チューナーの普及で、かつてあれほど蔓延ったデタラメ尺八が市場から追放されました。もう30年前の尺八は笑い話になりました。
でもチューナーを正しく理解してくださいね。チューナーって機械ですけど貴方がやるのは音楽、つまり人間です。分かるでしょう。ホント頼みますよ。
「チューナーを442に合わせているんですが、20パーセント高い(低い)のです」
だって今の気温が何度だと思っているんですか?
「でも皆と合奏して合わないと困ります」
大丈夫です。皆がチャンと吹ける人達であれば同じ音ですし、チャンと吹けない人達なら、どっちにしろ合いません。それに本音を言いますとね、1ヘルツで音程の擦り合わせが本当に行われているならプロだ。
「だって441なんですよ」
そうですか。ちなみに441と442とどう違うんでしょうか?
「私達のグループは442なんです」
チューナーの針を幾つに設定しようと自由ですが、チューナーの設定が442だからって、実際の演奏が442になる人達なら、そもそもこんな幼稚な段階の事は言いませんよ。
少し考えて下さい。洋楽器で交響楽をやるとします。指揮者がオーボエに基音指示を出して、それが440であれ445であっても、そのつど管楽器自体を代えるの?
尺八は442だの443だの言ったところで、気温20度の時の442は気温21度で443になる。チューナーは目で見えますからね。モーツァルトだってベートーベンだって目でチューナーを見てるアナタから見たら「音痴」。とてもとても、かなわないですよ。
角度が一緒だって息圧を少し変えれば5ヘルツくらいは初心者だって変えられる。初心者だと息圧が弱いから音は低い。でも大師範になっても低い。段位が上がっても息圧は自動的には上がらない。
楽器の国際ルールで5%の違いは問題にしないのが決まりです。1尺8寸のチ、ほら442ですわ、これだと5%は2ヘルツの違いです。もし、それを耳が問題にしてくれるんならアナタ、アナタに尺八なんぞを吹かせておくのは惜しい。
同一の尺八をプロ同士が吹いても微妙に音程は違います。でもプロは合わせられるんです。だって合唱を見てください。地声の音程はマチマチですが、耳で合わせていますよね、尺八って同じなんです。
尺八って耳で合わせる楽器です。「耳で合わせられない」、ゴモットモ。趣味ですから良いじゃないですか。気楽に練習して行けば少しずつ合う様になりますよ。「邦楽の音程」とかを自分で勝手に制定しない限りは。
ほら、カラオケですよ。完全に音が合ってるなんて人は少ないですよ。でも楽しんでいますよね。
ではデタラメな音程の尺八とは?
楽器のルールの範囲の外に有る存在。これはコントロールの範囲を越えていますから名人でないと演奏が音楽になりません。
こういう尺八、前は琴古の専売特許でしたが、なあに、その頃は音楽ではなく芸でしたし、尺八だって法器とかで楽器ではなかったから、それで丸く治まっていました。
現在は尺八の製作をしているプロ製管師って、90%以上の確率で貴方よりキチンと吹けますし音程に関しても分かっています。それに蛇足ですけど、チューナーを持っていない人もいないですよ。
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