売れる芸
- 2017/01/17
- 17:39
「私は金の為に尺八を吹いているのではないですから」、迂闊なのかウッカリ口を滑らしたのか、ともかく青木鈴慕の前でこう言った者がいました。素人の云う事、そんな深い意味なんて無い、そう思って聞き流せないのが青木先生です。カチンと来た事は必ず辛辣な皮肉で返します。
案の定この時も「それより金にならない芸なんでしょう」。当然場はシラケますわな。でも私は内心で喝采しているんですよ。青木師匠のこういう所、「芸術で生きる人」らしくて大好きです。
何ですか、勘違いしている人が多いですな。「金にしないイコール商業主義ではないイコール芸術の純粋性を保っている」。どうやらこういう事らしいですわ。
純粋って良い事なのかどうかは置いといて、商業主義というのは利潤の追及をまず第一の目的とするんでしょう。今の、と言うより芸術産業はそんな単純なモノじゃないですわ。利潤が上がるという事は、やはり客観的な良否基準の一つです。勿論それだけが良いわけではないですがね。でも、多くの人が「命の次に大切だ」と考えている金を出して交換するんですからね、これほど確かな価値基準もあまり無いと思いますぜ。
私の学生時代には共産主義文献がよく読まれていました。まず『資本論』か『共産党宣言』から入る者が多かったと思います。そして次は?私は最初の著述ということで『ドイツイデオロギー』を読みました。
曰く 「ラファエロの絵は、そのスポンサーの好みを濃厚に反映している」。正直言って『ドイツイデオロギー』はここしか印象にない。でも、そうなんだー。
森雄士先生から私が直接聞いた事 「宮城(道雄)先生がおっしゃいました。『森君、モーツァルトは辛い境遇にあったのに彼の曲にはそういう所が無い。これは凄いことだ』って」
たしかにモーツァルトの曲には長調の曲が多いですね。35年という短い生涯ですが、晩年に近ずくにしたがって暗い曲調のものに移るにしろ、モーツァルトの曲風と言えば、まず「明るさ、軽快さ」を誰でも挙げるでしょう。これって、モーツァルトの音楽に金を出した人達の好みがそうなんだそうです。
バルザックは多作で金を稼ぎましたが、面白くなければ誰も買わないですよ。このクラスになると「良い悪い」はあくまで主観判断。でも売れた実績は客観です。ちなみに私はバルザックが好きなんです。
そこで一言「金で芸を売ると何か芸術上に支障が出るのでしょうか?」
尺八では売り物にならない芸を恥じるどころか妙なステータスを感じている人が前は多かった。別に恥じる必要はないかも知れませんがね。
「本当のところ自分一人しか幸せになれない尺八」を無意味と言うつもりなんかありません。でも、売れるモノは良いモノが多いですよね。
ゴッホや青木繁みたいに同時代人には全く売れなくて、後で皆が欲しがるって事だって有るでしょう。でも、それは滅多にない、言わば例外中の例外です。
案の定この時も「それより金にならない芸なんでしょう」。当然場はシラケますわな。でも私は内心で喝采しているんですよ。青木師匠のこういう所、「芸術で生きる人」らしくて大好きです。
何ですか、勘違いしている人が多いですな。「金にしないイコール商業主義ではないイコール芸術の純粋性を保っている」。どうやらこういう事らしいですわ。
純粋って良い事なのかどうかは置いといて、商業主義というのは利潤の追及をまず第一の目的とするんでしょう。今の、と言うより芸術産業はそんな単純なモノじゃないですわ。利潤が上がるという事は、やはり客観的な良否基準の一つです。勿論それだけが良いわけではないですがね。でも、多くの人が「命の次に大切だ」と考えている金を出して交換するんですからね、これほど確かな価値基準もあまり無いと思いますぜ。
私の学生時代には共産主義文献がよく読まれていました。まず『資本論』か『共産党宣言』から入る者が多かったと思います。そして次は?私は最初の著述ということで『ドイツイデオロギー』を読みました。
曰く 「ラファエロの絵は、そのスポンサーの好みを濃厚に反映している」。正直言って『ドイツイデオロギー』はここしか印象にない。でも、そうなんだー。
森雄士先生から私が直接聞いた事 「宮城(道雄)先生がおっしゃいました。『森君、モーツァルトは辛い境遇にあったのに彼の曲にはそういう所が無い。これは凄いことだ』って」
たしかにモーツァルトの曲には長調の曲が多いですね。35年という短い生涯ですが、晩年に近ずくにしたがって暗い曲調のものに移るにしろ、モーツァルトの曲風と言えば、まず「明るさ、軽快さ」を誰でも挙げるでしょう。これって、モーツァルトの音楽に金を出した人達の好みがそうなんだそうです。
バルザックは多作で金を稼ぎましたが、面白くなければ誰も買わないですよ。このクラスになると「良い悪い」はあくまで主観判断。でも売れた実績は客観です。ちなみに私はバルザックが好きなんです。
そこで一言「金で芸を売ると何か芸術上に支障が出るのでしょうか?」
尺八では売り物にならない芸を恥じるどころか妙なステータスを感じている人が前は多かった。別に恥じる必要はないかも知れませんがね。
「本当のところ自分一人しか幸せになれない尺八」を無意味と言うつもりなんかありません。でも、売れるモノは良いモノが多いですよね。
ゴッホや青木繁みたいに同時代人には全く売れなくて、後で皆が欲しがるって事だって有るでしょう。でも、それは滅多にない、言わば例外中の例外です。
スポンサーサイト