肩書
- 2016/05/20
- 22:20
定年退職をむかえた大学時代の後輩から電話が有りました。
「大橋さん、Yです」。 大橋さんだと、なぜ大橋先生と呼ばない。俺たち法政より大学のランクではダイブ落ちるし頭も顔もテメエなみに悪い中央大の者だってだ、プロの先輩に対しては敬意を持って先生と呼んでるぞ。まったく、いるんだよなあ、昔後輩だったからってナレナレしくサンずけで呼ぶ奴が・・・。
「私も定年退職しました」。 60で退職して、もう働かないとの由。聞くと、現役中に財テクに励んで十分な財産形成をしていて働く必要が無いとの事です。何とも羨ましい話です。
Y、Y君、いやYさん、あえてYさんと呼ばせてもらいます。それで、なんだ、その有り余る金の使い道についての相談ですかい?
定年して困るのは名刺に入れる肩書が無くなる事だそうです。日本では初対面の人間に肩書無しの名刺を渡すと信用されないと言います。
思えば昔もそんな話を聞きました。私が大学4年の時、文学部は在日朝鮮人で作家の金達寿先生を講師に招きました。現役作家の講義ですから面白くて、私も出来るかぎり出席しました。もっとも、多忙な方なので半分以上が休講でしたが。
ある時に聞きましたよ。何で法政の講師を引き受けたのか。
「私がたとえば誰かと会ったとしますな、肩書無しの三字名(もろ朝鮮人)の名刺を渡すとナカナカ信用されないんですよ。法政大学講師の肩書を入れると相手の態度がマルっきり違いますよ」。との返事でした。
金先生は、このころ『日本の中の朝鮮文化』の執筆で全国の役場や図書館を訪ねて調べものをしていましたので、法政講師の肩書は役にたったのでしょう。
名刺とか肩書とかは変なモノですなあ。尺八をやっている欧米人では持っている人間もいますが、ダイタイが中国圏、韓国、日本人しか持っていません。
しかも名刺にデタラメを刷ってもバレるということはほとんど無いです。そこに入っている肩書の真偽はヒトマズ保留して、ともかく名刺が有れば相手は安心するみたいです。
結局その後輩は歌人と入れるそうです。ナルホドなあ、「歌人」だと嘘も真も無いし、世間の通りも良いですわな。たまに突っ込む奴がいて、「センセイはどういうところに発表しているんですか?」とか聞かれても、適当な同人誌らしきものの名を挙げれば相手に分かりっこないので、それで世間は通ります。
尺八家の肩書の名刺って、そこに「人間国宝」の肩書でも入っていれば別ですが、邦楽の世界でしか実効性は無いです。でも無いと自分を紹介しようが有りません。
でも、有名会社や公務員あるいは医者、弁護士などの国家資格ならともかく、尺八家って肩書は世間的信用に欠ける。というより無い。その事が知りたければ銀行に行って名刺を出してローンを申し込んでみたら分かります。私だって30年前に家のローンを申し込んだ時タイヘンだったんだから。
ブータレたって仕様が無い。日本の伝統文化のハード製作の第一人者(ワシのこっちゃい)が世間的には信用が全然無い。
この現状は、私には闘志が沸きますな。「いざとなったら文化なんか信用できるか」という日本の堅実性が有ればこそ、この島国が世界中で羨ましがられる存在になったのですが、そこはそれ、私は尺八屋が世間からは評価されていないと思えばこそ何でも出来る。
「大橋さん、Yです」。 大橋さんだと、なぜ大橋先生と呼ばない。俺たち法政より大学のランクではダイブ落ちるし頭も顔もテメエなみに悪い中央大の者だってだ、プロの先輩に対しては敬意を持って先生と呼んでるぞ。まったく、いるんだよなあ、昔後輩だったからってナレナレしくサンずけで呼ぶ奴が・・・。
「私も定年退職しました」。 60で退職して、もう働かないとの由。聞くと、現役中に財テクに励んで十分な財産形成をしていて働く必要が無いとの事です。何とも羨ましい話です。
Y、Y君、いやYさん、あえてYさんと呼ばせてもらいます。それで、なんだ、その有り余る金の使い道についての相談ですかい?
定年して困るのは名刺に入れる肩書が無くなる事だそうです。日本では初対面の人間に肩書無しの名刺を渡すと信用されないと言います。
思えば昔もそんな話を聞きました。私が大学4年の時、文学部は在日朝鮮人で作家の金達寿先生を講師に招きました。現役作家の講義ですから面白くて、私も出来るかぎり出席しました。もっとも、多忙な方なので半分以上が休講でしたが。
ある時に聞きましたよ。何で法政の講師を引き受けたのか。
「私がたとえば誰かと会ったとしますな、肩書無しの三字名(もろ朝鮮人)の名刺を渡すとナカナカ信用されないんですよ。法政大学講師の肩書を入れると相手の態度がマルっきり違いますよ」。との返事でした。
金先生は、このころ『日本の中の朝鮮文化』の執筆で全国の役場や図書館を訪ねて調べものをしていましたので、法政講師の肩書は役にたったのでしょう。
名刺とか肩書とかは変なモノですなあ。尺八をやっている欧米人では持っている人間もいますが、ダイタイが中国圏、韓国、日本人しか持っていません。
しかも名刺にデタラメを刷ってもバレるということはほとんど無いです。そこに入っている肩書の真偽はヒトマズ保留して、ともかく名刺が有れば相手は安心するみたいです。
結局その後輩は歌人と入れるそうです。ナルホドなあ、「歌人」だと嘘も真も無いし、世間の通りも良いですわな。たまに突っ込む奴がいて、「センセイはどういうところに発表しているんですか?」とか聞かれても、適当な同人誌らしきものの名を挙げれば相手に分かりっこないので、それで世間は通ります。
尺八家の肩書の名刺って、そこに「人間国宝」の肩書でも入っていれば別ですが、邦楽の世界でしか実効性は無いです。でも無いと自分を紹介しようが有りません。
でも、有名会社や公務員あるいは医者、弁護士などの国家資格ならともかく、尺八家って肩書は世間的信用に欠ける。というより無い。その事が知りたければ銀行に行って名刺を出してローンを申し込んでみたら分かります。私だって30年前に家のローンを申し込んだ時タイヘンだったんだから。
ブータレたって仕様が無い。日本の伝統文化のハード製作の第一人者(ワシのこっちゃい)が世間的には信用が全然無い。
この現状は、私には闘志が沸きますな。「いざとなったら文化なんか信用できるか」という日本の堅実性が有ればこそ、この島国が世界中で羨ましがられる存在になったのですが、そこはそれ、私は尺八屋が世間からは評価されていないと思えばこそ何でも出来る。
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