区切り
- 2017/04/22
- 22:56
私の長男も来月から師匠につけることにしました。ずいぶん考えたのですが鈴慕会の兄弟子、佐野鈴霏さんにお願いしました。
甥の場合は私のところに来てすぐ、都山流の鶴田馨山さんに入門させましたが、長男が5年前に参加を希望してから、私は考える所が有って、ずっと師匠につけませんでした。
「尺八吹きって長い間やってきていて、どうして下手なんだろう?」。この疑問に対する私なりの答えです。基礎訓練が不十分で、すぐに曲に入るからです。たしかに教授産業では顧客イコール弟子を辞めさせないのが大切な事ですから、延々と基礎訓練をさせておけませんわな。飽きさせないように、すぐに童謡とか唱歌を吹かせて繋ぎ止めようとします。
「吹いてるうちに何とかなるだろう」でやるから、幸運にして「何とかなった」人は良いんですが、大半の人は基礎が出来ていないままで曲だけ進むから、「仲間褒め」、「自己撞着」の尺八のままで年月だけが過ぎて行く結果になるんです。
長男には最初の一年間、曲を吹かせずロングトーンの音出しだけを毎日やる事を義務ずけました。海童道祖の言う「毎日5分、ロを吹けば名人になれる」を実行したわけです。そして、2年目は各音のツナギだけです。そして3年目からは、それをやった上で、メリの無い曲「砂山」だけをを延々と吹かせました。その間、時々、林嵐山や林鈴麟さんに悪いクセが付いていないかチェックしてもらいました。「良い音が出ている」と去年は古屋輝夫さんにも言っていただきましたし、今年になって林嵐山からも「もう大丈夫」とオーケーが出ましたので、ここで師匠につけて曲に進ませる事にしました。
尺八製作で一番大切なことは「吹く力」です。形を作るだけなら1年かからないでマスター出来ますが、吹く力が無い人が作る尺八は味覚が鍛えられていない人が作る料理と同じです。レシピ―通りに作ってもある程度のモノは出来ますが、微調整が効いていないのでプロの仕事にはなりません。
長男は5年前、27の時に尺八製作で生活する気持ちを固めたので年齢的なハンディが有ります。たとえば木村筦山さんの二人の息子さんは優れた吹き手ですし、小林一城さんの後継ぎ、純平さんにいたっては関西屈指の演奏家でもあります。こういう人達と将来的に尺八製作で競合関係になるのですから、その為には「急がば回れ」で基礎訓練を十分にやらせるより他に道は無いと思いました。
4月の九州での展示会の時に林嵐山から「オマエが脳梗塞の後遺症を抱えた体で吹いていたって駄目だ。もう息子に任せろ」と言われました。有難いですね、ヤツは顔も悪い、根性は曲がっている、おまけに梅毒庵なんて名誉を重んじる私だったら自殺すら考慮しかねないアダナまでついている。だけど昔馴染みだけあって今でも本音で接してくれます。私も今ほどBIGになると人はナカナカ本音で接しはくれません。実に彼は有難い存在です。
それでね、私もイチオウの区切りをつける事にしました。これからは知識とかノウハウを伝えるだけにします。
甥の場合は私のところに来てすぐ、都山流の鶴田馨山さんに入門させましたが、長男が5年前に参加を希望してから、私は考える所が有って、ずっと師匠につけませんでした。
「尺八吹きって長い間やってきていて、どうして下手なんだろう?」。この疑問に対する私なりの答えです。基礎訓練が不十分で、すぐに曲に入るからです。たしかに教授産業では顧客イコール弟子を辞めさせないのが大切な事ですから、延々と基礎訓練をさせておけませんわな。飽きさせないように、すぐに童謡とか唱歌を吹かせて繋ぎ止めようとします。
「吹いてるうちに何とかなるだろう」でやるから、幸運にして「何とかなった」人は良いんですが、大半の人は基礎が出来ていないままで曲だけ進むから、「仲間褒め」、「自己撞着」の尺八のままで年月だけが過ぎて行く結果になるんです。
長男には最初の一年間、曲を吹かせずロングトーンの音出しだけを毎日やる事を義務ずけました。海童道祖の言う「毎日5分、ロを吹けば名人になれる」を実行したわけです。そして、2年目は各音のツナギだけです。そして3年目からは、それをやった上で、メリの無い曲「砂山」だけをを延々と吹かせました。その間、時々、林嵐山や林鈴麟さんに悪いクセが付いていないかチェックしてもらいました。「良い音が出ている」と去年は古屋輝夫さんにも言っていただきましたし、今年になって林嵐山からも「もう大丈夫」とオーケーが出ましたので、ここで師匠につけて曲に進ませる事にしました。
尺八製作で一番大切なことは「吹く力」です。形を作るだけなら1年かからないでマスター出来ますが、吹く力が無い人が作る尺八は味覚が鍛えられていない人が作る料理と同じです。レシピ―通りに作ってもある程度のモノは出来ますが、微調整が効いていないのでプロの仕事にはなりません。
長男は5年前、27の時に尺八製作で生活する気持ちを固めたので年齢的なハンディが有ります。たとえば木村筦山さんの二人の息子さんは優れた吹き手ですし、小林一城さんの後継ぎ、純平さんにいたっては関西屈指の演奏家でもあります。こういう人達と将来的に尺八製作で競合関係になるのですから、その為には「急がば回れ」で基礎訓練を十分にやらせるより他に道は無いと思いました。
4月の九州での展示会の時に林嵐山から「オマエが脳梗塞の後遺症を抱えた体で吹いていたって駄目だ。もう息子に任せろ」と言われました。有難いですね、ヤツは顔も悪い、根性は曲がっている、おまけに梅毒庵なんて名誉を重んじる私だったら自殺すら考慮しかねないアダナまでついている。だけど昔馴染みだけあって今でも本音で接してくれます。私も今ほどBIGになると人はナカナカ本音で接しはくれません。実に彼は有難い存在です。
それでね、私もイチオウの区切りをつける事にしました。これからは知識とかノウハウを伝えるだけにします。
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