セオリー
- 2016/07/11
- 23:24
私が小学校6年の時、私の家に突然若い男が来て、何か月か一緒に住みました。工場を経営していた父が親会社の社員に頼まれて、その弟を従業員として雇い、ついでに家に居候させたというわけです。
その弟というのが、青森が故郷でしたが、地元では手のつけられない不良で、中学卒業後も就職先が無く1年近くブラツイタ後、その兄貴に泣きつかれた私の父が引き取ったというのが事情です。
その頃は居候というのは、それほど珍しい事では無く、特に面倒見が良く人並み外れたオヒトヨシの父は頼まれると断れないので、それ以前にも、東京に憧れた親類の娘や、今で言うストーカーから身を隠す為に知り合いの娘を数か月単位で家に住まわせていました。
それでも若い男というのは、それまでいなかったと思います。その人はどうしようもないヤンチャだという事でしたが、無類のオヒトヨシでもありました。
来て早々、中学の時に気に喰わない女教師を肥溜に叩きこんで、担任から33発殴られたと自慢していましたが、私が37発殴られた事を言い弟も頷いたので、酷い劣等感と敗北感にかられて下を向いてしまいました。
そういう人でしたから、私や弟は大喜びでした。
ある時、その男が父に「何を夢みたいな事を言ってるんだ」と怒られていました。そばで聞いていましたが、会社を辞めてボクサーになりたいと言って、窘められていたのです。
その頃はボクシングは人気が有り、週に何回もテレビ放映が有りました。私もよく見ていましたが、それでもボクサーになりたいと言う人を身近に見たのは初めてです。面白くて見てはいても自分ではやりたくないですわ。勝っても顔面ボコボコですよ。
当時はまだパンチドランカーという言葉は無かったものの、「ボクシングをやると頭の神経がやられる」ことは、何となく知られていました。ピストン堀口の死はそれが原因だと言う大人が多かったから、子供でもそう思っていました。
それより子供達に嫌がられたのは、当時は、まだ試合後の治療が充分でなかったので、ボクサーって写真で見ると、皆、鼻が陥没しているんです。
いくら有名人になれても、引き換えに痛い思いをしてブ男になるのはカナイマセンわ。
どんなにハタからはヒドイと見えても、その職業が存在している以上、その職についている人がいて、場合によっては希望する人もいるわけです。
私の職業は尺八の製造販売ですが、知らない人達からは現実感が持てない職業だと思われています。理由は簡単、何処にも売っている店、つまり小売店というものが無いからです。
尺八という物がある以上は、誰かが作っているし何処かで売っていると頭では分かるのですが、現実の職業としたら全く現実感が無いわけですな。
ボクシングと同じで「何を夢みたいなことを・・・。」となるわけです。
その職で生活する為にはセオリーが有ります。ボクシングであれば、その辺りでゴロマキをしていたアンチャンにしろ、プロになるには手順を踏まなくてはなりません。
『あしたのジョー』いらい、ボクサーを志望するケンカだけの偏差値の低いニイチャンも分かったようですが、ケンカの実績でそのままなれるものでは有りません。
尺八で、私は展示会でたまにプロになりたいとの相談を受けます。この場合、吹奏家であり製管師ではありません。尺八吹奏のプロになる為にはセオリーが有ります。
そういうの甘く考えないでよ。50年近くこの世界にいるけど例外なんて見た事無いんだから・・・。
その弟というのが、青森が故郷でしたが、地元では手のつけられない不良で、中学卒業後も就職先が無く1年近くブラツイタ後、その兄貴に泣きつかれた私の父が引き取ったというのが事情です。
その頃は居候というのは、それほど珍しい事では無く、特に面倒見が良く人並み外れたオヒトヨシの父は頼まれると断れないので、それ以前にも、東京に憧れた親類の娘や、今で言うストーカーから身を隠す為に知り合いの娘を数か月単位で家に住まわせていました。
それでも若い男というのは、それまでいなかったと思います。その人はどうしようもないヤンチャだという事でしたが、無類のオヒトヨシでもありました。
来て早々、中学の時に気に喰わない女教師を肥溜に叩きこんで、担任から33発殴られたと自慢していましたが、私が37発殴られた事を言い弟も頷いたので、酷い劣等感と敗北感にかられて下を向いてしまいました。
そういう人でしたから、私や弟は大喜びでした。
ある時、その男が父に「何を夢みたいな事を言ってるんだ」と怒られていました。そばで聞いていましたが、会社を辞めてボクサーになりたいと言って、窘められていたのです。
その頃はボクシングは人気が有り、週に何回もテレビ放映が有りました。私もよく見ていましたが、それでもボクサーになりたいと言う人を身近に見たのは初めてです。面白くて見てはいても自分ではやりたくないですわ。勝っても顔面ボコボコですよ。
当時はまだパンチドランカーという言葉は無かったものの、「ボクシングをやると頭の神経がやられる」ことは、何となく知られていました。ピストン堀口の死はそれが原因だと言う大人が多かったから、子供でもそう思っていました。
それより子供達に嫌がられたのは、当時は、まだ試合後の治療が充分でなかったので、ボクサーって写真で見ると、皆、鼻が陥没しているんです。
いくら有名人になれても、引き換えに痛い思いをしてブ男になるのはカナイマセンわ。
どんなにハタからはヒドイと見えても、その職業が存在している以上、その職についている人がいて、場合によっては希望する人もいるわけです。
私の職業は尺八の製造販売ですが、知らない人達からは現実感が持てない職業だと思われています。理由は簡単、何処にも売っている店、つまり小売店というものが無いからです。
尺八という物がある以上は、誰かが作っているし何処かで売っていると頭では分かるのですが、現実の職業としたら全く現実感が無いわけですな。
ボクシングと同じで「何を夢みたいなことを・・・。」となるわけです。
その職で生活する為にはセオリーが有ります。ボクシングであれば、その辺りでゴロマキをしていたアンチャンにしろ、プロになるには手順を踏まなくてはなりません。
『あしたのジョー』いらい、ボクサーを志望するケンカだけの偏差値の低いニイチャンも分かったようですが、ケンカの実績でそのままなれるものでは有りません。
尺八で、私は展示会でたまにプロになりたいとの相談を受けます。この場合、吹奏家であり製管師ではありません。尺八吹奏のプロになる為にはセオリーが有ります。
そういうの甘く考えないでよ。50年近くこの世界にいるけど例外なんて見た事無いんだから・・・。
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