破綻と再出発
- 2015/12/08
- 15:39
4年に一度の尺八国際フェスティバル。プラハ大会が中止になってしまった。
夏ごろから不穏なウワサは聞いていましたが、何とか知恵を集めて乗り切り、開催に持って行けるという期待が有りましたが、結局駄目でした。事情は分かっていますが、今は言わない方が良いでしょう。個人攻撃になりますし、それに当事者には当事者なりの言い分が有りますものね。
大雑把には言いましょう。予算オーバーとチェコ内部の路線対立です。
3年半前ですが、京都大会が終わった後、次回開催に名乗りを挙げたのは中国(上海・蘇州地区)とチェコのプラハで、協議の結果、キク・ディとクリストファー・ブレイズデルが中心となって行うプラハに決まりました。デンマークのキクさんはヨーロッパ尺八ソサエティの会長ですが、実際の運営はチェコの尺八家が主体になることは言うまでもありません。日本での尺八歴が長く豊富な人脈を持つブレイズデルさんもアメリカ人ですからプラハに張り付くわけにはいきませんよ。
キクさんはいつもヨーロッパの尺八家達のイベント開催におけるキャリア不足を危ぶんでいました。去年のドイツ、今年のフランスの尺八サマースクールでも錯誤の有る度に、私達に「ゴメンナサイ、まだ皆なれていなくて」と謝っていましたが、肝心要の時に大きな問題となってしまいました.
ついでと言ったら何ですが、イチオウ解説しましょう。デンマーク人の父と日本人の母を持つキクディさんは、私達はキクさんと呼んでいますが、本当は正しくない。キクディが名前です。『源氏物語』のファンだったお父さんが、桐壺や藤壺から娘の名前、菊壺を思いついたのです。キクディとは菊壺です。
ヨーロッパの尺八家は、まだソサエティすら出来ないアメリカの様には相互に仲が悪いということはないと言います。しかし、このところ考え方や路線の違いが出てきたようです。
もともと師匠筋が違いますからね。横山勝也系統が最も多く、イギリス、フランス、ドイツ、スペインに広がり、ヨーロッパの尺八愛好家の約半分です。竹友社がスイス。倉橋系がオランダ、七孔派宮田系がイギリス、フランス。竹盟社が北欧とイギリス、新都山がフランスです。そして「地無し尺八」を吹く人達がロシア、デンマーク、ドイツ、イギリスに広がっています。ヨーロッパにいる尺八家は全部で七百人くらいだと思います。
これでは、芸の上の一体化は無理ですが、価値観の違いや過去のいきさつはそれはそれとして、相互に尊重しあうEⅭを創れたヨーロッパ人ですから、今後も纏まっていけると思うのですがね。
ともかく、中止になったものは仕方がありません。キクさんは「来年は中止になったが再来年は必ず開催する」と言っていますから、これを良い経験にして新たなチャレンジに期待します。
一つだけ苦言を。今回の中止にいたるチェコ人達の意見対立の中で、「日本人尺八家を交通費、滞在費、ギャラを払って呼ぶから赤字になるんだ。いっそ日本人プロを呼ぶのは止めよう」という意見が出ていましたが、無理も無い。日本人尺八家が昔の様に、会費を払う何人かの弟子を同行できなくなっている現状が有る以上はいずれ問題化することだと思っていました。ニューヨーク大会、シドニー大会の大赤字の原因を作ったのも、トドノツマリはそれです。
演奏力はともかくとして、もう今のプロ尺八家は弟子にそんな強い影響力を発揮できないという現状を説明して、その上で企画を立てて行くしかありません。「第一回の岡山大会の様に県や国から一千万円もの援助が貰える時代ではない」と言う人が多いですが、その前に、そんなリキの有る尺八家がもういないのです。
弟子が5人も行けば師匠の経費をペイ出来るんですがね・・・。
第二回のボルダー大会は横山勝也が頼みまくって日本から二百人同行しました。それすらアメリカの実行側の要望は当初四百人でした。しかし、もう尺八ファンは誰も現役世代ではないので、気楽にヨーロッパまで同行というわけにはいきませんや。分かりますよ、業界がオチブレルとはこういう事です。
