虚無僧人生
- 2016/04/30
- 23:18
私の大学時代の2年後輩に虚無僧の野入虚彗がいます。1974年、大学4年の春、突如として発狂し、大阪の酒井竹保先生の家を訪ねて即入門。帰りの駅(山本駅)までの途中で見つけた牛乳屋、その店先に貼られた「住み込み店員募集」の紙を見て。それで即就職です。
牛乳配達は、当時は、やる人がいないので有利な仕事と言えば言えました。朝は3時起きですが、配達は月水金の週3日だけ。それも朝8時頃に終わると、もうそれでおしまいでした。それでいて高卒の初任給程度の給与と牛乳屋の2階の台所付の二部屋があてがわれたのですから、今なら人が押し寄せますよ。
景気の悪くなった平成になっては、朝1時起き、週6日の配達で手取り20万チョイだと聞きます。思えば、この頃は労働者の天国でしたな。その割にはアカに煽動されたか、皆ブータレていましたけどね。ついでに言うと、私も野入もストレスとブータレとは生涯無縁でしたから、少々の収入の不安は我慢しなくては・・・。
野入は虚無僧ですから、吹奏は全て暗譜です。大学時代には私も指導しましたが、「スジが良い」という印象は有りません。特に「掛け合い」などのタイミングが悪いのです。
私も、その理由を科学的に分析しましたが、どうも原因は彼の極端な奥目に有ったようです。彼の場合、譜面を見ても、極端に奥に有る眼球に届くのが他人より0コンマⅩ秒遅れる。それでタイミングが遅れる、それしか考えられない。
そのハンデイも暗譜で本曲を吹いている分には関係無いですもんね。
今年、本当なら尺八の国際フェスティバルがチェコのプラハで有るはずでした。それに彼も招聘されていましたが、キクディさんが彼に提示した条件は、「ノーギャラ。全ての経費自分持ち」というヒドイモノでしたから、彼は断りました。
私は行って出店する予定でしたから、「通訳してくれればプラハでの滞在費と謝礼を出すよ」と誘ったのですが、答えはノー。
キクディさんは一次条件を出して、後で妥協点を探す意図だったと思いますが、彼は、一次提示で自分が望まれていないと判断すると、もう動きませんわ。
野入はドイツやロシアに弟子がいて、講習会を開くと、100ユーロ程度の会費で30~40人は楽に集められるんです。金が理由ではありません。
生きる上での大切なもの。①楽しい事 ②自己満足 ③金。この②と③の順位が、家族持ちの私と野入とでは入れ替わりますけどね・・・。
現在の日本では、いったん虚無僧になってしまったら、もう二度とは「マトモ」な社会生活には戻れないでしょう。でも、外国人では高学歴で「虚無僧になりたい」とマジで言う人がいるんですよ。
欧米では、財産の蓄積という点で日本の比ではありませんから、一生遊んで暮らせる境遇の人がワンサカいますし、親族も「それで良い」と考えますが、そういう人ばかりでなく、ごく普通の家庭環境でも虚無僧生活を希望する人達がいて驚きます。
日本では、私は立派な勤労者と見られますが、野入はキワモノ扱いです。内実は遊びと仕事の境界が明確でないだけに同じようなモノなんですがね。水面下での足搔きなんて人に見せるものではありませんや。
今の日本を見ていると、価値観の多様化が速い速度で進行していて、コツコツやるのも立派、気楽に生きるのも人生、中途半端もまた良し、という社会に向かっています。これから虚無僧人生もまた見直されますって。間違いない。
「無責任な事を言うな。虚無僧なんかで家族を養えるものか」ですって。そうですよ。でも結婚しない人も増えましたしね。
自分の生き方を自分だけの価値観で選ぶ、私は良い世の中になったと思います。
牛乳配達は、当時は、やる人がいないので有利な仕事と言えば言えました。朝は3時起きですが、配達は月水金の週3日だけ。それも朝8時頃に終わると、もうそれでおしまいでした。それでいて高卒の初任給程度の給与と牛乳屋の2階の台所付の二部屋があてがわれたのですから、今なら人が押し寄せますよ。
景気の悪くなった平成になっては、朝1時起き、週6日の配達で手取り20万チョイだと聞きます。思えば、この頃は労働者の天国でしたな。その割にはアカに煽動されたか、皆ブータレていましたけどね。ついでに言うと、私も野入もストレスとブータレとは生涯無縁でしたから、少々の収入の不安は我慢しなくては・・・。
野入は虚無僧ですから、吹奏は全て暗譜です。大学時代には私も指導しましたが、「スジが良い」という印象は有りません。特に「掛け合い」などのタイミングが悪いのです。
私も、その理由を科学的に分析しましたが、どうも原因は彼の極端な奥目に有ったようです。彼の場合、譜面を見ても、極端に奥に有る眼球に届くのが他人より0コンマⅩ秒遅れる。それでタイミングが遅れる、それしか考えられない。
そのハンデイも暗譜で本曲を吹いている分には関係無いですもんね。
今年、本当なら尺八の国際フェスティバルがチェコのプラハで有るはずでした。それに彼も招聘されていましたが、キクディさんが彼に提示した条件は、「ノーギャラ。全ての経費自分持ち」というヒドイモノでしたから、彼は断りました。
私は行って出店する予定でしたから、「通訳してくれればプラハでの滞在費と謝礼を出すよ」と誘ったのですが、答えはノー。
キクディさんは一次条件を出して、後で妥協点を探す意図だったと思いますが、彼は、一次提示で自分が望まれていないと判断すると、もう動きませんわ。
野入はドイツやロシアに弟子がいて、講習会を開くと、100ユーロ程度の会費で30~40人は楽に集められるんです。金が理由ではありません。
生きる上での大切なもの。①楽しい事 ②自己満足 ③金。この②と③の順位が、家族持ちの私と野入とでは入れ替わりますけどね・・・。
現在の日本では、いったん虚無僧になってしまったら、もう二度とは「マトモ」な社会生活には戻れないでしょう。でも、外国人では高学歴で「虚無僧になりたい」とマジで言う人がいるんですよ。
欧米では、財産の蓄積という点で日本の比ではありませんから、一生遊んで暮らせる境遇の人がワンサカいますし、親族も「それで良い」と考えますが、そういう人ばかりでなく、ごく普通の家庭環境でも虚無僧生活を希望する人達がいて驚きます。
日本では、私は立派な勤労者と見られますが、野入はキワモノ扱いです。内実は遊びと仕事の境界が明確でないだけに同じようなモノなんですがね。水面下での足搔きなんて人に見せるものではありませんや。
今の日本を見ていると、価値観の多様化が速い速度で進行していて、コツコツやるのも立派、気楽に生きるのも人生、中途半端もまた良し、という社会に向かっています。これから虚無僧人生もまた見直されますって。間違いない。
「無責任な事を言うな。虚無僧なんかで家族を養えるものか」ですって。そうですよ。でも結婚しない人も増えましたしね。
自分の生き方を自分だけの価値観で選ぶ、私は良い世の中になったと思います。
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