京都の厚み
- 2014/11/23
- 22:13
バブルの頃、煤竹で尺八を作り 作れば作っただけ売れたので大儲けしました。そのうちに煤竹が無くなりまして、探したんですが何処にも無いんですよ。
「オレにまかせとけ」、そう言ってくれた人は何人もいましたが、違うんですよ。普通の煤竹なら手に入れるのに別に苦労はなんか無いですよ。
私が買ってたのは京都の笛師が使う百年物の煤竹です。
笛師は煤竹を割って裏返し、ちょうど樽を作るようにして笛を作るんです。京都の笛師は、その竹を滋賀県の農家と契約して、屋根を葺き替える時に屋根裏に入れてもらうのです。そして囲炉裏の煙で百年燻されて、また屋根を葺き替える時には煤竹に成っているのです。厳選された竹、百年間囲炉裏の煙にあたり、その煙のあたる場所も考えられています。そういう竹ですからチョットやソットでは手に入らないのはお分かりでしょう。結局あきらめました。
私の煤竹尺八があまり売れたので他でも作るところが出てきましたが、私の知る限り全て炭窯で燻した人工煤竹です。私は何によらず人工的に作られた物は寧ろ好きです。それは、しばしば天然物を質において上回っており、質の悪い物が天然だという事だけで出まわっているより余程良いと思います。
ただ、この人工煤竹には好意を持てませんでした。ノコギリをいれるとスカスカなのは良いとして、艶の悪さ、強い燻製臭はいただけません。
百年煤竹は、まず百年後に子孫がまだ笛師やっているという確信、百年間囲炉裏で煙を立てる生活をしているという、また百年後に間違いなく引き取ってもらえるという相手に対する相互信頼が有って初めて出来る物なのです。ですから私は少しでも迷った方には「迷うのなら他の人に譲ってください」と言いました。
全品20万円以下で出しましたから、不遜ですが買って下さる方にも資格を求めました。笛用煤竹はおそらく二度と手に入らないでしょう。何百年間も先祖代々同じ仕事をしてきた京都の厚みです。でも、もう新しく屋根を葺き替えるにしろ囲炉裏は作らないでしょうし、いくら京都でも百年後の子孫の仕事はもう分からない時代になりました。
「オレにまかせとけ」、そう言ってくれた人は何人もいましたが、違うんですよ。普通の煤竹なら手に入れるのに別に苦労はなんか無いですよ。
私が買ってたのは京都の笛師が使う百年物の煤竹です。
笛師は煤竹を割って裏返し、ちょうど樽を作るようにして笛を作るんです。京都の笛師は、その竹を滋賀県の農家と契約して、屋根を葺き替える時に屋根裏に入れてもらうのです。そして囲炉裏の煙で百年燻されて、また屋根を葺き替える時には煤竹に成っているのです。厳選された竹、百年間囲炉裏の煙にあたり、その煙のあたる場所も考えられています。そういう竹ですからチョットやソットでは手に入らないのはお分かりでしょう。結局あきらめました。
私の煤竹尺八があまり売れたので他でも作るところが出てきましたが、私の知る限り全て炭窯で燻した人工煤竹です。私は何によらず人工的に作られた物は寧ろ好きです。それは、しばしば天然物を質において上回っており、質の悪い物が天然だという事だけで出まわっているより余程良いと思います。
ただ、この人工煤竹には好意を持てませんでした。ノコギリをいれるとスカスカなのは良いとして、艶の悪さ、強い燻製臭はいただけません。
百年煤竹は、まず百年後に子孫がまだ笛師やっているという確信、百年間囲炉裏で煙を立てる生活をしているという、また百年後に間違いなく引き取ってもらえるという相手に対する相互信頼が有って初めて出来る物なのです。ですから私は少しでも迷った方には「迷うのなら他の人に譲ってください」と言いました。
全品20万円以下で出しましたから、不遜ですが買って下さる方にも資格を求めました。笛用煤竹はおそらく二度と手に入らないでしょう。何百年間も先祖代々同じ仕事をしてきた京都の厚みです。でも、もう新しく屋根を葺き替えるにしろ囲炉裏は作らないでしょうし、いくら京都でも百年後の子孫の仕事はもう分からない時代になりました。
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