シンガポール
- 2016/09/19
- 20:56
アジアで何処にでも住めるとして何処を選ぶ?こう聞かれたら、私はじめ多くの人は今はまだ「やっぱり日本」と答えると思います。
正直言って、楽園のような島国で暮らしてきた日本人には、言葉や習慣の異なる人達に混じって、外国で長期間生活する事はかなりストレスが多いと思います。
では、日本を除いては? それだと台湾、シンガポールが上位にくるのではないですかしら。
強権国家シンガポールには、また別のストレスが有ると思いますが、仕事が有って英語が堪能で、そこそこ稼げる人では、「日本より良い」と言う人も多いでしょう。
私はシンガポールはあまり好きではありません。清潔で規則が厳しい、これだけで私はイヤですよ。熱帯アジアとヨーロッパが整然と同居している景色も好きではないですし、食べ物なんかでも近隣のマレーシア、インドネシアみたいに腹をこわす心配こそ無い物の、見当もつかない味に出会う事も少ないですわな。
このシンガポールは、尺八人口でもホンの10年前までは日本、台湾に次いでアジア第三位でした。もっとも、その頃はまだ中国がサッパリでしたし、他のアジア諸国にいたっては皆無に等しかったですからね。シンガポールは30~50人くらいいました。
この10年の尺八におけるアジアの躍進を云々する事は別の機会にするとして、このシンガポールの尺八の普及は、上野宏秀山さんが事実上一人で成し遂げたものです。
上野さんは慶応大学の在学中にすでに英語を完全にマスターして、その英語力を武器に商社員として活躍していましたが、練りに練ったアイデア、すなわち醤油などの液体を大量に効率良く、しかも品質を保持したまま空輸する方法を提案して、企画会議で蹴られると、じゃあ自分でやろう、と脱サラして家族を連れてシンガポールに移住。そのアイデアのビジネスも大成功させました。
頭のキレもバツグンですが度胸、行動力も備わった凄い人です。押し出しも堂々としていて立派です。ただ尺八の吹奏力はそれほどではありません。
上野さんは忙しい仕事の合間に南洋大学で学生に尺八を教え始めました。南洋大学、正確には南洋理工大学はシンガポールで、と言うより世界でも屈指のエリート校ですから、いろいろと厳しい約束事が存在するらしく、私の展示会の申し出は、「南洋大学の学生相手では駄目です」と言下に断られてしまいました。
3年くらい前でしたか、テレビ局から「上野さんを紹介する番組を作りたいので、ついてはシンガポールの住所と電話番号を教えて下さい」との依頼が有ったので、教えましたが、その時点ではもう尺八の教習を止めていました。
その直後、亡くなった神崎憲さんから相談を受けました。シンガポールでは上野さんが止めてしまったので、尺八を教えてくれる先生がいなくなって困っているので何とかしたい、そういう話でした。
初めはオーストラリア在住のライリー・リーさんの所に話が持ちこまれたそうです。オーストラリアは地理的に近く、同じ英連邦の一員でしたし、しかもリーさんのお父さんは確か湖南出身の中国人ですからシンガポールの人にとって親近感が有るでしょう。
でもリーさんは活動の主体が太鼓に移っていますし、何より多忙なのでシンガポールまで出かけられないという事で、神崎さんに話を回したというわけです。
話が具体化する前に神崎さんは逝ってしまいましたが、もう足掛かりは出来ているのですから、段取りの筋さえ間違えなければ、再び動きだすはずです。
私の邦星堂は尺八界で随一の尺八販売量ですが、そのかなりのパーセンテージを外国が占め始めています。このままですと5年内外に私の所の半分、平均的な製管師の5軒分を外国からの需要が占める事が予想される事態です。
かつて、スエズ以東のアジア全域のGⅮPの半分を日本一国であげていました。それが今は全体量では中国の後塵を拝していますし、一人当たりでは日本はシンガポール、香港に抜かれました。所得のPPP表示では台湾もすでに日本の上です。
かつて「アジアの四匹の小龍」といわれた韓国、台湾、香港、シンガポールは今やいずれも大きく成長しましたし、他のアジア諸国も躍進しています。
こういう事態は尺八にとっても千載一遇の好機、幸運な事態です。
シンガポールを圧倒的な成功に導いた故リー・クワンユー首相は成功の秘訣を一言で述べています。「我国は英語が堪能だったこと」。でも、それだけでは無いですね。同国の人口の四分の一のあたる客家人の勤勉と計画性、太平天国や蘭芳大統制に見られた平等意識。アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国を見る上で地理的に有利。
それより何より、文化や社会ルールには厳格な規制を設けても、こと経済活動には規制を設けず自由にさせた事でしょう。それが上野さんに移住させた要因の大きなものの一つです。
「日本もシンガポールや香港の成功に見習って何でも自由にしろ」とか言うのではありませんよ。日本ほどの規格外の大国が弱肉強食になって、格差をホッタラカシにしたら別の意味でヒドイ事になりますでしょう。
でも、シンガポールと逆で、文化には最大限の自由が有った方が良いと私は思います。ポルノならともかく、尺八の規制は流とか会派とかが力を失った現在では、もう何の強制力も無いですから今さら言いませんがね・・・。
