尺八の呼び名
- 2016/08/16
- 22:08
しつこいようですが、昨日の続きです。尺八を厳密に実寸で呼ぶならA管は2尺4寸です。本当は2尺4寸5分ですが、子供の言い合いではないので、それは良いとします。では横山勝也門下でも2尺2寸と呼んでいるB♭管はどうです。長さで言うなら2尺3寸ですよ。
B管が2尺1寸管であることに異論は無いですよね。でも実際の長さは2尺2寸有ります。厳密に呼び名が実際の長さを反映しなければならないとすると2尺1寸管は存在しなくなってしまいます。
この事で起きたトラブルは30年前と今は違います。
30年前に私が直面した、あるいは見聞きした事を幾つか挙げましょう。
① 日本尺八連盟のある県の支部長。「君の所に2尺4寸と言って注文したはずだ。買ってからズット吹いてたが2尺3寸の音じゃないか」。
「注文を受けた時に詳しく説明しましたが。その上でお受けしたんですが」
「理屈をいうな。オレはもう30年尺八を吹いている。連盟の支部長だぞ」。
これで畏れ入る製管師は昔も今も、まあいないでしょうな。「30年やった支部長」でその程度なのは尺八界ですから、別に驚きません。
② 米谷のある会に助っ人で出た時の事。会の主催者が義理が有って地元の民謡尺八のセンセイを呼んだんでしょうな。民謡の伴奏は尺八2、3人でやるんですが、その人だけ呼び名の違う尺八でやってました。言っときますけど、30年前だと珍しい光景ではなかったのですよ。
③ 別の時に別の米谷会の人が他の民謡の会のセンセイを必死で説得してました。「サンボンは2尺1寸ですよ」。センセイ様、頑固に「いや2尺2寸だ」。2尺1寸を単に呼び名で2尺2寸管と呼んでいるんなら良いですよ。イッポンが「2尺4寸」だと頭に入ってるのでガンとして引きません。
米谷会の先生も演奏時間は迫るのに頑固に言い張られて困った事でしょう。その頑固なセンセイも弟子達の手前、実力の無い人にとって何より大切な「メンツ」を守ことの方が日本国憲法を守るより大切だったのです。
そういう凄まじい事をやっても、演奏後にたいしてメンツが(本当の意味で)つぶれなかったのですから、振り返ればコワイ時代でしたね。
今は、そういう未熟者はいなくなりました。何年か前に相模原の民謡の発表会で「正律管より正寸管の方が音が合っている」と論争を吹っ掛けられて、イイカゲンにあしらった事はあります。まさか言えませんよ。「アナタは極端にヘタなので尺八がまるで鳴っていないから、短く作った尺八の方がまだしも近い音になるんです」なんて。言ったら喧嘩ですもんね。
でも外国人相手だと、また再び、この尺八の呼び名の違いが大きな問題となってきています。
国際尺八研修館すなわちKSKは、今のところ外国の尺八界で最も強い影響力を持っています。そのKSKが使用している名称が、申しわけありませんが、このところ問題なのです。
欧米豪だけでなく、すでに中国においても寸法の確認が必須事項となっています。「2尺7寸を注文します」と言われてもF管の場合とG管の場合と人によって違うのです。
「その都度確認すれば良いじゃないか」と言われても、アメリカにだって英語の十分に読めない人がいるんです。中国人が英語を使えない事は有名ですし、ヨーロッパだって英語の通じない尺八吹きの方が多いですよ。
まして、これからは予想もしない地域にまで尺八が出て行くのです。今の段階で誤解のモトになる用語は統一したい。もう日本においてさえ一般には「寸」は長さの単位ではなく、「呼び名」として残っているだけです。
ですから頼むしかありません。横山勝也先生の呼び方を封印していただけませんでしょうか。
B管が2尺1寸管であることに異論は無いですよね。でも実際の長さは2尺2寸有ります。厳密に呼び名が実際の長さを反映しなければならないとすると2尺1寸管は存在しなくなってしまいます。
この事で起きたトラブルは30年前と今は違います。
30年前に私が直面した、あるいは見聞きした事を幾つか挙げましょう。
① 日本尺八連盟のある県の支部長。「君の所に2尺4寸と言って注文したはずだ。買ってからズット吹いてたが2尺3寸の音じゃないか」。
「注文を受けた時に詳しく説明しましたが。その上でお受けしたんですが」
「理屈をいうな。オレはもう30年尺八を吹いている。連盟の支部長だぞ」。
これで畏れ入る製管師は昔も今も、まあいないでしょうな。「30年やった支部長」でその程度なのは尺八界ですから、別に驚きません。
② 米谷のある会に助っ人で出た時の事。会の主催者が義理が有って地元の民謡尺八のセンセイを呼んだんでしょうな。民謡の伴奏は尺八2、3人でやるんですが、その人だけ呼び名の違う尺八でやってました。言っときますけど、30年前だと珍しい光景ではなかったのですよ。
③ 別の時に別の米谷会の人が他の民謡の会のセンセイを必死で説得してました。「サンボンは2尺1寸ですよ」。センセイ様、頑固に「いや2尺2寸だ」。2尺1寸を単に呼び名で2尺2寸管と呼んでいるんなら良いですよ。イッポンが「2尺4寸」だと頭に入ってるのでガンとして引きません。
米谷会の先生も演奏時間は迫るのに頑固に言い張られて困った事でしょう。その頑固なセンセイも弟子達の手前、実力の無い人にとって何より大切な「メンツ」を守ことの方が日本国憲法を守るより大切だったのです。
そういう凄まじい事をやっても、演奏後にたいしてメンツが(本当の意味で)つぶれなかったのですから、振り返ればコワイ時代でしたね。
今は、そういう未熟者はいなくなりました。何年か前に相模原の民謡の発表会で「正律管より正寸管の方が音が合っている」と論争を吹っ掛けられて、イイカゲンにあしらった事はあります。まさか言えませんよ。「アナタは極端にヘタなので尺八がまるで鳴っていないから、短く作った尺八の方がまだしも近い音になるんです」なんて。言ったら喧嘩ですもんね。
でも外国人相手だと、また再び、この尺八の呼び名の違いが大きな問題となってきています。
国際尺八研修館すなわちKSKは、今のところ外国の尺八界で最も強い影響力を持っています。そのKSKが使用している名称が、申しわけありませんが、このところ問題なのです。
欧米豪だけでなく、すでに中国においても寸法の確認が必須事項となっています。「2尺7寸を注文します」と言われてもF管の場合とG管の場合と人によって違うのです。
「その都度確認すれば良いじゃないか」と言われても、アメリカにだって英語の十分に読めない人がいるんです。中国人が英語を使えない事は有名ですし、ヨーロッパだって英語の通じない尺八吹きの方が多いですよ。
まして、これからは予想もしない地域にまで尺八が出て行くのです。今の段階で誤解のモトになる用語は統一したい。もう日本においてさえ一般には「寸」は長さの単位ではなく、「呼び名」として残っているだけです。
ですから頼むしかありません。横山勝也先生の呼び方を封印していただけませんでしょうか。
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