ロストジェネレーション
- 2017/02/25
- 12:43
私が高校の頃まではアーネスト・ヘミングウェイやウイリアム・フォークナー等の言わゆるロストジェネレーションと呼ばれる作家達にまだ人気が有りました。第一次世界大戦で、それまでの価値観を砕かれて、個人的価値観の主張を優先した世代です。
私は個人的にヘミングウェイはダイブ読みました。高校や大学での原文感想文の時に楽だからですよ。淡々とした文章で難しく無い、それが理由です。
フォークナーは嫌い。だってツマラナイんだもの。フィツジェラルドは? 誰でも知ってる『偉大なるギャツビー』、「華麗なる」の方が知られていますかね、ともかく「ギャツビー」だけ有名でも他は誰も知らない。私もそうですよ。私は英文科ではないのでヘミングウェイ以外は翻訳でしか読んでいません。
尺八の世界は大学教授も多い世界で、高名な英文学者の佐藤喬先生が尺八の佐藤喬山と同一人物だと知らずに、しばらく会話して「このオッサン、やけに詳しいな」と思った事は前に書きました。各分野の大学教授相手に、私の半端知識を披露して本当に良かった。違っている点を教えてもらったり、いろんな説の存在や蓋然性の高い説の理由解説もしてもらえますからね。その為にも、まずは付け焼き刃の浅い知識で会話する事ですわ。黙ってたら何も始まりませんぜ。
青山学院大学教授の倉本護先生はヘミングウェイ研究の第一人者で、私の店にいらした時、ヘミングウェイの事をいろいろ教えていただきました。彼の死についても、私の学生時代には事故説と自殺説と有りましたが、新しい資料が見つかり、今では自殺ということで決着したようです。
『誰が為に鐘は鳴る』ですけど、それで主人公をシャレでジョーダンとしたんですかね?
「どうしてそう思うのですか?」、題がジョン・ダン(John・Ⅾanne)の詩の一節、主人公がロバート・ジョーダン(Jordan)、さらに「冗談」を組み合わせたカタカナジョークだったのですが、倉本先生にはウケませんでした。
日本でロストジェネレーションって、どの世代でしょうかね?大正生まれは、第二次世界大戦で兵隊にとられて青春をパーにされた世代で、どの人も「バカ達に引きずられてヒドイメにあった。もう戦争はこりごり」と言ってました。でも、旧世代つまり明治時代の人達に反発していたわりには既成の秩序や価値観に対しては意外に従順だったような印象が有ります。「いくら戦争がイヤだと言っても共産主義もイヤだ」で、せめて社会党という人が多かった世代です。ですから、この世代が日本の中核を担っていた時代には社会党に大きな票が入りました。
昭和の初めから7,8年までの生まれの人が一番「右翼的思考」をする人の多い世代だと私は思いました。物心ついた頃には「軍国主義教育」一辺倒。それに関しては異論反論に全く触れていない世代です。しかも当時は高校に行かない人が多かったので、戦後の180度転換のブザマな教育現場を見ていません。ですから、「この人、マジ? 冗談だよね」って類の事を主張する人が多くて面喰いました。たとえば、「教育勅語を教えない今の教育は駄目だ」とか、「古事記、日本書紀は全部本当」、「天皇は何より大切」、「日本人なら伝統を守れ」etc・・・。一つの説としては否定しませんよ。でも普通はマジだと恥ずかしくないですかね。
そして私達「団塊」と呼ばれる「戦後世代」ですが、1980年代までは共産主義に共鳴した人の多い事が特徴ですね。でも当時のオトナ達が言っていたように「ハシカみたいなもの」で、就職が近ずくとちゃんとネクタイをしめて会社訪問に行き、そして就職したら「自由主義擁護政党」に一票を投じる様な健全さも持っていた世代です。
その後の世代は、私達昭和35年くらいまでに生まれた世代と違って、貧しい日本や不安定な社会を知らないだけに、私は「日本史上最も恵まれた世代」だと思うのですが、当事者になるとまた違う感想が有るようです。
結局、日本にはまだロストジェネレーションは存在しないのでしょうか?私は違うと思っています。この私達、昭和17,8年から35年くらいまでが、それに当たるのではないでしょうか。
音楽はじめ文化も価値観も、その前の世代と全く異なる嗜好傾向を示す世代です。ただ食べ物に関してだけは「同じ。ただバリエーションが豊富になっただけ」とも言えますが、他は民族を異にした程の相違をみせます。
会社に入ってからは、日本の会社の縦構造に合わせて、上に対して従順であっても、価値観や人生観そのものは断絶していますので、その前の世代みたいに価値観の連続は会社組織であっても起こり難いと思います。
そう、尺八界の流、社中、会派、いずれもが現在の崩壊状態に陥ったのは、戦前世代が実質的に尺八界から姿を消し、変わって戦後世代が中核に座ってからです。
「尺八界の平均年齢73才。60才以下は15パーセント」とか言っても、それは表に現れる、言い方を変えれば流や会の名簿に載っている人についての事で、実際は若い人もタクサンいます。ただ、流や会に入らない。
当たり前ですよ。私達って若い時から楽器を始めるのに、まず会に入ったりしませんでした。順序が逆なんですよ。尺八の場合、これまでは他に習うスベが無かったので、流に入っていたというのが本当ですもの。
