価格のあやふや
- 2016/10/14
- 23:20
1980年ですから、もう36年も前になるんですね、友人が邦楽を含めた音楽を教える短期大学を創ったので、一期生を迎えるにあたって練習用の安価な箏と三弦を依頼されました。
「どのくらいの予算なの?」。 「なにしろ予算が無いんですよ。箏5面と三弦5竿で50万円で何とかならないかな」。
それならアテが有りましたから知り合いの琴屋に話して、一緒に友人の学校まで運びました。納入は済んだのですが、講師の平井澄子先生からは苦情を言われました。
「こんなペラペラした音の楽器でなく、もっとしっかりした楽器を生徒達には使わせてあげたい」。
箏曲界において「平井澄子」はビッグネームです。でも私も若い時でしたから、近くの蕎麦の名店にお誘いして、昼食をご一緒させていただきながら、学校の立場、主としていかに内情が火の車で予算が無いか、スポンサーが邦楽には付かない中で、開学を控えて必死で金をやりくりしている現状をザックバランにお話ししました。力説しましたよ。「普及の為には安い楽器が絶対に必要なのです」。
平井先生には納得はしないけど理解はしていただけたようで、その後は楽しくお話しできました。
安い箏は材質も桐ではなくて合板でした。三弦は花梨、皮は犬でしたね。でも安い楽器は質は劣るのかも知れませんがインチキではありません。
高い箏は良い物も有るのでしょうがインチキだって横行しています。それが言い過ぎなら、価格にあやふやな要素が多すぎます。
糸の張ってない箏、皮の張ってない三弦の何を今の人や外国人に信用しろと言うのでしょうか。
半歩譲って「弾いてるうちに音が変る」との主張を受け入れましょう。でも、価格が高いとどうして音も良い方に変わるんですか?
2002年から中学の音楽に邦楽が義務化されました。でも当時はどの学校でも予算が不足しており、しかも3万円以上の買い物をするには手続きが何かと厄介でした。
ですから、その前から箏と三弦の中国生産が始まっていましたから、いきおい学校が購入する楽器は中国産となります。一気に増えた太鼓なんか中国製だと国産の十分の一以下でしたから、それでも百万に近い金(当時でも)の日本製の大太鼓を買うと思いますか?
もう箏、三弦の7割以上が中国産ですし、太鼓、笛なども中国製が主流です。
その中に有って尺八だけは、少なくとも日本で使われているモノに関しては、まだ外国産はほとんど有りません。正直言って今の段階では外国人製管師の作った物で「いけるかも?」と思えるのはアメリカのレベンソン作だけですね。
でも10年かからずに尺八の新規需要は外国の方が日本を上回る可能性が有ると私は思っています。中国、ついで東南アジアが新規需要の飛躍的拡大が期待できる地域です。
事実、今夏、インドネシアの大きな楽器メーカーから林嵐山が「何か月かこちらに来て、尺八製作の指導をしてほしい」という依頼を受けました。
設備投資のかからない尺八はチャレンジリスクが有りません。それでいて、これまで外国がオーガニゼーションレベルでは乗り出す所が無かったのは、尺八には、日本しか消費地が無く、しかも極めて保守性向の強い市場だったからです。
平成の初めころ、中国に箏三弦の生産工場を立ち上げた企業を「外国でまともな和楽器を作れるわけがない」と嘲笑っていた先の見えないオカタタチ、20年で琴屋が半分以下になってしまったのは何で? 70パーセント以上ものシェアを中国産に占められているのはどうして?
尺八の明日の姿ですよ。変わらない事は自由ですけど結果は自己責任。
「どのくらいの予算なの?」。 「なにしろ予算が無いんですよ。箏5面と三弦5竿で50万円で何とかならないかな」。
それならアテが有りましたから知り合いの琴屋に話して、一緒に友人の学校まで運びました。納入は済んだのですが、講師の平井澄子先生からは苦情を言われました。
「こんなペラペラした音の楽器でなく、もっとしっかりした楽器を生徒達には使わせてあげたい」。
箏曲界において「平井澄子」はビッグネームです。でも私も若い時でしたから、近くの蕎麦の名店にお誘いして、昼食をご一緒させていただきながら、学校の立場、主としていかに内情が火の車で予算が無いか、スポンサーが邦楽には付かない中で、開学を控えて必死で金をやりくりしている現状をザックバランにお話ししました。力説しましたよ。「普及の為には安い楽器が絶対に必要なのです」。
平井先生には納得はしないけど理解はしていただけたようで、その後は楽しくお話しできました。
安い箏は材質も桐ではなくて合板でした。三弦は花梨、皮は犬でしたね。でも安い楽器は質は劣るのかも知れませんがインチキではありません。
高い箏は良い物も有るのでしょうがインチキだって横行しています。それが言い過ぎなら、価格にあやふやな要素が多すぎます。
糸の張ってない箏、皮の張ってない三弦の何を今の人や外国人に信用しろと言うのでしょうか。
半歩譲って「弾いてるうちに音が変る」との主張を受け入れましょう。でも、価格が高いとどうして音も良い方に変わるんですか?
2002年から中学の音楽に邦楽が義務化されました。でも当時はどの学校でも予算が不足しており、しかも3万円以上の買い物をするには手続きが何かと厄介でした。
ですから、その前から箏と三弦の中国生産が始まっていましたから、いきおい学校が購入する楽器は中国産となります。一気に増えた太鼓なんか中国製だと国産の十分の一以下でしたから、それでも百万に近い金(当時でも)の日本製の大太鼓を買うと思いますか?
もう箏、三弦の7割以上が中国産ですし、太鼓、笛なども中国製が主流です。
その中に有って尺八だけは、少なくとも日本で使われているモノに関しては、まだ外国産はほとんど有りません。正直言って今の段階では外国人製管師の作った物で「いけるかも?」と思えるのはアメリカのレベンソン作だけですね。
でも10年かからずに尺八の新規需要は外国の方が日本を上回る可能性が有ると私は思っています。中国、ついで東南アジアが新規需要の飛躍的拡大が期待できる地域です。
事実、今夏、インドネシアの大きな楽器メーカーから林嵐山が「何か月かこちらに来て、尺八製作の指導をしてほしい」という依頼を受けました。
設備投資のかからない尺八はチャレンジリスクが有りません。それでいて、これまで外国がオーガニゼーションレベルでは乗り出す所が無かったのは、尺八には、日本しか消費地が無く、しかも極めて保守性向の強い市場だったからです。
平成の初めころ、中国に箏三弦の生産工場を立ち上げた企業を「外国でまともな和楽器を作れるわけがない」と嘲笑っていた先の見えないオカタタチ、20年で琴屋が半分以下になってしまったのは何で? 70パーセント以上ものシェアを中国産に占められているのはどうして?
尺八の明日の姿ですよ。変わらない事は自由ですけど結果は自己責任。
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