離脱
- 2017/02/27
- 23:03
平成の初め頃です、三塚さんが言いました。「この前ですけど、坂田梁山さんと美子さんが僕の家に来たんですよ。それで僕に、邦楽界を離脱して不安は無いかと訊くんです」。
まあ、マトモな質問ですよね。
「でも僕は邦楽界をやめたつもりは無いんですがね。それを言うなら最初から入っていないとも言えますし・・・」。
当時ですが、「邦楽界に入っている」と言うのは如何なる状態を言うのでしょうか? 典型的なのは、三曲協会なりに入っていて、糸方と濃密に付き合い、そして伝統邦楽の世界から仕事を貰う事でしょう。その為には、とりあえず有力な尺八師匠について、三曲界内の秩序を厳守しなければなりません。
そこでどうなるかと言えば、師匠の「おこぼれ仕事」を戴いて、少しずつ業界での地位を上げていくのです。後は「時待ち」です。
日本の会社と同じですよ。御曹司でもなければ新人が「突如彗星の如く」なんて有り得ません。力量や運、そして頭が良ければ徐々に上の仕事をやれるようになるでしょう。言っときますけど、「伝統の世界」にいて「実力の世界だ」なんて思っている人なんかいませんよ。「実力も大切」と言うだけの事です。「伝統邦楽界」では実力の重要度は地盤、看板の次くらいです。
藤原道山さん以前に、スターになるのが速かった人と言えば三橋貴風さんですが、彼だって伝統邦楽界の中枢に食い込んでいたわけではないですからね。それすら突破できたのは藤原さんくらいでしょう。
ともかく、この大筋を踏み外して、三曲界に代表される邦楽界で確固たる地位を築く可能性は非常に低い。それでは、その筋を第一に考え、徹底的に邦楽界のルールを順守していたら、それで喰えるようになるのか?「そういう時代も無くは無かった」と言う程度です。初めからそういう事が関係無いのは、尺八では製管です。竹仙系の人達や私はデビュー3年でもうトップですもんね。
ネプチューンさんの場合、アメリカ人という事も有って、最初から「邦楽界に入る」なんて考慮の外だったでしょう。どんなに頑張ったところで、アメリカ人が「邦楽界」でトップに行けるなんて幻想は、「中村明一さんや大由鬼山さんの所にジャニーズ事務所からスカウトが来た」と言う以上に現実感が無いですよ。
私の師匠の坂田誠山先生や田嶋直士さんの場合は、「最初から邦楽界を相手にしない」というスタンスでは無かったし、今でも離脱感は無いと思います。ただ、あの人達ほどの実力が有っても「壁」を立てられる邦楽界には呆れると同時に諦めてもいるでしょう。意識の中では半分離脱しているからこそ、今の大家としての地位が有るのです。
村岡実さんや宮田耕八朗さんといった人達は、時代も有りますが米谷威和男さんみたいな感じで、全く最初から邦楽界と別の世界にいる人という感じです。この事については、宮田さんが日本竹道学館の師範とか米谷さんが伶風会にいたとかは関係無いでしょう。
三塚、ネプチューンはチョット違っていて、強いて言えば宮田さんに近いと思いますが、要するに彼等の音楽観と邦楽界は全く違ったものなんですよ。それでいて、邦楽界には彼らの天才性を受け入れる場所も度量も有りません。
彼等が全く支障無く生活出来ているのは、彼らの並外れた才能が邦楽界の外の音楽界では必要とされたからで、当時にあっては誰でも出来たわけではありません。
ところが、もうこれからは尺八で生活するという事は。彼等みたいな路線が主流になるのです。もう20年しないで、「離脱する」とは、「本格」志向に目覚めて、尺八プロの主流となっている生活する世界から離脱して、伝統邦楽の世界を「食えなくても求める」に変わるでしょう。おそらくは、そうなると思います。
まあ、マトモな質問ですよね。
「でも僕は邦楽界をやめたつもりは無いんですがね。それを言うなら最初から入っていないとも言えますし・・・」。
当時ですが、「邦楽界に入っている」と言うのは如何なる状態を言うのでしょうか? 典型的なのは、三曲協会なりに入っていて、糸方と濃密に付き合い、そして伝統邦楽の世界から仕事を貰う事でしょう。その為には、とりあえず有力な尺八師匠について、三曲界内の秩序を厳守しなければなりません。
そこでどうなるかと言えば、師匠の「おこぼれ仕事」を戴いて、少しずつ業界での地位を上げていくのです。後は「時待ち」です。
日本の会社と同じですよ。御曹司でもなければ新人が「突如彗星の如く」なんて有り得ません。力量や運、そして頭が良ければ徐々に上の仕事をやれるようになるでしょう。言っときますけど、「伝統の世界」にいて「実力の世界だ」なんて思っている人なんかいませんよ。「実力も大切」と言うだけの事です。「伝統邦楽界」では実力の重要度は地盤、看板の次くらいです。
藤原道山さん以前に、スターになるのが速かった人と言えば三橋貴風さんですが、彼だって伝統邦楽界の中枢に食い込んでいたわけではないですからね。それすら突破できたのは藤原さんくらいでしょう。
ともかく、この大筋を踏み外して、三曲界に代表される邦楽界で確固たる地位を築く可能性は非常に低い。それでは、その筋を第一に考え、徹底的に邦楽界のルールを順守していたら、それで喰えるようになるのか?「そういう時代も無くは無かった」と言う程度です。初めからそういう事が関係無いのは、尺八では製管です。竹仙系の人達や私はデビュー3年でもうトップですもんね。
ネプチューンさんの場合、アメリカ人という事も有って、最初から「邦楽界に入る」なんて考慮の外だったでしょう。どんなに頑張ったところで、アメリカ人が「邦楽界」でトップに行けるなんて幻想は、「中村明一さんや大由鬼山さんの所にジャニーズ事務所からスカウトが来た」と言う以上に現実感が無いですよ。
私の師匠の坂田誠山先生や田嶋直士さんの場合は、「最初から邦楽界を相手にしない」というスタンスでは無かったし、今でも離脱感は無いと思います。ただ、あの人達ほどの実力が有っても「壁」を立てられる邦楽界には呆れると同時に諦めてもいるでしょう。意識の中では半分離脱しているからこそ、今の大家としての地位が有るのです。
村岡実さんや宮田耕八朗さんといった人達は、時代も有りますが米谷威和男さんみたいな感じで、全く最初から邦楽界と別の世界にいる人という感じです。この事については、宮田さんが日本竹道学館の師範とか米谷さんが伶風会にいたとかは関係無いでしょう。
三塚、ネプチューンはチョット違っていて、強いて言えば宮田さんに近いと思いますが、要するに彼等の音楽観と邦楽界は全く違ったものなんですよ。それでいて、邦楽界には彼らの天才性を受け入れる場所も度量も有りません。
彼等が全く支障無く生活出来ているのは、彼らの並外れた才能が邦楽界の外の音楽界では必要とされたからで、当時にあっては誰でも出来たわけではありません。
ところが、もうこれからは尺八で生活するという事は。彼等みたいな路線が主流になるのです。もう20年しないで、「離脱する」とは、「本格」志向に目覚めて、尺八プロの主流となっている生活する世界から離脱して、伝統邦楽の世界を「食えなくても求める」に変わるでしょう。おそらくは、そうなると思います。
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