよく言ってました。 復讐ってどういうこと? ハイハイ、不肖ワタクシが解説しましょう。
伝統や芸術という言葉に逃げ込んで、本当は自分でも良いと思っていないものを口だけで称賛している。だから演奏会は単なる学芸会レベルでどんな演奏でも称賛される。厳しさのカケラも無い。これじゃ一生懸命に努力しているプロが報われない。その上、少しでも逸脱すると「邪道」と分かりもしないくせに排斥しようとする。青木鈴慕にしろ横山勝也にしろ、その前の時代の人達の演奏とはかなり違う。そういう事を聴き比べもしない怠慢。稽古もしないでゴタクをならべるのは趣味だと思えば許せるが、それなら、もっと謙虚になれ。生ぬるい聞き手からは優れた演奏家は育たないぞ。こんな世界、オレが実力で変えてやる。
これって、「復讐」という言葉を使うかどうかは別にして、当時の若い尺八吹きの、ほぼ共通の心情でした。時代が次のステージになった今の人ですとピンとこないと思います。つまり「復讐」は成ったんですかね。
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