夏ごろから不穏なウワサは聞いていましたが、何とか知恵を集めて乗り切り、開催に持って行けるという期待が有りましたが、結局駄目でした。事情は分かっていますが、今は言わない方が良いでしょう。個人攻撃になりますし、それに当事者には当事者なりの言い分が有りますものね。
大雑把には言いましょう。予算オーバーとチェコ内部の路線対立です。
3年半前ですが、京都大会が終わった後、次回開催に名乗りを挙げたのは中国(上海・蘇州地区)とチェコのプラハで、協議の結果、キク・ディとクリストファー・ブレイズデルが中心となって行うプラハに決まりました。デンマークのキクさんはヨーロッパ尺八ソサエティの会長ですが、実際の運営はチェコの尺八家が主体になることは言うまでもありません。日本での尺八歴が長く豊富な人脈を持つブレイズデルさんもアメリカ人ですからプラハに張り付くわけにはいきませんよ。
キクさんはいつもヨーロッパの尺八家達のイベント開催におけるキャリア不足を危ぶんでいました。去年のドイツ、今年のフランスの尺八サマースクールでも錯誤の有る度に、私達に「ゴメンナサイ、まだ皆なれていなくて」と謝っていましたが、肝心要の時に大きな問題となってしまいました.
ついでと言ったら何ですが、イチオウ解説しましょう。デンマーク人の父と日本人の母を持つキクディさんは、私達はキクさんと呼んでいますが、本当は正しくない。キクディが名前です。『源氏物語』のファンだったお父さんが、桐壺や藤壺から娘の名前、菊壺を思いついたのです。キクディとは菊壺です。
ヨーロッパの尺八家は、まだソサエティすら出来ないアメリカの様には相互に仲が悪いということはないと言います。しかし、このところ考え方や路線の違いが出てきたようです。
もともと師匠筋が違いますからね。横山勝也系統が最も多く、イギリス、フランス、ドイツ、スペインに広がり、ヨーロッパの尺八愛好家の約半分です。竹友社がスイス。倉橋系がオランダ、七孔派宮田系がイギリス、フランス。竹盟社が北欧とイギリス、新都山がフランスです。そして「地無し尺八」を吹く人達がロシア、デンマーク、ドイツ、イギリスに広がっています。ヨーロッパにいる尺八家は全部で七百人くらいだと思います。
これでは、芸の上の一体化は無理ですが、価値観の違いや過去のいきさつはそれはそれとして、相互に尊重しあうEⅭを創れたヨーロッパ人ですから、今後も纏まっていけると思うのですがね。
ともかく、中止になったものは仕方がありません。キクさんは「来年は中止になったが再来年は必ず開催する」と言っていますから、これを良い経験にして新たなチャレンジに期待します。
一つだけ苦言を。今回の中止にいたるチェコ人達の意見対立の中で、「日本人尺八家を交通費、滞在費、ギャラを払って呼ぶから赤字になるんだ。いっそ日本人プロを呼ぶのは止めよう」という意見が出ていましたが、無理も無い。日本人尺八家が昔の様に、会費を払う何人かの弟子を同行できなくなっている現状が有る以上はいずれ問題化することだと思っていました。ニューヨーク大会、シドニー大会の大赤字の原因を作ったのも、トドノツマリはそれです。
演奏力はともかくとして、もう今のプロ尺八家は弟子にそんな強い影響力を発揮できないという現状を説明して、その上で企画を立てて行くしかありません。「第一回の岡山大会の様に県や国から一千万円もの援助が貰える時代ではない」と言う人が多いですが、その前に、そんなリキの有る尺八家がもういないのです。
弟子が5人も行けば師匠の経費をペイ出来るんですがね・・・。
第二回のボルダー大会は横山勝也が頼みまくって日本から二百人同行しました。それすらアメリカの実行側の要望は当初四百人でした。しかし、もう尺八ファンは誰も現役世代ではないので、気楽にヨーロッパまで同行というわけにはいきませんや。分かりますよ、業界がオチブレルとはこういう事です。
スポンサーサイト