正直言って、楽園のような島国で暮らしてきた日本人には、言葉や習慣の異なる人達に混じって、外国で長期間生活する事はかなりストレスが多いと思います。
では、日本を除いては? それだと台湾、シンガポールが上位にくるのではないですかしら。
強権国家シンガポールには、また別のストレスが有ると思いますが、仕事が有って英語が堪能で、そこそこ稼げる人では、「日本より良い」と言う人も多いでしょう。
私はシンガポールはあまり好きではありません。清潔で規則が厳しい、これだけで私はイヤですよ。熱帯アジアとヨーロッパが整然と同居している景色も好きではないですし、食べ物なんかでも近隣のマレーシア、インドネシアみたいに腹をこわす心配こそ無い物の、見当もつかない味に出会う事も少ないですわな。
このシンガポールは、尺八人口でもホンの10年前までは日本、台湾に次いでアジア第三位でした。もっとも、その頃はまだ中国がサッパリでしたし、他のアジア諸国にいたっては皆無に等しかったですからね。シンガポールは30~50人くらいいました。
この10年の尺八におけるアジアの躍進を云々する事は別の機会にするとして、このシンガポールの尺八の普及は、上野宏秀山さんが事実上一人で成し遂げたものです。
上野さんは慶応大学の在学中にすでに英語を完全にマスターして、その英語力を武器に商社員として活躍していましたが、練りに練ったアイデア、すなわち醤油などの液体を大量に効率良く、しかも品質を保持したまま空輸する方法を提案して、企画会議で蹴られると、じゃあ自分でやろう、と脱サラして家族を連れてシンガポールに移住。そのアイデアのビジネスも大成功させました。
頭のキレもバツグンですが度胸、行動力も備わった凄い人です。押し出しも堂々としていて立派です。ただ尺八の吹奏力はそれほどではありません。
上野さんは忙しい仕事の合間に南洋大学で学生に尺八を教え始めました。南洋大学、正確には南洋理工大学はシンガポールで、と言うより世界でも屈指のエリート校ですから、いろいろと厳しい約束事が存在するらしく、私の展示会の申し出は、「南洋大学の学生相手では駄目です」と言下に断られてしまいました。
3年くらい前でしたか、テレビ局から「上野さんを紹介する番組を作りたいので、ついてはシンガポールの住所と電話番号を教えて下さい」との依頼が有ったので、教えましたが、その時点ではもう尺八の教習を止めていました。
その直後、亡くなった神崎憲さんから相談を受けました。シンガポールでは上野さんが止めてしまったので、尺八を教えてくれる先生がいなくなって困っているので何とかしたい、そういう話でした。
初めはオーストラリア在住のライリー・リーさんの所に話が持ちこまれたそうです。オーストラリアは地理的に近く、同じ英連邦の一員でしたし、しかもリーさんのお父さんは確か湖南出身の中国人ですからシンガポールの人にとって親近感が有るでしょう。
でもリーさんは活動の主体が太鼓に移っていますし、何より多忙なのでシンガポールまで出かけられないという事で、神崎さんに話を回したというわけです。
話が具体化する前に神崎さんは逝ってしまいましたが、もう足掛かりは出来ているのですから、段取りの筋さえ間違えなければ、再び動きだすはずです。
私の邦星堂は尺八界で随一の尺八販売量ですが、そのかなりのパーセンテージを外国が占め始めています。このままですと5年内外に私の所の半分、平均的な製管師の5軒分を外国からの需要が占める事が予想される事態です。
かつて、スエズ以東のアジア全域のGⅮPの半分を日本一国であげていました。それが今は全体量では中国の後塵を拝していますし、一人当たりでは日本はシンガポール、香港に抜かれました。所得のPPP表示では台湾もすでに日本の上です。
かつて「アジアの四匹の小龍」といわれた韓国、台湾、香港、シンガポールは今やいずれも大きく成長しましたし、他のアジア諸国も躍進しています。
こういう事態は尺八にとっても千載一遇の好機、幸運な事態です。
シンガポールを圧倒的な成功に導いた故リー・クワンユー首相は成功の秘訣を一言で述べています。「我国は英語が堪能だったこと」。でも、それだけでは無いですね。同国の人口の四分の一のあたる客家人の勤勉と計画性、太平天国や蘭芳大統制に見られた平等意識。アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国を見る上で地理的に有利。
それより何より、文化や社会ルールには厳格な規制を設けても、こと経済活動には規制を設けず自由にさせた事でしょう。それが上野さんに移住させた要因の大きなものの一つです。
「日本もシンガポールや香港の成功に見習って何でも自由にしろ」とか言うのではありませんよ。日本ほどの規格外の大国が弱肉強食になって、格差をホッタラカシにしたら別の意味でヒドイ事になりますでしょう。
でも、シンガポールと逆で、文化には最大限の自由が有った方が良いと私は思います。ポルノならともかく、尺八の規制は流とか会派とかが力を失った現在では、もう何の強制力も無いですから今さら言いませんがね・・・。
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