言い分
- 2016/05/24
- 22:00
私の友人に有名漫画家のHがいます。この方は私の9歳下ですが、少年時代に読んだ漫画は一部重なっています。
私は、というより私達の時代は、子供とはどう在るべきかという事に、ハッキリした指針が存在していました。
「日本国憲法」によれば、晴れていれば外で遊ぶ、家では漫画を読み、夜はテレビを見て遅くとも9時には寝る。時間が有れば勉強をしても良いが、この行為は否定はされないが奨励される事では無い。ただ宿題はやる。
どんな少年も漫画で正義と友情と字を憶えました。聞けば江戸時代は日本人の識字率が50パーセントくらいだったということですが、当たり前です。漫画が有りませんでしたから。
ある時にHさんと話していて寺田ヒロオの話になりました。私達の代の人間は大方の者が名前を記憶していると思います。代表作は『スポーツマン金太郎』でしょう。有名なトキワ荘の出身で、仲間の兄貴分でした。全盛期は昭和30年代の半ばですかね。
「あの人どうしていますか?」と私が聞くと・・・。
もう亡くなっていました。それも60チョットで。世の中を拒否したのでしょうか、家族とも交わらず、その死は緩慢な自殺といったようなものだったそうです。
とにかく劇画に対しての敵意はハンパではなく、劇画家や雑誌編集者にも「即刻やめろ」と直接意見をしていたといいます。漫画がすたれ劇画に主流が移る事がどうしても許せなかったそうです。
その結果、劇画作家や雑誌編集者まで攻撃し、世界を狭めて発表の場を無くしました。Hさんのようにプロの目で見ると寺田ヒロオの画はとても上手いそうです。私をはじめ、あらかたの少年は下手だと思っていました。
それはともかく、これってどう思います。立派だと思う人よりバカだと思う人の方が多いでしょう。
私はバカだとまでは思いませんが賛同できません。プロとしての在り方と別の趣味の在り方、また狭い「同人」の世界も有ると思うんですよ。漫画家や小説家あるいはプロの音楽家のおそらく90パーセント以上は生涯収入がサラリーマン等の給与生活者に及ばないでしょう。
Hさんにしろ単行本八百万部の大ヒットを持っていますが、その4億円という巨額の印税収入も短期に集中しますので税金も大変、それに大勢のアシスタントに払う給料もバカになりません。数年間の集計としての「売り上げ4億」は会社や商店では何ら驚く金額ではありません。
ダイイチ普通はこんな大ヒットなんてものに恵まれないものです。
にもかかわらず好きで入った道ですから誰でも生活が立つなら、こういう職業で頑張りたいと思っています。でも食えない理由がなんであれ、現実の傾向に合わせようという気が無いなら趣味にすれば良いことだと思います。
私は尺八作りを仕事にしていますが、時々趣味で尺八作りをしている人達に感心する場面が有ります。誤解の無い様に言っておくと、10人に1人なんて到底いません。
一本の尺八を百時間を超えて作っている、興味を示した人に只であげていた、外部の価値観を完全に遮断している、これらの事はいずれも私達プロには出来ない事です。
プロの世界とはまた違った趣味の世界の豊かさを感じるのですよ。
もう一つ誤解の無い様に言っておきますが、私達プロ製管師は現実に妥協しているのではありませんぜ。それどころか、自分なりの確信と信念で古い尺八を駆逐したのです。一つ例を挙げると、今、プロで昔の「十割配孔」で尺八を製作している者はいませんな。ところが40年前は違ってたんですぜ。30年前までは「まともな配孔」には抵抗勢力とまではいかなくても、いぶかる意見は有りました。多くは単なる無知でしたが中には「理由」を述べる人もいました。
新しい流れだって、それを造った者には、残念がる者とは別の言い分が有るのです。
私は、というより私達の時代は、子供とはどう在るべきかという事に、ハッキリした指針が存在していました。
「日本国憲法」によれば、晴れていれば外で遊ぶ、家では漫画を読み、夜はテレビを見て遅くとも9時には寝る。時間が有れば勉強をしても良いが、この行為は否定はされないが奨励される事では無い。ただ宿題はやる。
どんな少年も漫画で正義と友情と字を憶えました。聞けば江戸時代は日本人の識字率が50パーセントくらいだったということですが、当たり前です。漫画が有りませんでしたから。
ある時にHさんと話していて寺田ヒロオの話になりました。私達の代の人間は大方の者が名前を記憶していると思います。代表作は『スポーツマン金太郎』でしょう。有名なトキワ荘の出身で、仲間の兄貴分でした。全盛期は昭和30年代の半ばですかね。
「あの人どうしていますか?」と私が聞くと・・・。
もう亡くなっていました。それも60チョットで。世の中を拒否したのでしょうか、家族とも交わらず、その死は緩慢な自殺といったようなものだったそうです。
とにかく劇画に対しての敵意はハンパではなく、劇画家や雑誌編集者にも「即刻やめろ」と直接意見をしていたといいます。漫画がすたれ劇画に主流が移る事がどうしても許せなかったそうです。
その結果、劇画作家や雑誌編集者まで攻撃し、世界を狭めて発表の場を無くしました。Hさんのようにプロの目で見ると寺田ヒロオの画はとても上手いそうです。私をはじめ、あらかたの少年は下手だと思っていました。
それはともかく、これってどう思います。立派だと思う人よりバカだと思う人の方が多いでしょう。
私はバカだとまでは思いませんが賛同できません。プロとしての在り方と別の趣味の在り方、また狭い「同人」の世界も有ると思うんですよ。漫画家や小説家あるいはプロの音楽家のおそらく90パーセント以上は生涯収入がサラリーマン等の給与生活者に及ばないでしょう。
Hさんにしろ単行本八百万部の大ヒットを持っていますが、その4億円という巨額の印税収入も短期に集中しますので税金も大変、それに大勢のアシスタントに払う給料もバカになりません。数年間の集計としての「売り上げ4億」は会社や商店では何ら驚く金額ではありません。
ダイイチ普通はこんな大ヒットなんてものに恵まれないものです。
にもかかわらず好きで入った道ですから誰でも生活が立つなら、こういう職業で頑張りたいと思っています。でも食えない理由がなんであれ、現実の傾向に合わせようという気が無いなら趣味にすれば良いことだと思います。
私は尺八作りを仕事にしていますが、時々趣味で尺八作りをしている人達に感心する場面が有ります。誤解の無い様に言っておくと、10人に1人なんて到底いません。
一本の尺八を百時間を超えて作っている、興味を示した人に只であげていた、外部の価値観を完全に遮断している、これらの事はいずれも私達プロには出来ない事です。
プロの世界とはまた違った趣味の世界の豊かさを感じるのですよ。
もう一つ誤解の無い様に言っておきますが、私達プロ製管師は現実に妥協しているのではありませんぜ。それどころか、自分なりの確信と信念で古い尺八を駆逐したのです。一つ例を挙げると、今、プロで昔の「十割配孔」で尺八を製作している者はいませんな。ところが40年前は違ってたんですぜ。30年前までは「まともな配孔」には抵抗勢力とまではいかなくても、いぶかる意見は有りました。多くは単なる無知でしたが中には「理由」を述べる人もいました。
新しい流れだって、それを造った者には、残念がる者とは別の言い分が有るのです。
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