ロの乙
- 2016/11/28
- 23:23
私の学生時代には尺八でロの乙音が大きく出せないと、何というかハバがきかなかったですね。ですから暇にまかせて筒音を鳴らす練習をしていました。
この頃に学生に人気が有った名人達はロの乙が大音量で出ていましたし、青木鈴慕、横山勝也といった先生は、はっきりとクチに出して「ロの乙の鳴らせない尺八吹きはダメだ」と言っていました。
横山先生でも、ロの乙はフォルテで吹くと「8秒しか続かない」そうです。それほど得難い音に尺八の根本を求めていたわけです。
山口五郎先生とか邦山先生、そしてロの乙に特別な意味を見いださなかったであろう宮田耕八朗、坂田誠山といった先生方にしても、ロの乙の音量が必要な時には大音量で出せました。
ですから尺八もいまだにロの乙が大きく出る物が求められる様です。でも、この時代を引きずっていると言うのは少し違うのです。1980年代になると、私達尺八屋はネプチューンの示した能力を目の当たりにしました。
リズム感、音程感覚でも彼は一番だったと思いますが、私達は尺八制作者ですから、何よりその音量に驚きました。たとえて言えば、それまでの名人が高級車だとすれば彼の音量はスポーツカー。異次元のレベルです。
その力の源泉は本人の力量が半分、改造された尺八の性能が半分です。ですから、これは「音楽」の問題ではなく楽器、つまりハードですから、私達尺八製作者は率直に受け入れて、原理を研究しました。
それを自家薬籠中の物にしたのが泉州工房の「スーパー尺八」です。演奏家だけでなく、尺八そのものも進化を遂げているのです。
ロの乙だけ大きな音になる演奏にも批判が有るのは当然です。三曲合奏で箏三弦はロの乙に当たる音が特に大きいという事はない。バランスが悪く音楽的ではない。
その気になれば批判も賛同意見も幾らでも出てきます。同様に「スーパー尺八」に対しても批判が有ります。どっちだって良いじゃないですか、バリエーションが増えて尺八の巾が拡がったんですよ。
しっとりした地歌合奏にスーパーは合わない。貴方がそう言うのならそうでしょうとも。地歌でも古典本曲でもスーパーで楽に吹ける。貴方がそう言うからには正しい。
こういうのは個人が決めれば良い事です。でも、これからの尺八ソフトは大きくなるのは現代曲(現代邦楽ではなく)、さらに大きくなると予想されるのがロックです。
ですからね、どうしたって尺八に大音量も大切、個性も大切になるのです。
ロの乙が出ても出せても、自分が不必要と思うなら出さなければ良いだけの話ですからね。「オレ、音が大きくないからピーエーを使う」、それもその通リ。長所は売り物に短所は隠すかカバーする。バリエーションも有れば有るだけ有った方が良い。そして淘汰を受ければ良いと私は思います。
ロの乙が大音量で出る尺八や演奏。私は大好きです。
この頃に学生に人気が有った名人達はロの乙が大音量で出ていましたし、青木鈴慕、横山勝也といった先生は、はっきりとクチに出して「ロの乙の鳴らせない尺八吹きはダメだ」と言っていました。
横山先生でも、ロの乙はフォルテで吹くと「8秒しか続かない」そうです。それほど得難い音に尺八の根本を求めていたわけです。
山口五郎先生とか邦山先生、そしてロの乙に特別な意味を見いださなかったであろう宮田耕八朗、坂田誠山といった先生方にしても、ロの乙の音量が必要な時には大音量で出せました。
ですから尺八もいまだにロの乙が大きく出る物が求められる様です。でも、この時代を引きずっていると言うのは少し違うのです。1980年代になると、私達尺八屋はネプチューンの示した能力を目の当たりにしました。
リズム感、音程感覚でも彼は一番だったと思いますが、私達は尺八制作者ですから、何よりその音量に驚きました。たとえて言えば、それまでの名人が高級車だとすれば彼の音量はスポーツカー。異次元のレベルです。
その力の源泉は本人の力量が半分、改造された尺八の性能が半分です。ですから、これは「音楽」の問題ではなく楽器、つまりハードですから、私達尺八製作者は率直に受け入れて、原理を研究しました。
それを自家薬籠中の物にしたのが泉州工房の「スーパー尺八」です。演奏家だけでなく、尺八そのものも進化を遂げているのです。
ロの乙だけ大きな音になる演奏にも批判が有るのは当然です。三曲合奏で箏三弦はロの乙に当たる音が特に大きいという事はない。バランスが悪く音楽的ではない。
その気になれば批判も賛同意見も幾らでも出てきます。同様に「スーパー尺八」に対しても批判が有ります。どっちだって良いじゃないですか、バリエーションが増えて尺八の巾が拡がったんですよ。
しっとりした地歌合奏にスーパーは合わない。貴方がそう言うのならそうでしょうとも。地歌でも古典本曲でもスーパーで楽に吹ける。貴方がそう言うからには正しい。
こういうのは個人が決めれば良い事です。でも、これからの尺八ソフトは大きくなるのは現代曲(現代邦楽ではなく)、さらに大きくなると予想されるのがロックです。
ですからね、どうしたって尺八に大音量も大切、個性も大切になるのです。
ロの乙が出ても出せても、自分が不必要と思うなら出さなければ良いだけの話ですからね。「オレ、音が大きくないからピーエーを使う」、それもその通リ。長所は売り物に短所は隠すかカバーする。バリエーションも有れば有るだけ有った方が良い。そして淘汰を受ければ良いと私は思います。
ロの乙が大音量で出る尺八や演奏。私は大好きです。
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