つまり流の崩壊はまだ始まったばかり。それで一挙に終盤戦になってしまいました。
私は個人的にヘミングウェイはダイブ読みました。高校や大学での原文感想文の時に楽だからですよ。淡々とした文章で難しく無い、それが理由です。
フォークナーは嫌い。だってツマラナイんだもの。フィツジェラルドは? 誰でも知ってる『偉大なるギャツビー』、「華麗なる」の方が知られていますかね、ともかく「ギャツビー」だけ有名でも他は誰も知らない。私もそうですよ。私は英文科ではないのでヘミングウェイ以外は翻訳でしか読んでいません。
尺八の世界は大学教授も多い世界で、高名な英文学者の佐藤喬先生が尺八の佐藤喬山と同一人物だと知らずに、しばらく会話して「このオッサン、やけに詳しいな」と思った事は前に書きました。各分野の大学教授相手に、私の半端知識を披露して本当に良かった。違っている点を教えてもらったり、いろんな説の存在や蓋然性の高い説の理由解説もしてもらえますからね。その為にも、まずは付け焼き刃の浅い知識で会話する事ですわ。黙ってたら何も始まりませんぜ。
青山学院大学教授の倉本護先生はヘミングウェイ研究の第一人者で、私の店にいらした時、ヘミングウェイの事をいろいろ教えていただきました。彼の死についても、私の学生時代には事故説と自殺説と有りましたが、新しい資料が見つかり、今では自殺ということで決着したようです。
『誰が為に鐘は鳴る』ですけど、それで主人公をシャレでジョーダンとしたんですかね?
「どうしてそう思うのですか?」、題がジョン・ダン(John・Ⅾanne)の詩の一節、主人公がロバート・ジョーダン(Jordan)、さらに「冗談」を組み合わせたカタカナジョークだったのですが、倉本先生にはウケませんでした。
日本でロストジェネレーションって、どの世代でしょうかね?大正生まれは、第二次世界大戦で兵隊にとられて青春をパーにされた世代で、どの人も「バカ達に引きずられてヒドイメにあった。もう戦争はこりごり」と言ってました。でも、旧世代つまり明治時代の人達に反発していたわりには既成の秩序や価値観に対しては意外に従順だったような印象が有ります。「いくら戦争がイヤだと言っても共産主義もイヤだ」で、せめて社会党という人が多かった世代です。ですから、この世代が日本の中核を担っていた時代には社会党に大きな票が入りました。
昭和の初めから7,8年までの生まれの人が一番「右翼的思考」をする人の多い世代だと私は思いました。物心ついた頃には「軍国主義教育」一辺倒。それに関しては異論反論に全く触れていない世代です。しかも当時は高校に行かない人が多かったので、戦後の180度転換のブザマな教育現場を見ていません。ですから、「この人、マジ? 冗談だよね」って類の事を主張する人が多くて面喰いました。たとえば、「教育勅語を教えない今の教育は駄目だ」とか、「古事記、日本書紀は全部本当」、「天皇は何より大切」、「日本人なら伝統を守れ」etc・・・。一つの説としては否定しませんよ。でも普通はマジだと恥ずかしくないですかね。
そして私達「団塊」と呼ばれる「戦後世代」ですが、1980年代までは共産主義に共鳴した人の多い事が特徴ですね。でも当時のオトナ達が言っていたように「ハシカみたいなもの」で、就職が近ずくとちゃんとネクタイをしめて会社訪問に行き、そして就職したら「自由主義擁護政党」に一票を投じる様な健全さも持っていた世代です。
その後の世代は、私達昭和35年くらいまでに生まれた世代と違って、貧しい日本や不安定な社会を知らないだけに、私は「日本史上最も恵まれた世代」だと思うのですが、当事者になるとまた違う感想が有るようです。
結局、日本にはまだロストジェネレーションは存在しないのでしょうか?私は違うと思っています。この私達、昭和17,8年から35年くらいまでが、それに当たるのではないでしょうか。
音楽はじめ文化も価値観も、その前の世代と全く異なる嗜好傾向を示す世代です。ただ食べ物に関してだけは「同じ。ただバリエーションが豊富になっただけ」とも言えますが、他は民族を異にした程の相違をみせます。
会社に入ってからは、日本の会社の縦構造に合わせて、上に対して従順であっても、価値観や人生観そのものは断絶していますので、その前の世代みたいに価値観の連続は会社組織であっても起こり難いと思います。
そう、尺八界の流、社中、会派、いずれもが現在の崩壊状態に陥ったのは、戦前世代が実質的に尺八界から姿を消し、変わって戦後世代が中核に座ってからです。
「尺八界の平均年齢73才。60才以下は15パーセント」とか言っても、それは表に現れる、言い方を変えれば流や会の名簿に載っている人についての事で、実際は若い人もタクサンいます。ただ、流や会に入らない。
当たり前ですよ。私達って若い時から楽器を始めるのに、まず会に入ったりしませんでした。順序が逆なんですよ。尺八の場合、これまでは他に習うスベが無かったので、流に入っていたというのが本当ですもの。
つまり流の崩壊はまだ始まったばかり。それで一挙に終盤戦になってしまいました。
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