十三夜
- 2016/10/08
- 13:16
今年の十三夜は10月13日、もうすぐです。「十三夜」は日本独特の風習で、起源は遠く10世紀初めまで遡ります。江戸時代に粋人は墨田川に屋形船を浮かべて、八月の十五夜と九月の十三夜を愛でたそうです。
十三夜は段々と深まりゆく秋の気配を反映してか物寂しいイメージですね。樋口一葉に『十三夜』と言う名品が有ります。これを多少は下敷きにしている歌謡曲が「十三夜」。
戦前に小笠原美都子が歌ってヒットさせ、戦後も榎本美佐江がカバーして大ヒットになりました。榎本美佐江って知らないって、金田正一の前の奥さんですよ。エ~、金田正一も知らないって、もう話すの止めよう。
でも、でもですよ、貴方も邦楽に携わっているからには沢井忠夫は知っているでしょう。30年くらい前、三本会がカラオケパーティを何度も開いていましたが、沢井先生もよくお見えになりました。そして、お気に入りは「十三夜」。
あの頃は沢井先生も御健在だった。横山勝也先生も邦山先生も中井猛先生も石垣征山だって。それに何より鈴慕先生がお元気だった・・・。十三夜には昔が懐かしくなるんです。
昔をしのぶと言えば、近くの南足柄に米谷雄景という女性尺八家がいました。ワガママで子供っぽい所が有るけどトビっきりのお人好しでした。当時は米谷会で女性で尺八の名取になっていた人は、まだほとんどいませんでした。
御主人がプラスチック成形の工場を経営していて、私は尺八を入れるビニール袋をいつも頼んでいました。
尺八はドは付かないけど下手でしたが、その気の良さと、すぐ怒るけど後はケロッとしている気楽さで人気が有り、一時は20数人の尺八の弟子がいましたが、残念ながら70のダイブ前に死んでしまいました。もう20年近く前になりますかね。
その雄景には一人娘がいまして、婿をとって工場を継がせるのが夢でした。綺麗な娘さんでしたが、ひどいアレルギーが有って、ショッチュウ皮膚病に悩んでいました。
ある時、「十三夜サマ」という祈祷師というか「超能力者」と言うか、ともかくそういう人と会って「娘の皮膚病が治った」と私に言うのです。
私と言えば、「超能力者」、「霊能者」とかは三種類にしか分類出来ないと思っている人間です。すなわちサギ、手品師、バカ。
ですから本気にしやしませんがな。でも誤解無きよう。最初のサギは別として、手品師やバカの中には善意の人助けでやってる人がいる事も知っています。でも能力そのものは存在しない事を疑った瞬間も有りません。
「でもね、十三夜サマが撫でてたらスーとジンマシンが消えていッたんだよ」。「それでアナタ、大金を次ぎこんだんじゃないよね? アナタって気前が良すぎるからカモられないようにしなくっちゃ」。「そんな人じゃないよ。お金は安かったよ」。「なら良いじゃないですか」。
そういうやり取りの1月か2月後には、当然ですが、もう十三夜サマの事は雄景さんの口にのぼらなくなりました。
私は若い頃にはテキヤの仲間に入っていたから、そういう「祈禱治療」の仕組みをある程度は知っていますし見当もつきます。気功師が「念」を当てて手が熱くなる、撫でてると五十肩が楽になる、それもテキヤの仕事の一種だと分かります。
医者が「そんな事で良ければ何時でも出来るよ。だけど自分達は医療のプロだから本当に治す努力をしているんだ」と一笑にふす事は、尺八だっって製管の憚りながらプロなら同じ。ついては言いたいことは山ほど有る。
電話で尺八の不具合を訴えてくる人がいます。電話口で鳴らされたって何処が悪いか分かりませんよ。それが偶然にも素人細工で治る事も有りますわ。それでプロより素人を信用するのも良いでしょう。私達だって可能性の範囲でしか分からないのですから。
でも、その場しのぎはしないのですよ。ましてや当てずっぽうなんて沽券にかかわる。
十三夜は段々と深まりゆく秋の気配を反映してか物寂しいイメージですね。樋口一葉に『十三夜』と言う名品が有ります。これを多少は下敷きにしている歌謡曲が「十三夜」。
戦前に小笠原美都子が歌ってヒットさせ、戦後も榎本美佐江がカバーして大ヒットになりました。榎本美佐江って知らないって、金田正一の前の奥さんですよ。エ~、金田正一も知らないって、もう話すの止めよう。
でも、でもですよ、貴方も邦楽に携わっているからには沢井忠夫は知っているでしょう。30年くらい前、三本会がカラオケパーティを何度も開いていましたが、沢井先生もよくお見えになりました。そして、お気に入りは「十三夜」。
あの頃は沢井先生も御健在だった。横山勝也先生も邦山先生も中井猛先生も石垣征山だって。それに何より鈴慕先生がお元気だった・・・。十三夜には昔が懐かしくなるんです。
昔をしのぶと言えば、近くの南足柄に米谷雄景という女性尺八家がいました。ワガママで子供っぽい所が有るけどトビっきりのお人好しでした。当時は米谷会で女性で尺八の名取になっていた人は、まだほとんどいませんでした。
御主人がプラスチック成形の工場を経営していて、私は尺八を入れるビニール袋をいつも頼んでいました。
尺八はドは付かないけど下手でしたが、その気の良さと、すぐ怒るけど後はケロッとしている気楽さで人気が有り、一時は20数人の尺八の弟子がいましたが、残念ながら70のダイブ前に死んでしまいました。もう20年近く前になりますかね。
その雄景には一人娘がいまして、婿をとって工場を継がせるのが夢でした。綺麗な娘さんでしたが、ひどいアレルギーが有って、ショッチュウ皮膚病に悩んでいました。
ある時、「十三夜サマ」という祈祷師というか「超能力者」と言うか、ともかくそういう人と会って「娘の皮膚病が治った」と私に言うのです。
私と言えば、「超能力者」、「霊能者」とかは三種類にしか分類出来ないと思っている人間です。すなわちサギ、手品師、バカ。
ですから本気にしやしませんがな。でも誤解無きよう。最初のサギは別として、手品師やバカの中には善意の人助けでやってる人がいる事も知っています。でも能力そのものは存在しない事を疑った瞬間も有りません。
「でもね、十三夜サマが撫でてたらスーとジンマシンが消えていッたんだよ」。「それでアナタ、大金を次ぎこんだんじゃないよね? アナタって気前が良すぎるからカモられないようにしなくっちゃ」。「そんな人じゃないよ。お金は安かったよ」。「なら良いじゃないですか」。
そういうやり取りの1月か2月後には、当然ですが、もう十三夜サマの事は雄景さんの口にのぼらなくなりました。
私は若い頃にはテキヤの仲間に入っていたから、そういう「祈禱治療」の仕組みをある程度は知っていますし見当もつきます。気功師が「念」を当てて手が熱くなる、撫でてると五十肩が楽になる、それもテキヤの仕事の一種だと分かります。
医者が「そんな事で良ければ何時でも出来るよ。だけど自分達は医療のプロだから本当に治す努力をしているんだ」と一笑にふす事は、尺八だっって製管の憚りながらプロなら同じ。ついては言いたいことは山ほど有る。
電話で尺八の不具合を訴えてくる人がいます。電話口で鳴らされたって何処が悪いか分かりませんよ。それが偶然にも素人細工で治る事も有りますわ。それでプロより素人を信用するのも良いでしょう。私達だって可能性の範囲でしか分からないのですから。
でも、その場しのぎはしないのですよ。ましてや当てずっぽうなんて沽券にかかわる。
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